ブナの沢旅ブナの沢旅
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2022.08.22
登川米子沢
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2022年8月22日

前の週に尾瀬から帰った時は次回こそ東北の沢旅へ、と期待したもののなんだか予報は絶望的で二日と晴れる日がない。少しくらい雨でも決行すれば今までだっていくらでもチャンスはあったのだが、なにしろ慎重な高齢者のため雨マークは避けている。

ため息混じりに直近の予報を見ると越後が一日だけ晴れとなった。越後の沢なんて行けるところないなあ〜と思ったが米子沢なら大丈夫かも。今年は沢といっても標高差の少ない短い沢ばかりだった。前回の遡行から10年以上経っているけれど、難しかった記憶はない。今でも遡行できるだろうかと興味がわいた。

越後湯沢駅から15分ほどの道の駅雪あかりの駐車場脇にテントを張り早朝出発する。6時前なのに第二駐車場もおおかた埋まっており巻機山の人気はさすがだなと思う。前回はなかった米子沢の標識まである。川原におりて記憶以上に長いゴーロを進み沢らしくなったところで沢靴に履き替える。

はるか前方に米子沢の谷筋を見上げながら進みナメ沢出合から大滝の明瞭な巻道へ入る。再び沢にもどり次々とあらわれる滝を巻いたり岩棚を登ったりしながら進む。一見登れそうもない滝もほとんどが左右どちらからか小さく巻き上がることができるが、一つ一つ越えるのに「どっこいしょっ」という風で、10年以上前の「快適に登る」とはいえなくなっていた。

 

 

それでもまずまずのペースで進み日影沢出合のゴルジュ入口へ。前回巻道で迷ったところだが、赤ペンキで矢印が付いていたため登りすぎずに左岸のバンドに着地できた。けれど米子沢に赤ペンキなんて無粋だなと思う。ゴルジュ帯はバンド伝いに通過して出口へ。その後も見栄えのする大きな滝があらわれる。なんとか巻きながら進むが楽しむ余裕がなくて、ひたすら目の前の課題をこなして行くという気分になる。(人気の沢でガイド張りの記録多数あるため詳細は省略)

 

 

 

ようやく一連の大滝群を越えいよいよ待望の大ナメがあらわれた。けれど以前のような喜びの歓声というよりは、やれやれこれでやっと余裕ができるという安堵の気持ちがまさってしまう。遡行が終了したわけではないが、かなり苦戦した仲間にねぎらいの言葉をかけ、休憩タイムとする。

しばらくは気持ちのいいナメ歩き。両岸が開け真っ青な空と山の緑と白い岩棚のコンビネーションが美しい。右岸の斜面を見上げながら、登山道から下って後半のナメ歩きだけっていうわけにいかないかなあなんて思ったり。大ナメが終わってもいくつか滝は出てくるがこれまでよりは小ぶりで巻きも容易だ。源流の趣となりくねくね蛇行しながら最後の二俣を左に入り遡行を終えた。避難小屋の水場になっているところだ。沢装備を解き、キンコウカ咲き乱れる小道を登り登山道に合流した。

 

 

 

余裕があれば巻機山までと思っていたが、とっくに無理だとわかっていた。9合目の「にせ巻機山」の「にせ」を隠して私たちの山頂とし、ヌクビ沢方面の景色やブナ林に足をとめながらなんとか無事に下山した。久しぶりの「本格的」な沢登りは体力的に目一杯だったが、ともかく無事に遡行を終えることができてよかった。

突き抜けるような開放的でダイナミックな渓相が米子沢の魅力だと思うが、やっぱり自分には森に抱かれゆったりとした流れの沢が似合っているとも感じた。これからの沢旅のいいトレーニングにもなったのだから、今度こそは。。ブナの沢旅へ。