ブナの沢旅ブナの沢旅
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2024.04.01
雨ヶ立山〜布引山
カテゴリー:雪山

2024年4月1-2日

雨ヶ立山のブナの二重山稜に泊まり布引山の展望を楽しもうと宝川温泉へ向かった。昨年夏ナルミズ沢を遡行して下山の際にドタバタ劇をくりひろげた宝川林道。板幽橋手前の林道が崩壊していることを知らずに道を失い右往左往した記憶が新しい。確かに道はごっそり剥がれ落ちていて雪道は斜面を大きく巻くようについていた。これでガッテン。

板幽橋からはトレースをはなれて板幽沢左岸の植林帯に上がり、大まかな方向を確認しながら進むと沢音が近づく。小雪の今シーズンは多くの山で報告されているように沢は埋まっていないようだ。芦沢右岸尾根に乗り上げる尾根を登るとブナ林が広がる。

1420m付近で尾根が広がり二重山稜となる。夜は風が強いようなので当初から初日はここまでの予定。さっそくザックをおろし、まずは焚き木集めに精を出す。最初に雨ヶ立を訪れたのは15年も前の3月下旬で焚き火ができた。今回も期待してきたが3月に降雪が増えたせいか枯れ枝は少なく細いものばかりだった。それでもあちこち探し回りなんとかかき集めて火をおこすと焚き火特有の匂いが広がり幸せな気分になる。

日が沈み出したところでテントに入り食事を終えた頃外を覗くと景色が一変。雪が降っていた。そういえば予報でも夜中に雪雲が通過すると。遠くで風がゴーゴー音を立てているのが聞こえるがテントの周りは静かだった。明日は晴れると信じているので安心してシュラフにもぐった。

 

 

雪が軽く積もっており、昨日焚き木集めであちこち歩き回った足跡や焚き火の跡がきれいに雪でおおわれていた。朝から青空と新雪で最高のシチュエーションだと喜びながら出発する。尾根が細くなり標高を上げると風が強い。10mはないが自分達にはこれくらいが楽しんで歩くことができる限界だろう。

雨ヶ立山から布引山につながる尾根はゆったりと優雅で美しく、この景色を見るためにやってきたようなもの。布引沢の源頭を挟んで周回する布引尾根がたおやかにポコを連ねている。布引山からは前方にどしりと大きい朝日岳から大烏帽子山、さらにかつて歩いた上越国境稜線の山並みが神々しい。また歩いてみたいなあと思う。桧倉山からゆるりと延びる尾根をたどると刃物ヶ崎山がちょこんと尖って見える。途中の岩峰通過さえなければ行けるのに、なんて。その奥にはまるで縁のない奥利根の山並み。あのトンガリは小沢岳?

大烏帽子山の鞍部からナルミズ沢源頭にスキーのシュプールが見える。さぞかし気持ちがいいだろうなあ。ひとわたり目の保養をすませ布引尾根を南下する。時折突風で足が止まるがナルミス沢を挟んだ朝日岳の見慣れない姿の展望が新鮮だ。

 

 

 

 

 

遠ざかる国境稜線を振り返り前方に目をやる。今度は赤沢山から白毛門まで歩いた時の山並みと、沢から何度も越えた丸山乗越が目にとまる。実は今回もう一日日程が取れれば途中の支尾根から広河原に下り、丸山乗越から赤沢山へ、かつての逆コースで歩いてみたかった。できたら来年かな。って、来年があればの話だけれど。

尾根が東に向く1500m付近からは支尾根の方角を確認しながら下る。最後はどこを下ってもあまり変わりのなさそうな波打つ地形となり林道におりたった。すこしホッとしたがここから腐れ雪の林道歩きが長く辛かった。しかも往復なのでなおさらのこと。これさえなければとてもいい周回コースなのに。。とボヤくその口で、だからもったいないほどステキで静かな山歩きができるのだとも思う。

 

 

宝川温泉9:10ー板幽橋11:45/12:00ー芦沢右岸尾根ー1420m幕営地15:15//6:30ー雨ヶ立山7:25ー布引山8:25/8:45ー林道12:45/13:00ー宝川温泉15:15