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2018.10.23
奥鬼怒ヒナタオソロシ沢の滝巡り
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2018年10月23日

奥鬼怒の沢旅三日目はクールダウンを兼ねて宿泊した日光澤温泉から遊歩道をたどり、ヒナタオソロシ沢の滝巡り。鬼怒川源流にはオロオソロシ沢とヒナタオソロシ沢という、一風変わったちょっとおどろおどろしい名前の沢がそれぞれ滝を落として本流に出合う。

二つの「オソロシ沢」は日向(ヒナタ)と日陰(オロ)という具合に本流の両岸に位置して対をなしている。そして「オソロシ」とは、大雨で瀑水が荒れ狂い大木を押し出すという意味をもつとのこと。名前とは裏腹に、どちらも今風にいえば「癒し系」の沢で、ヒナタオソロシのナメ滝はどれも豪快かつエレガントな雰囲気を醸し出していた。

鬼怒沼に向かう登山道の分岐で橋を渡り、少し進んで堰堤を越えて沢に降りる。するとすぐ対岸に2条の美しい滑滝が見える。さっそくの美瀑に感嘆の声。登れないので隣の沢を登って高巻く。するとさっそく次の幅広ナメ滝があらわれ、こちらは右端を登る。三つ目の滝は二つの滝が合わさったような雰囲気のスラブ滝。見上げれば紅葉が今を盛りと萌えている。あまりの美しさにうっとりして足が進まない。

短い沢なので一つ一つの滝でのんびりと時間をつぶす。この滝も登れないので右岸から巻く。高巻きもそれほど悪いところはない。いつのまにかかなり高度をあげている。ヒナタオソロシの連瀑帯は、日光沢温泉から日光側の湯沢峠に向かう登山道の途中にある展望台から見ることができるらしい。とはいえ、やはり間近にみる迫力には及ばないだろう。

そしていよいよフィナーレの水源の湧水滝へ。小滝をこえると目の前に大伽藍の壁のように幾筋もの水流が岩壁から湧き出ているように流れている。さらに左右に少し離れたようにして滝があり、全てを併せるとその幅はどのくらいといったらいいのだろう。写真には納まりきれないのが残念だ。不思議なことにここで水は消え、滝の上には水がない(とのこと)。

こんな変わった沢ははじめてだ。さくっと遡行すれば1時間もかからない短い沢なのだけれど満足度は高い。当初は三日目は悪天予報だったので沢泊を1泊に短縮したところ直前になって予報が好転。宿の予約もあったため予定を変更できず恨めしく思ったが、おかげで単独の沢としては遡行対象になりにくいヒナタオソロシ沢の滝巡りができたというわけだ。

帰路は右岸の尾根から小沢をくだって本流に降り立った。すぐ対岸でオロオソロシ沢が滝をおとして出合っている。滝をみながら一休み。宿で作ってもらったおにぎりをほおばる。最初はここも登山道横断点まで滝登りを楽しもうと目論んでいたが、十分に満足してしまったので次回に取っておくことにして宿にもどる。デポした荷物をザックに詰め込み、最後の紅葉を愛でながら女夫淵まで戻ると、降り出した雨が本降りとなった。