ブナの沢旅ブナの沢旅
▲トップページへ
2022.07.25
一ノ瀬川竜喰谷
カテゴリー:

2022年7月25日

ここ数年毎年候補に上がっては行きそびれていた竜喰谷へ。沢を始めて間もない2005年と2007年に続けて遡行して以来10数年ぶり3度目となる。最初は山岳会の春の将監峠集中でプライドの高い強気のリーダーのもとロープを出しながら全ての滝を登り、2回目はほとんどの滝を巻いたものの自力遡行した。水量豊かで美しい沢の印象を持ち続けていたのでもう一度遡行してみたいと思い続けていたのだった。

しばらく通行止めになっていた奥多摩方面からの林道が直前に通行解除になっていた。おかげで石楠花橋より手前の駐車スペースから明瞭な踏み跡を下って渡渉すると簡単に竜喰谷出合に導かれた。すぐにあらわれる幅広5m滝を右手から登る。前回は最初から巻いたのでまずは順調な出だしを喜ぶ。最近は沢にいくたびにバランスや脚力などの低下を痛感しているため、竜喰谷も多少の不安があったからだ。

 

滝上からはゆったりとした流れのゴーロからナメとナメ小滝が続いて気分がなごむ。精錬場ノ滝を左岸から巻き上がると右岸に坑道のような穴がある開けた川原となり、ここで一休み。精錬場ノ滝や精錬場尾根など、かつて金山があったという言い伝えを裏付けるような名称が残っている。

 

下駄小屋ノ滝はセオリー通り右岸のリッジを登り小尾根をこしてトラロープを頼りに滝上に下りる。滑ると下までつるっと落ちそうなので慎重に下った。するとこの沢で一番美しいと感じた沢幅いっぱいのナメが広がる。木漏れ日のナメを穏やかな気持ちで進む。沢のこういう時間がたまらなく好きだ。末広がりのナメ滝もきれいだなあ〜。

 

 

すぐに中ノ平沢出合となり再びコーヒータイム。これまで2回の遡行は沢泊だったので当日発の日帰りで時間切れにならないか不安があったが、これまで順調に進んできた。ようやく大丈夫という気持ちの余裕も出てゆったりと休むことしばし、となる。

直瀑の曲り滝は右壁に残置が何箇所かあるので頑張れば登れそうだが、上部で追加ツールを使わないとむずかしいので見学にとどめる。右岸の巻き道は明瞭で難なく通過する。以前よりも全体に巻道が明瞭でしっかりしている印象だ。それだけ入渓者が多いことがわかる。

 

しばらく穏やかなゴーロ時々ナメを進むと見栄えのするスダレ状幅広8m滝へ。真ん中よりは手がかりが多そうな左の水際を少し濡れながら登る。仲間がスタスタ登っていったので、途中からはロープを出してもらい楽をする。

その後も穏やかな流れの中に小滝がいくつも散りばめられており、いずれも容易に登ったり小さく巻いていく。楽しい遡行がつづくが1480m二俣を左に入ると源頭部の様相となり、平凡な平瀬が長く続く。もういいかなと思う頃丸太橋が見えてきて遡行を終えた。10年以上前の記憶ではもっと草が生えていて狭い場所に見えたが、植生が変わったのかあっけらかんとした広場になっていた。

下山路は荒れたところもなく歩きやすい林道で、将監峠からの登山道と合流すると車が通れるような広くてなだらかな道となる。二ノ瀬に降る山道があるようだが、すなおに三ノ瀬に下って車道を歩いた方が時間はかからない。いつもなら下山の車道歩きは辛いのだが、一ノ瀬高原ののどかな風景を見ながら駐車広場に戻った。

久しぶりの竜喰谷は多くの登れる滝と明瞭な巻道、その間のきれいなナメや平瀬をバランス良く散りばめた良渓であることを再認識した。ただどこの沢でも言えることだが以前より荒れた印象は否めなかった。日帰りで無理なく遡行できることもわかったので、来年も、できれば再来年も新緑の良日に歩きにきたいと思った。

 

 

 

 

駐車地9:45ー竜喰谷出合10:00ー曲り滝上ー林道丸太橋14:30/15:00ー駐車地16:40