ブナの沢旅ブナの沢旅
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2022.02.12
窓明山〜三岩岳周回
カテゴリー:備忘録

2022年2月11-12日

最近は2年続けて1月末に窓明山に立って南会津の山並みを眺めながらシーズンのプランを膨らませていた。今年も天候とにらめっこをしながら日程を調整したところ三連休とぶつかってしまったが、ようやく南会津の雪山始めとなった。電車リバティはほぼ満席で、会津高原尾瀬口からのバスは驚いたことに臨時便まででた。と言っても、ほとんどがたかつえスキー場までで、スキー場からは通常便だけがわずかな乗客を運ぶといういつもの光景となった。

小豆温泉手前でバスを降りると他にもう一人大きなザックの若者も下車した。やはり連休初日だからなあと聞けば同じコースとのこと。車道は2mほどの雪壁で明らかに例年よりも積雪が多い。先に進んだ若者が登山口先の壁を崩して乗り上げており我々も便乗してさらにスコップで足場を固めて雪壁に上がる。

シューをはいて出発の準備をしていると、若者が去年も窓明に来ていないかとか、山毛欅沢山にも行っていないかとか聞いてきた。ひょっとして私の記録を読んでいるのかなと思い、そう「ブナの沢旅」なの、と応えた。すると今回記録を読んで参考にしたとのことで、うれしくなる。こういう出会いは初めてだ。平日山行が多いため山で人と会うことはほとんどない。

しばらくは登山道沿いを交互にラッセルしながら急斜面をやり過ごし、尾根がゆるんだところで休憩。ここから若者はどんどん先陣を切って見えなくなり、我々はスローペースで続く。やっぱり南会津の山はいいねえ〜などといいながら歩いていくと、いつも目に止まるブナの大木が見えてきた。今年は積雪が多いため樹高が低い。すぐに広尾根となり気持ちのいい山歩きとなる。巽沢山の山頂標識は当然雪の中。家向山までもゆったりとしたブナの尾根が続く。

家向山に着いたのが3時半と少し遅れ気味だったが、もう少し先に進んでいつもテントを張る鞍部先のブナ台地まで進むことにした。若者は山頂脇の樹林の中に早々とブロック囲いでテントを張っていた。少しずつではあるけれど確実に日は長くなっている。積雪量が多い割には雪は締まっておりテン場の整地もそれほど時間をかけずに済んだ。(ラッセルと整地に関しては先週の尼ヶ禿山の方がよほど大変だった。)

雪山テントの夕食は鍋と雑炊が最近のマイブームで、前回は豆乳鍋だったので今回は柚子塩鍋と毎回味を変えて楽しみたい。夜中はさすがに冷え込んだ。作りためた水が朝起きると半分氷のフレーク状になっていた。

 

 

 

 

昨年は仲間の膝不調で窓明山往復にとどめた。今年は大雪のため雪の状態次第だったが、初日に若者がトレースをつけてくれたりと順調に進んだため三岩岳へ周回できそうだった。荒海山方面から朝日が昇り、凛とした空気の中出発する。冷えているがとても清々しい朝だ。窓明山は雲のなかだがきっとすぐにはれるはず。お気に入りのブナの広尾根を緩やかに進んでいくと雲の帯が流れ始め頭上に青空が広がる。ブナ林帯を越えると対岸の尾根の先に稲子山が見えてくる。そして気づけばあたりの潅木には霧氷が付いていた。

山頂に続く雪尾根から雲が上がり姿が見えてきた。同時に風が強まり歩みが遅くなる。見上げる先にはいつも目印にする孤高のダケカンバがまるで白い花を咲かせているように霧氷に覆われ美しい。最後はシュカブラの雪尾根を一歩一歩進みながら先頭を切って山頂へ着いた。明らかにいつもより背の高い山頂だ。西側に縁取りのようにはえているシラビソ林がみな隠れている。

まずは丸山岳を遠望しながら連なる尾根を目で追う。続いてゆっくりと越後、奥利根の山並みをなぞる。視界もよく見飽きることのない展望だ。ザックに腰をかけて熱いコーヒーを入れる。地味だけれど北東側のブナ街道もいとおしい。きっとまた行くに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

さて次は目の前にずっしりと大きな山容を見せる三岩岳へ向かう。山腹に林立するシラビソは一点のシミもなく雪で覆われ美しい景色を作り出している。広い斜面を軽快に下り、ミニモンスター化したシラビソ林の迷路を縫うように波打つ尾根をかわして無雪期には湿原のある広い鞍部へ下る。

今年からバスの時間が変わり、小豆温泉からの最終便が30分ほどおそくなった。時間的には空身で三岩岳を往復する余裕はあったが、ゆるい斜面をさらに200mも登るのは辛いし景色は同じだし、ということでパスする。登山道のある尾根分岐点まで登ると下る尾根にはスキーのトレースがあった。昨日バスを降りたときにも東京ナンバーの車が2台駐車しており、今の時期の三岩岳はスキーヤーの山のようだ。途中にも登ってくる2人パーティにあった。

どんどん降ってブナ林帯へ入り、さらに黒檜沢ルート分岐の鞍部あたりまでくると疲れが出てきた。この辺りはゆったりとした広尾根でテンバ適地といった雰囲気だ。ザックを置いて休んでいると三岩岳まで往復してきたという若者が追いついてきた。ペースが早いので午後一のバスに間に合うのではないかと水を向けると、帰路の足の都合でもう一泊して帰るとのこと。そうか、はるばるやって来たのだもの。ブナ台地でのんびりテントライフを楽しむのも悪くないと思う。

後半は大の苦手な急斜面の下りが二箇所あり前回はアイゼンに履き替えたところが気がかりだった。今年は雪が多いので仲間に先行してもらいなんとかシューのまま下ったが冷や汗をかく。電波塔からはトレースが谷筋についていたので小尾根を少し下ってから谷にトラバースしながら車道の雪壁上に降り立った。

めずらしくバスが来るまで時間があったので昨年再び再開した窓明の湯に立ち寄った。眠気を誘うバスに揺られて駅に着くとなにやら人だかりでざわついている。駅員さんに聞くと客車を引いた珍しいタイプのディーゼル機関車が停車していてカメラを構えた鉄道ファンが集まっているとのこと。見慣れた蒸気機関車と違い一見何が珍しいのかわからない二段式箱型機関車だった。人の関心はそれぞれだ。私たちも物好きにザックを背負って遠路はるばる地味な山に登りに来ている。あんなこんなで、いつもと違う楽しみを感じた南会津の山旅となった。

 

 

 

 

 

 

巽沢山登山口11:15ー巽沢山ー家向山ー1450m幕営地16:10//6:45ー窓明山8:45/9:05ー三岩岳1840m11:00ー登山口14:35