ブナの沢旅ブナの沢旅
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2022.10.21
会津朝日岳
カテゴリー:備忘録

2022年10月21日

南会津で初めて登った山が会津朝日岳だった。山を始めて地元の山の会に入会した翌年の6月中旬だったが、山頂下の雪渓を下るのが怖かったことしか覚えていない。以来、会越の山々や村杉半島、丸山岳方面からいつも眺めるだけの山だった。

会津朝日岳はかつては登路だったという小幽沢から登ろうと思っていたが、胸の痛みが残っているため沢泊装備はさけ日帰りで登山道往復にした。

10年ほど前、晴天の厳冬期に沼の沢山から叶の高手まで登った。その時に見た会津朝日岳から鋸刃、丸山岳に続く雪稜の美しさに目を奪われたことは今でもはっきりと覚えている。残雪期に丸山岳から遠望する朝日岳の尾根はいつも雪が剥がれて黒々としていた。村杉半島からは意外と近く、私には近寄り難い高倉山から続く稜線の先にある朝日岳は近くて遠い存在に思えた。

こんなふうに朝日岳は残雪期に周辺の山から遠望する山になっていたので、紅葉のタイミングで登ってみたいと思った。山頂からの景色が楽しみだった。

6時半近くに登山口駐車場に着くと既に10台ほど駐車していて驚くが、紅葉が綺麗な南会津の200名山と思えばそんなものだろうと納得。のちに撮影隊の車もかなりあることを知った。刈払いもされていてとても歩きやすい登山道だ。

ジグザグの急登をこなすと麓が雲海に覆われた浅草岳方面があらわれる。只見の低山はいつも雲海に覆われている印象だ。その先には粟ヶ岳から矢筈岳、御神楽岳と飯豊山脈がクリア。叶の高手に近づくと会津朝日岳から鋸刃の尖った尾根とそのずっと先の丸山岳があらわれ、無雪期の姿を見ることができたことを密かによろこぶ。

叶ノ高手は前回の到達点。写真を比べると積雪は3mを超えているようだ。あれこれ積雪期の状態と比べながら山を歩くのも楽しい。

 

 

 

    

ブナの小径を下って登り返し避難小屋を通過。入り口脇が小餅葉沢の源頭部になっており、いい感じのブナ林が広がっていた。山頂直下から振り返ると小幽沢源頭左岸に開けたブナのモコモコ斜面が見える。とてものどかな光景だ。

ちょっとした岩場を登り始めると撮影チームが下ってきた。聞けばNHKのBS日本百名山の番組とのこと。前日に避難小屋に泊まり早朝から撮影していたらしい。山頂尾根に上がると展望が一気にひらけて足踏みするが、山頂はさらに奥へと進む。

ようやく山頂へ。西側は展望のために切り開かれていて北壁と向高倉から高倉山、その奥に村杉半島の山並み。辿り着けなかった大川猿倉山はとんがってかっこいい。そして目を引いたのが楢戸川左岸尾根上部1288のゆるやかな斜面に広がるモコモコのブナ林。手前の北壁と対照的だ。以前から地図をみながら長須ヶ玉や1288周辺はきっといいブナ林なんだろうなと想像していた通りのようだ。行くことは叶わないけれど、眺めることができてよかった。

丸山岳につづく鋸刃の稜線。大学のワンゲルチームはこのヤブ尾根を歩くのが一つの課題になっているのか、時々記録をみかけたりする。時間と体力のある若者だからこそのルートですね。山頂付近の草原が見える丸山岳の奥には顕著な山容の三岩岳から会津駒方面がうっすらと浮かぶ。未丈ヶ岳と越後三山、荒沢岳、村杉半島の奥には毛猛山塊など、なかなか魅力的な山のオンパレード。

ちょっと興奮気味に山座同定をしているうちに山頂には誰もいなくなった。季節がいいので平日でも何組かのハイカーが山頂にいたけれど、中には会津朝日岳で200名山達成の大きな紙の垂れ幕を取り出した人がいて写真を取らせてもらう「光栄」に与った。でもそのご夫婦は周りの山は何もわからないといって写真を撮って早々と下ってしまった。まあ、山の楽しみ方は人それぞれ。200名山達成だってすごいことだ。

馴染みの山に囲まれているため去り難く山を下る。山頂直下の岩場で登りにすれ違ったNHKの撮影隊がまだ撮影を続けていた。登山者が通るたびに中断するので時間がかかっている様子。南東の山並みを見下ろしながら下る。城郭朝日山が近くさらに奥には冬によく行くブナ街道が続いているが、顕著な高低差がないため知らなければ目に留まらない地味な山並みだ。古町丸山がその後ろにちょこんと丸い。雪が降ったらまた行きたい山が並んでいる。

原因不明の胸の痛みがなければ残置物回収の尾白山と会津朝日岳の山歩きはなかったかもしれない。仲間には転んでもタダでは起きない性格だと言われたが、たしかに「怪我の功名」ともいえる収穫の多い山歩きとなった。

 

 

 

 

 

 

登山口6:30ー叶ノ高手9:00/9:15ー山頂10:45/11:25ー登山口15:00