ブナの沢旅ブナの沢旅
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2022.02.07
玉原 尼ヶ禿山〜迦葉山
カテゴリー:雪山

2022年2月3-4日

まだ雪の山旅ができるような気象ではないけれど、自分でもなんとかなりそうなトレースのない雪山に泊まりたかった。まだ行けていない南会津は悪天予報のため、控えめに玉原高原へ向かった。

玉原スキー場に着いた時は小雪が舞うどんよりとした空模様。まっさらな雪面の林道をスネ程度のラッセルで進む。雪に埋もれそうなセンターハウスを通り玉原湖畔まで1時間半かかった。ここで一休みしたのち林道から尾根に取り付く。このころになると青空が広がり陽も射してきた。

尼ヶ禿山には新緑と雪の季節に何度か訪れており、一昨年の2月には獅子ヶ鼻からブナ平経由で尼ヶ禿山に登った。そこで今回はここからさらに迦葉山まで進んでみることにした。

迦葉山というと巨大な天狗像があるお寺の山という印象しかなく、実はそれほど関心もなかったのだが、新緑の季節に尼ヶ禿山から見下ろすブナのモコモコとした尾根が魅力的に見えた。また以前、今は解散したある山岳会の厳冬期撤退の記録で鞍部付近のブナ林が印象的だったという感想が記憶に残っていた。そんなことから当初予想した悪天候でも不安のない、この雪尾根を歩いてみようと思ったのだった。

時間はかかったけれど、ブナ林の広い雪尾根を気持ち良く登り、尼ヶ禿山頂に続く細尾根に上がると雪庇の発達が著しい。2mほどある山頂標識は雪に埋もれてわからないほどだった。今回はここが出発点のようなもの。風が出てきたので少し下った迦葉山への分岐点で休憩後、初めての尾根をどんどん下る。

傾斜も緩くて快適だ。当初は白樺湿原あたりでテントを張ろうと思っていたが、やはり弱小パーティのラッセルは楽しいけれど時間がかかる。針葉樹林の1304mポコを目の前にして、ブナの中で泊まりたいし、新雪の整地は時間がかかるしと、ザックを下ろすことにした。このころから再び小雪が舞い始めちょうどいい潮時だった。

久しぶりのテント泊。雪山テントのルーチンは水作りから始まる。またこの季節が巡ってきたなと思う。冬は定番の鍋であたたまり7時過ぎにはシュラフにもぐる。夜遅くまでテントを叩く音が続き、時々目覚めてはテントを揺すって雪を落とす。なかなか寝付かれずこのまま降り続いたら迦葉山までは行けないかもしれない、いっそのことブナ平散策に切り替えたほうがいいかもしれないなど、あれこれ気をもんでいるうちに寝入った。

 

 

 

 

(右写真は2021年5月の山頂)

 

翌朝明るくなったところで外を覗くと新雪は20センチほど。あたりは適度の雪景色で雰囲気がよくなっていた。これならば大丈夫そうだと、テントをそのままに予定通り出発する。ところどころ針葉樹林帯となるが、概ねブナ林の尾根だ。谷筋は伐採林で全体として雑然としているが、幕営地から二つ目のポコを超えると広尾根の比較的整然としたブナ林となり、南会津の雰囲気を思わせる。きっとこのあたりの印象のことなのだろう。

登山道が湿原を大きく回り込むあたりは地形が判然としない。コンパスとGPSで方角を合わせて歩きやすい所を探りながら再び尾根に乗るときれいに並んだブナの二次林となる。次第に傾斜を増して尾根上はデコボコ状態となる。山頂に近づくと雪庇の発達した尾根となり山頂標識があらわれた。尼ヶ禿山では標識が埋まっていたが、標高の低い迦葉山の標識は山名部分がでていた。周りの景色は見えなかったが、予定通りここまでやってくることができたことを素直によろこんだ。

復路の途中から天候が回復し始め昨日同様に青空が広がった。行きと帰りで違う景色をみることができたなどと言いながらテン場に戻る。荷造りをしてテントを片付けてから昼食タイム。昨日のトレースはほとんど消えていた。帰路は玉原湖に下ることにした。

標識のある分岐から広い南東尾根に入る。とても下りやすい広尾根で迦葉山に続く尾根よりも雰囲気がいい。登山道は尾根を真っ直ぐ下らず迂回して林道に続くよう線が引かれていた。雪があるので直行しようとしたところ最後に行き詰まる。やはり迂回路には意味があるのだと納得し、途中まで登山道らしき雪道をたどって林道に降り立った。

さて、問題はここからだった。無雪期ならば林道を歩いて駐車場まで50分ほどなのだが、午後の日差しを浴びて雪が重い。湖岸道がとても長く感じられ、重い雪の膝下ラッセルが次第に体にこたえた。最後は疲労困憊の状態で駐車場に戻り、短い雪山テント山行を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

駐車場9:15ー玉原湖10:40/10:55ー尼ヶ禿山13:40/13:55ー1304m鞍部幕営15:10//7:05ー迦葉山9:50/10:05ー幕営地12:10/13:00ー玉原湖畔道14:00/14:15ー駐車場16:40