ブナの沢旅ブナの沢旅
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2023.10.21
三岩岳〜窓明山
カテゴリー:ハイキング

2023年10月18-19日

窓明山周辺は毎年のように積雪期に登っているブナの沢旅定番の山だが紅葉の時期に訪れたことはなかった。以前から気にかけてはいたものの10月はまだ沢シーズンのため今まで後回しになっていた。今回は週末の予報がわるかったので、急遽前倒しの山行となった。大行沢からなか四日なので私たちにとっては少し無理があるけれど、沢泊ではなくハイキングにして負担を減らすことにした。

一般には日帰りコースだけれど、遠くて不便な南会津に電車とバスで行くとどうしても二日かかる。けれど避難小屋泊りなのでテントもタープもいらない。ノコギリもロープも沢装備も何もいらない。楽だなあと思う。ザックも日帰り仕様でコンパクト。水場が枯れていたら悲惨なので念の為2Lずつ担いで出発した。

会津高原尾瀬駅からのバスは行先が沼山峠に延長されていた。紅葉シーズンのせいか冬は貸切状態のバスは平日でも10人近い登山者がいたが、みな駒ノ小屋泊の駒ヶ岳らしかった。内心これで避難小屋を占有できそうだとの皮算用。

国体コース登山口からは急登が続く。つい四日前の大東岳ではまだ紅葉が始まっていなかったが1200mを超えるとブナの色づきが鮮やかとなり、紅葉のピークにさえ見えた。

避難小屋手前の水場は細いながらも流れていた。ほぼコースタイム通りに到着し、雨戸を開けて光を通す。テン場の整地をしたり焚き木集めをしたりといったテント泊のルーチンがないのでザックをおいて三岩岳まで往復する。山頂からは東と北東の展望はいいけれど肝心の北西方面の山並みは藪に隠れてみえない。やはり展望は積雪期のほうがはるかにいい。隣のポコの湿原が見える。あそこまでいけないかしら、なんて思いながらケーキとコーヒーでくつろぐ。

避難小屋にもどり、夕食の支度をしたりノートを見たり書いたりしてのどかな時間をすごす。ノートの中に今年の7月に自転車で燕三条から出発し、担いで八十里越えしてパックラフトで田子倉湖を縦断してダム管理道から袖沢に入りミチギノ沢を遡行して小屋にやってきたK大サイクリングクラブのメモがあり、そのルートと手段に驚く。そんな若者と小屋で一緒になったら山ほど話を聞けたのになあ。険悪な滝の登攀に意欲を燃やす輩には世界が違いすぎて正直あまり興味をもてないが、こんな滔々とした山旅には目を細めてしまう。

早々とシュラフにもぐったのはいいが沢泊とちがって静まり返った暗闇が落ち着かない。小屋の周りでいろいろな物音がするのだ。まさかクマじゃないだろうけど、小動物や鳥なのかな、あんまり怖がるものだから仲間に笑われる。

 

 

 

 

朝になってよかった。バスの時間までたっぷり余裕があるので稜線歩きやブナの紅葉を堪能しようと晴れやかな気分で出発する。登山道は刈り払いされていてとても歩きやすい。少し下ると水場が何箇所かあり、10分ほど下った小沢は水涸れがないようだ。今後は水の心配不要なことが確認できた。

積雪期は巨大な雪庇が張り出しているため樹林に逃げているところを通過すると柿色に染まった湿原が広がる。左手奥にはピンクテープが二本あり、ミチギノ沢下降点を示している。保太橋沢源頭部の先には赤く染まったブナ街道の尾根。窓明山に近づいた展望地ではるか彼方に見える丸山岳までの道筋を追ってみる。

窓明山でザックをおろしもう一度山並みを見渡しながらティータイム。このままだと昼過ぎに下山してしまいそうだといいながら家向山へ下る。ブナ林帯にはいるとむせかえるような紅葉の世界に目を見張る。

巽沢山についた時点で、バスを待つのではなくタクシーを呼んで一本早いリバティで帰ることに決めた。下るにつれて紅葉のグラデーションが逆戻りしていくのがはっきりとわかる。冬に登ると最初に挨拶をするブナの大木に足を止め、こんなに背が高いんだねと思う。最後は細尾根の急斜面を怖々下って登山口に下り立つと目の前にタクシーの運転手さんが待っていてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

三岩岳登山口10:50ー五合目12:25/12:40ー避難小屋14:15//14:30ー三岩岳15:10/15:30ー避難小屋16:10//7:15ー窓明山8:30/8:50ー家向山10:15ー巽沢山11:15ー窓明山登山口12:05