ブナの沢旅ブナの沢旅
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2021.03.08
志津倉山
カテゴリー:雪山

2021年3月8日

山を始めてすぐにブナが好きになった。そんな時に会津の博士山と志津倉山がブナの山として紹介されている記事をみたが、地図を見るととても遠い異郷の存在に思えた。少しずつ南会津に足を運ぶようになってもなかなか訪れる機会がなかった。2年前に初めて雪の博士山に登ったとき、つぎの冬は志津倉山へ行きたいと思った。ようやく今回実現した。

無雪期には北側の三島町から登山道があって容易に登られているが、積雪期に昭和村側から登山道のない尾根伝いに登ってみたかった。登山道は三角点のある山頂までだが、山頂から尾根を東にいくと地図で山名が記されているもう一つの山頂がある。その間はいいブナ林が広がっているが道が無いので積雪期限定となるのだ。

標高の低い地味な里山だけれど、山渓社の「東北山スキー100コース」に紹介されている。総じて傾斜が緩く藪もでていないので積雪期はブナ林の快適なツリーランが楽しめる山なのだ。

比較的短いコースなので当日発でも日帰り出来そうだが、雪の状態次第なので安全を見越して前夜発とした。新白河駅からは思ったよりも近く途中の下郷道の駅が仮眠場所となる。大岐集落はずれの除雪終了地点手前に駐車して雪道に乗り上げる。しばらくは沢沿いの林道を進みカーブミラーの地点に張り出した尾根にのる。古いテープがあった。

出だしは樹肌の白いブナの二次林だ。雪は締まっていて歩き易い。古いスキートレースがあった。尾根に上がって北へ進むと伐採を逃れた大木が所々に見られるようになる。900mからしばしの急斜面を登ると尾根が広がる。標高を上げるにつれブナの大木が増えていくが、ゆるい谷筋沿いは伐採されていて細い二次林が密集している。

1150mからは尾根というより雪原台地のような空間となりとても開放的だ。南会津の他のブナ林とはまた別の雰囲気が新鮮だった。1203mの小さなポコは志津倉山の東峰とでも言えるのか。2万5000地図ではここに山名が記されている。順調にあっけなく到着したのでさらに登山道の終着点である1234mの山頂へ向かう。

 

 

  

いったんゆったりと下る尾根がここちいい。ガスが出始め細い枝に霧氷がつき始めていたが、かえってしっとりとした雰囲気が好ましかった。青空はなかったけれど、予想以上にすてきなブナの雪尾根をしっとりと歩く幸せを感じた。

登り返しポコを一つ越えて山頂へ。山頂標識が出ていたので積雪はそれほど多く無いと思ったが、帰宅後無雪期の写真を見たところ2mほどの高い標識の半分は埋もれていることがわかった。風が無いのがうれしい。展望はないけれどようやく志津倉山に来ることができた。また来てもいいね、これくらいの山ならテントを担いでもっと雪の深い時期にラッセルしても楽しいだろうね、でも青空と霧氷もみたいね、なんていいながら熱いコーヒーをすすりながらのおしゃべりを楽しむ。

私達にしてはめずらしく時間の余裕がたっぷりある。すぐに下山してもつまらない。登りと変わらないくらい時間をかけてブナの余韻を楽しみながら、今頃になって青空の広がる林道に降り立った。

 

 

 

 

駐車地点7:00ー尾根取り付き7:30ー1203m10:00/10:15ー山頂10:45/11:10ー駐車地点14:00