ブナの沢旅ブナの沢旅
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2023.09.13
尾白川鞍掛沢〜乗越沢
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2023年9月13-14日

時間の余裕は気持ちの余裕につながる。こんな年齢でもまだ沢登りしようなんて欲を出すから事故が起こるのだと書いてある記事を読み、自分のことのようにグサリ。ものには言い方があるだろうと思いつつ、そう思われても仕方ないとも。でも、まだ欲があってはいけないのだろうか。尾白川鞍掛沢は人気の日帰沢。安全運転の余裕を持たせ、渓谷美と焚火の沢泊を楽しんだ。

中央線小淵沢駅から出発点の矢立石登山口までは往復タクシーを利用した。レンタカーよりも安いことがわかったからだ。尾白川の入渓点までは一部崩壊が著しい林道を歩き、林道終点からロープの張られた急斜面を冷や汗をかきながら恐々下る。いつまで経っても苦手な激下りだ。沢に降り立った時はこれで初日の核心は終わったとほっとする。

歩き始めるとすぐに写真でお馴染みの大きな釜をもつナメ小滝、つづいて夫婦滝と、見どころが続く。登ることもできるようだが登山道並みの巻道を利用しない手はない。気楽な滝見沢ハイキングの気分だ。すぐに鞍掛沢出合となる。予想以上に大岩帯が点在する。きっとみんなキレイどころだけを写真に収めるせいだろう。かくいう自分も意図せずとも同じことをしている。

しばらく進むと大岩帯も落ち着き、明るい花崗岩の岩盤が発達した美しい渓相となる。ヘイズル沢に似ているけれど、ヘイズル沢には無粋な大岩ゴーロはなかったな、なんて思ってしまう自分にゲンコツ。穏やかでいい雰囲気ではないですか。ちょっと面倒な滝には当たりをつけると必ず明瞭な巻道がある。ハング滝を巻いて大岩を越えると左岸に乗越沢出合の滝が見えてきた。

対岸の台地に上がるとよく使いこなされたテントサイトだった。朝発の遅い出発だったけれど目標としたテン場につくことができた。整地不要なのでせっせと薪木を集め、ぬれた衣類を乾かす。途中なんでもない水溜りのようなところでうつ伏せに転び、全身びしょ濡れになっていた。水溜りでよかった。。

滝見亭と命名した今宵の宿はとても快適だった。日が短くすぐに暗くなり星がみえる。あまり知識のない星座をあれこれ当てずっぽうに言い合いながら穏やかな夜を迎えた。

 

 

 

 

 

 

対岸の乗越沢出合の滝を途中まで登り右岸の巻道から滝上へ。乗越沢は鞍掛沢と雰囲気がちがい、樹林の合間をナメ滝が連続してぐいぐい標高を上げていく。緑豊かなしっとりとした雰囲気に覆われていて、短いながら二つの全く違う沢を体験しているようだ。ナメ滝も登れるものが多く、前日の滝見ハイキングからちょっとした滝登りも手軽に楽しめるのがいい。

源頭部はまるで道路のようなナメを登る。水枯れしたあたりから右岸の小尾根に取り付き踏み跡をたどると藪漕ぎもなく鞍掛山のコルにでた。当初はザックをデポして鞍掛山を往復するつもりだったが、しばらく前からガスがでて視界がないためあっさり中止。登山道を辿って日向山へ向かう。

 

 

 

 

歩きやすい針葉樹林帯の尾根を緩やかに下るが日向山は意外と遠い。ゆるゆる歩いていると初めて登山者とすれ違う。どこへ向かうのか不思議だったので聞けば、黒戸尾根に取りつこうとして間違えたためこれから戻るのだという。頭の中ではこの辺りの地図が明瞭でないため不思議に思ったが、食糧もあるし大丈夫だといいながら進んでいった。すると今度は若者が追いついてきた。朝八時に入渓して同じルートで登ってきたという。あまりの健脚ぶりに驚いているとあっという間に見えなくなってしまった。

コースタイムをオーバーしながらようやく日向山の鞍部へ。前方を見上げ、これが雁ヶ原と呼ばれる日向山の白砂のザレ場かと思う。曇っていたせいかイメージしていたよりも薄暗く見えた。それでも山頂から見下ろす花崗岩が風化してできた白い岩峰群に目を奪われる。周囲の山並みはガスに覆われていて展望はほとんどなかったけれど、下山路のおまけに珍しい山容の山に登れたのだから十分だと思いながらよく整備された登山道を下った。

 

 

矢立石9:30ー尾白川入渓11:20/11:50ー鞍掛沢出合13:15ー乗越沢出合幕営地15:40//6:50ー鞍掛山コル9:40ー日向山12:00/12:40ー矢立石13:55