ブナの沢旅ブナの沢旅
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2024.03.16
信越トレイル(撤退)
カテゴリー:雪山

2024 年3月15-17日

当初は山形と福島県境尾根の縦走を計画していたが暴風予報となってしまった。一日だけとはいえ爆風の尾根歩きなんてムリ、ムリと最初から及び腰。直前まで様子を見たけれど変化がないためできるだけ風が弱い山域を探して落ち着いたのが信越トレイルだった。以前積雪期に歩いているし緩やかなブナ尾根という点では当初の縦走路と似ている。いつものことながら土壇場での予定変更だが、気持ちを切り替え出発する。

出発点はおなじみの鍋倉山。どこまで進めるかは雪の状態次第だけれどさすがに天水山までは厳しいだろうと菱ヶ岳から下山することに。ほくほく線虫川大杉駅までスキー場の無料シャトルバスの予約もすませた。さあ、これでゆったりとしたブナの山旅が楽しめるだろう。。。

鍋倉山はスキヤーに人気の山なのでどんなときでもトレースがある。今回もおかげで楽に進めたが途中からトレースが黒倉山鞍部に向かっていることに気づく。鍋倉山の山頂にこだわりはないのだが、山頂下のブナの広尾根が好きなので逃したくない。途中からトレースを離れブナの急斜面を這い上がって尾根にのった。

山頂からはこれから歩く関田山脈のゆったりとした山並みを見渡す。山とは言えない山並みを退屈に思う人もいると思うけれど老年期の身としては親しみが感じられ心地よい。そういえば前回の駒止高原山地もそうだった。

転戦した甲斐あって穏やかな天候だったが夜から朝にかけては強風予報。尾根を少しはずれた茶屋池を見下ろす平坦地でザックをおろした。時間があるので茶屋池まで散策もできたのだがスノーモービルの轍が入り乱れて見え、不愉快なため近づかなかった。テントに入り一息ついてお疲れさまの乾杯。一時は延期も考えたけれどなんとか確保した日程通りにいくつもの思い出あるトレイルを再訪できたことを喜んで初日を終えた。

 

 

 

 

翌朝テントから外を覗くと一面ガスで真っ白だった。朝食をとりながら視界が得られるまで待って出発する。太陽とガスのせめぎ合いの中、関田峠を越えガスで幻想的な雰囲気のブナ林を下る。視界はあるが行く先の山並みまでは見えないため尾根が広がったり小さな支尾根があるとつい方向がずれがちになる。何度も歩いているのにまるで初心者のような気分になる。

梨平峠は前回テントを張ったところでゆったりとしたブナの平地だったはずだがなんだか地形が違う。1050mから北向きに舵を取り牧峠に下る明瞭な尾根に乗るまでがわかりにくかった。もっと視界がよければ迷うこともなかったはずだ。

空が明るくなると行先の山並みも姿をあらわし、ようやく記憶にある気持ちのいい広尾根歩きとなる。それにしても予想以上に雪が深く尾根が細い。今年は2月が小雪でどうなることかと思ったが3月に入ってまとまった降雪があり3月中旬では昨年よりも積雪が多いとのこと。そんなこともあって今まで記憶していた尾根の形状も違って見えたのかもしれない。

牧峠に近づくと菱ヶ岳方面の展望が得られるようになる。遠いような近いような印象をもちながら雪庇の張り出した尾根を進むが、峠へ下り始めて足が止まる。下が見えないほどの急斜面になっていてシューで下るのは怖い。先行した仲間が苦労して下り様子を伝えてくれたが自分には無理そうだ。仕方なく雪庇を崩して脇の斜面にこわごわと着地し、冷や汗をかきながらジグザグに下った。こんな場面は想定していなかったためアイゼンもピッケルも持ってこなかった。

積雪期にも歩いたところのはずだがこんな記憶はなかった。登山道もある尾根だが雪のつき方で難しくなったようだ。牧峠の平地でホッと一息ついて思ってしまう。こんな状態がこれから先にもあるのではないか。ゆったりのんびり歩くのが信越トレイルのはずなのに。。。ということで思わず、もう帰ろー、と口に出す。心が折れてしまったなんていうと大袈裟かもしれないけれど、要するに軽く見ていて装備不足なのだった。仲間も相談しようと思ったとのこと。

そうと決まれば気が楽だ。1日短縮して牧峠から下ることにした。前方の1011mポコに登ると展望がいいので下る前にザックを置いて空身で往復。雪庇がすごくてニードル状態のポコに乗り上がると鍋倉山方面の展望が開ける。同時にこれから下る麓ののどかな田園丘陵を眼下に見渡す。気持ちよさそうだなと心が安らぐ。

牧峠からは林道のジグザグをショートカットしながら土倉に下り、行きに利用したタクシーを呼んで飯山駅へ向かった。

 

 

 

 

 

 

温井除雪終了点9:00ー鍋倉山13:30ー茶屋池上15:15//6:40ー関田峠7:00ー梨平峠7:55ー牧峠10:40/11:50ー土倉14:30