ブナの沢旅ブナの沢旅
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2019.09.13
奥日光 柳沢川右俣〜左俣左沢
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2019年9月12~13日

着実にリハビリ沢歩きを続け、日帰りから沢泊りにトライすることにした。まだ重いザックで1日遡行を続けるのは不安があるため、日帰りに毛の生えたようなベースキャンプ方式をとることにして行き先を奥日光の柳沢に決めた。

ちょうど12年前に膝の故障のリハビリで遡行した沢だ。あの時も二俣に泊まって右俣から左俣を下降する予定だったが、現地に着くと雨で予定の変更を余儀なくされた。初日は低公害バスの終点である千手が浜の東屋に泊り、翌日日帰りで右俣を往復した。ちょうどクリンソウの最盛期で、たまたま出会った管理人さんに一般に知られていない群生地に案内してもらったり、足尾、尾瀬、日光の鹿の繁殖と害についての深刻な実情について話を聞かせてもらった。

そんな事情で柳沢には宿題を残したままだったため、リハビリを兼ねやり残したコースをたどるいい機会だと思った。

東武日光駅からはバスを乗り継ぐため時刻表をしっかり調べていったつもりだったが、低公害バスに乗り継ぐ赤沼茶屋で確認したところ今年から時刻表が変更になったとのことで小1時間余分に待つことになった。自然保護センターの話ではネットで調べたサイト(栃木県)が更新を怠ったためらしい。気をとりなおして湿原の散策路を散歩して時間をつぶした。

西ノ湖入口でバスを降り柳沢林道を進む。ザックの重さはそれほど気にならず安堵する。1時間ほど歩いて林道が途切れるところはかつて木橋がかかっていたようで、朽ち果てた残骸が少し残っている。ここで沢靴に履き替え堰堤前の沢を渡渉。赤岩滝までは踏み跡が続いているようで所々にケルンが積まれていた。しばらく進むと沢幅が広がってきれいなナメとなる。そんなところは沢の方が歩きやすい。

赤岩沢出合付近では右岸が段丘となってゆったりと広がる。バスの時刻がずれたため二俣までは行けそうもなく、ちょうどこの辺りが幕営地となる。沢から一段上がったところだけれど傾斜もなく3LDKほどの広さだ。ようやく待ちに待ったシーズン初の焚き火もできると、大張り切りで枯れ木を集める。ちょっと腰にひびいたけれど好きなことをするときは忘れてしまう。

残雪期の4~5月は日が長いので真っ暗になる前に焚き火を残して寝てしまったが、夏を失ってはや初秋。食事を終える頃にはあたりが暗くなり、焚き火の暖かさと暗闇に燃える火を眺めながらゆったりとお茶して1日を終えた。

 

朝も火を熾し、焚き火のそばで朝食。あたりはうっすらとガスっているが、終日曇り予報なのは承知のこと。テントはそのままにして6時過ぎに出発する。基本はナメと小滝だが、崩壊地がいたるところにみられ、明らかに12年前よりもさらに荒れている。ここはアプローチのつもりで二俣まで淡々と進む。

二俣で右俣に入るが流木や小岩が堆積していたりであまりスッキリしていない。昔の思い出が美しすぎるからだろうか。それでも崩壊地が現れるようなことはなく溪相はよくなる。ガスもそれほどなく、晴れているより写真うつりがいいなどと言い合う。

前方に美しいスダレ状ナメ滝があらわれるが、その先の滝も一緒に見えるものだから、あんなに大きな滝だったかなと思う。美しいナメ滝がつづき、一番の大滝である黒滝へ。上部がガスっていて雰囲気がある。ここは右岸の明瞭な踏み跡をたどって高巻き、滝上に降りる。12年前は滝の落ち口を仲間が無造作にわたり、みていた私がヒヤッとしたことを思い出す。

沢幅は狭まりゆるい傾斜のトイ状滝を登ると羽衣滝とでも言えるような優美なナメ滝が右俣の有終の美を飾る。ここは左岸の水際を笹に掴まりながら登って終了。ほんの1時間ほどのハイライトだ。ゴーロを登ると水枯となり笹薮の平坦地が広がる。面白い地形だ。一般にはこの辺りから左俣の下降点へ向かうのだが、今回は2241mの稜線を目指す。

 

 

 

いったん消える沢型だが、コンパスで方向を合わせて少し進むと再び沢筋があらわれる。忠実に沢型をたどり稜線近くでは2241mの東側鞍部を目指してひと登りする。ガスを抜けたため明るいが足尾側の視界はほとんどなかった。

計画当初は欲張って錫ヶ岳往復したいなどとも思ったが、時間不足なことはすでにわかっていたので未練はない。その姿を間近に見ることができただけでよしとする。(そのうち足尾と繋ぐときにまた来るかもね)県境尾根は登山道はないけれど奥白根から皇海山までは結構歩かれているようだし、明瞭なプレートが随所に木に打ち付けられている。

笹薮の急斜面を下ると道型が明瞭になる。尾根筋をたどるので迷うことはないが左俣の下降点に目をこらす。左俣右沢の方が稜線から近いのだけれど、県境尾根をもう少したどってなにもない左沢を下ることにした。尾根が沢に一番近づくあたりで尾根を外れて斜面をトラバース気味に下り、簡単に沢に降り立った。沢から見上げると、源頭部は凄まじいほどの赤茶けた崩壊地となっている。

しばらくはお世辞にも綺麗とは言えないゴーロ沢だが、次第に明るい赤茶けたナメとなる。右沢を合わせるあたりは二俣よりも雰囲気がいいので、ここを二俣と勘違いするのもわかる気がする。ふたたびガスが濃くなってきたが、あとは下るだけ。

右岸にテントが見えたときはうれしかった。けれど時間も押せ押せだ。何しろ西ノ湖入口の最終バスが下調べした時刻よりも30分早まっている。てきぱきとテントを撤収し、さあこれで大丈夫。沢靴のままバス停に到着したのが3時半。さすがに疲れたが行動時間9時間半なんてリハビリとは思えないほど。よく頑張ったねと自分を褒めてバスに揺られた。

 

 

 

西ノ湖入口14:15ー赤岩沢出合付近幕営地16:00//6:10ー二俣7:00ー2241m鞍部10:10/10:20ー左俣左沢12:00/12:15ー幕営地13:45/14:05ー西ノ湖入口15:30