ブナの沢旅ブナの沢旅
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2018.11.12
中川川地獄棚沢右俣
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2018年11月11日

このところ週末に好天となる。できれば人出の少ない平日に行きたいところだがすべてお天気次第。遠出の沢はさすがにもう遅いので丹沢のなんと地獄棚沢へ。名前からして恐ろしげな沢だし、昔のガイドブックはすべての滝を登攀することを前提にグレードがついているので上級沢なんて縁がないと思っていた。けれど9月の本棚沢で味を占めたというのか、大滝は簡単に巻くことができてあとはそんなに難しくない沢。。という刷り込みができたのだった。

ちょっとググってみると、沢やでなくても丹沢バリエーションを楽しんでいる人たちにも結構歩かれているらしい。面白そうだと思ったが、晩秋の沢には特有の滑りが落ち葉にかくれていて難易度があがる。そこで今回は地獄棚沢前半は古くからある作業経路の探索を行い、二俣から遡行するというバリエーションハイキングに仕立ててみた。「なんちゃって沢のぼり」である。

大滝橋で下車後、大滝沢を見下ろしながら登山道を進む。白い大岩と穏やかなナメ、青い淵がきれいだ。ここならもっと歳をとっても歩けるかもなんて思いながら山道を登り、マスき嵐沢出合に入ったところで沢に降りて靴を履き替える。

しばらくはゴーロ川原で登山靴でも歩けるほど。沖箱根沢出合でF1が見えたので立ち寄ってみる。この沢も最初の連瀑帯をたか巻けば、あとは穏やかなナメとなるらしい。沢に求めるものは人それぞれで、自分なりの楽しみ方で楽しめることができるならばあまりグレードとか評判に縛られることはない。

今年は丹沢の棚巡りづいている。ゴーロがナメになったところで樹林の間から白い筋が見えてきた。おおー地獄棚に初対面。下棚や本棚同様とても美しい大滝で、どうしてこの子だけ地獄棚なんだろうと思う。紅葉にはまだ少し早かったが、木々が色づいてきたらもっと美しいのだろう。

大滝を堪能して少し戻り、高巻きの痩せ尾根に取り付く。少し登ると予想どおり径路があらわれたが、これは下の枝沢から続いているようだった。どんどん登ると右手にいかにも下降用の踏み跡らしい分岐がみえた。来年また来ればはここを下るのかなと留めておく。

登りきって水平道になり、沢筋を二つ横断するがかなり崩壊が進んでいて何箇所かきわどいトラバースとなる。そんなところにも鹿柵があり、標識杭が随所に打ってあるのにはおどろいた。その作業のためかトラロープならぬ針金が所々張られ動かないように丸太でくくられていた。古い木橋は中が朽ち果てる寸前で、鹿よけの金網にしがみつきながら端っこをトラバース。橋の下はざれた崖で、ここが今回の核心だったかもしれない。

二つの谷筋を越えると険しさはなくなり、雰囲気のいい古道を歩いているようだった。径路は左俣を見下ろすようになる。沢に近づいたところで沢におりた。とても穏やかな渓相だ。ホッとしつつも面白かったといいあう。

 

少し下ると二俣となり右へ入る。すぐ沢が左に曲がるところに見栄えのする2段滝があらわれる。落ち葉と多少の滑りに気をつけながら無難に登るとさらに上にナメ滝が続いている。気をよくして登るとさらにもう少し大きな2段10mほどの階段状滝となる。

その後は顕著な滝は無くなるが、いい感じでナメが続く。ちょうど渓にも太陽の光が届き始め、両岸もひらけてくる。まさに期待通りの展開となる。目立った滝はもう終わりかと思っていると最後にもう一つ2段ナメ滝の登場。その後流れは平凡になり倒木が目立つ。早くも源頭の様相になったところで登山道に抜ける枝沢に入る。途中からは植林の歩きやすい尾根に上がると数メートル下に登山道の標識が見えた。久しぶりに超がつくほどの楽な詰めだった。

あとは予定よりも一本早いバスに間に合うほど順調に沢沿いの登山道を下ってバス停に着いた。丹沢の沢もこんな風にして歩けば、今まで視野になかった沢も楽しむことができそうだと思わせてくれた地獄棚沢だった。

 

 

大滝橋8:45ー地獄棚10:00ー二俣11:50ー登山道13:20ー大滝橋14:30