ブナの沢旅ブナの沢旅
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2022.05.29
中津川鎌倉沢〜南天山
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2022年5月29日

いつもなら山行の間は一週間ほどあけており、そうしないと疲れが抜けきらないのだが、今回は異例の中三日となった。しばらく天気予報が芳しくなかったことと、週末が久しぶりに両日とも晴天なので軽いハイキングならクールダウンだなんて理屈で強行した。しかも下界は真夏日予報のため少しは沢を歩きたいと選んだのが、いつか晩秋にでも出かけてみようと思っていた中津川渓谷の鎌倉沢。

沢沿いに登山道があり、展望のいい南天山に登るコースとなっている。標高差は数百メートルでコースタイムは4時間弱と半日コース。沢の途中には小さな沢に不釣り合いな法印の滝という立派な滝がある。修験者が修行を行った所から命名されたとのこと。今のニーズにピッタリではないですか〜

西武秩父駅からレンタカーで1時間ほどのドライブで登山口の鎌倉橋先の駐車地点へ。やはり好天の日曜日。すでに何台か駐車していた。南天山、けっこう人気の山なのだろうか。10分ほど登山道を進み沢を横切る所で沢靴に履き替え入渓する。沢に木漏れ日が差し込み爽やかな新緑の雰囲気が広がってとても気持ちがいい。前回と同様に初めての沢だが、唐松尾沢とちがって鎌倉沢には悪い所はないことがわかっているので気持ちも軽やかだ。冒険的なワクワク感はとっくに危険なお年頃なのだ。

すぐにナメ小滝があらわれ、ナメと小滝を繰り返す。とてもきれいなのだけれど写真に撮ると木漏れ日がまだら模様になる。曇っていた方がいいのになんて、贅沢な文句をいいながらどんどん進む。すぐに前方に法印の滝らしき白い筋と前衛の滝が見えてきた。えっ、もう?

前衛のハング滝は左岸の樹林側から登れそうだったが、右岸には立派な鎖が張られた登山道。もちろん登山道から越えると前方眼下に法印の滝があらわれる。滝下におりてコーヒータイムをとりながらのんびりする。この沢には本格的な沢やは来ないだろうから滝を登る人はいないと思うけれど、登れそうに見えなくもない。

なかなかいい沢ではないかと思いながら先に進むとナメが途切れてゴーロとなる。もう終わりなのかと思う頃再びナメとナメ小滝があらわれる。1025mの二俣を過ぎると水量がへりナメも終わる。今回は沢のいいとこ取りをするハイキング。沢筋にこだわることもない。1100m付近の尾根分岐と書かれた道標の所で靴を履き替え沢沿いの登山道にスイッチする。

 

 

 

 

 

 

すぐに沢筋を離れ急斜面の尾根をジグザグに登る。早くも下山するハイカーとすれ違う。1374mで南天山の西尾根に乗り、しばらくは樹林帯を緩やかに進む。尾根コースが合流するあたりから岩稜帯となりひと登りで山頂に着いた。それほど広い山頂ではないが東側のほぼ正面に両神山がそびえ、赤岩岳につづくギザギザの赤岩尾根が広がる。特徴的な山容の大ナゲシから天丸山、大山がポコンポコンと尖って連なって見える。

なるほど、南天山は西上州のバリエーションコースを見渡せる展望の山だ。さらに目を西に向けると帳付山が見える。最初に山の会に入った時に西上州のバリルートを好んで歩いている人がいて連れて行ってもらった山なのだ。山の初心者にとってはかなりスリリングで面白かった。そんな昔の記憶がよみがえり、しばらく山頂で山座同定にいそしむ。反対の南側は雲取山から甲武信岳への稜線がそびえている。手前の尾根は白泰山とか三国尾根方面だろうか。このあたりの山は不案内だが落葉の時期はさらに展望がよさそうだ。

山頂の東側にはロープが張られ通行止めになっていた。手元にある古い(2003年)登山地図には1468mから1347m三角点への破線コースが表示されており、15mの垂直岩稜を越えるらしい。また広河原沢からの北尾根も破線ルートだが、これらは最近の地図には表示されていない。南天山は北面と南面で西上州の岩稜尾根と奥秩父の樹林尾根の両面を持つ山のよう。

さてと腰を上げ尾根コースを下る。地図では急斜面の尾根を一直線に下るように見えたがゆったりとジグがきられ道も登った沢コースよりよく踏まれて歩きやすい。すぐに分岐点に降り立ち、ここからは沢沿いの登山道を下る。何度も沢を横切る木橋は一見危うそうだがしっかりと補強してある。法印の滝におりてもう一度滝見物。木漏れ日でまだら模様だった午前とは違う顔を見る。

ナメのきれいな沢歩きは1時間半ほどだったが、これまで足を踏み入れたことのない中津川の奥山に沢歩きを入れて登ることができ楽しかった。いつも予定をオーバーするくたびれパーティだが、今回はさすがに順調だった。おかげで夕方に一本だけある西武秩父駅からのS-Trainという直通電車で乗り換えなしで帰宅できた。

 

 

 

登山口9:50ー法印ノ滝10:50/11:10ー尾根コース分岐11:40/12:00ー南天山13:20/13:50ー登山口15:20