ブナの沢旅ブナの沢旅
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2021.02.20
山毛欅沢山
カテゴリー:備忘録

2021年2月20-21日

やっぱり南会津の山に行きたい。週末は強風なのに晴れ予報に飛びついて昨年行きそびれたブナ街道北端の山をめざした。深雪が心配だったのでいつもの朝発ではなく前夜発を目指してレンタカーを予約しようとした所、地震で東北新幹線が那須塩原から不通のためかどこも満車。ならば最終列車で会津高原駅まで進んで翌早朝にタクシーと思ったら朝は8時からだと断られる。そんなわけで結局いつも通りの遅い出発となったが山中2泊の予定なのでなんとかなるだろうと現地に向かった。

好天の週末。檜枝岐行きのバスはめずらしくスキー客が多かったが、みな高杖スキー場で下車してしまい登山者はやっぱり自分たちだけとなる。大原集落手前で降ろしてもらい雪がたっぷりついた深瀬沢の鉄橋を渡るとまちに待ったブナの山旅の始まりだ。何度も訪れている山なのに何が違うのか、他のなんども登っている山とはまったく気持ちが違う。どうしてなのだろう。

予想どおり雪がたっぷり積もっておりしかも重い雪だ。2月の雪山とは思えないほど気温が高く、最初から植林帯の急登ラッセルで汗ばむ。先が思いやられるがこれはほんの序の口。赤岩橋の尾根と合流する手前の岩混じりの細尾根は雪壁ができていて通過するのに時間がかる。ようやくゆったりとしたブナの広尾根となるが脛ほどの重雪ラッセルが続く。

2月に入り白毛門でも日白山でもずっとトレースがあって楽だった。けれどつまらないなどとも言っていたので、ラッセルができて嬉しいでしょ、なんて言われてしまう。せっせと精を出すのだけれど遅々として進まない。1月の窓明山の時はもっと雪が軽くて楽だったのになぁ。ようやく前方にブナ街道の稜線が見えてきたがまだまだ遠い。これまで何度も月を変えて登っている山なのでコースタイムの蓄積があるのだが、前半は倍近く時間がかかっている。おまけに風が強くなってきた。

いつも初日にテントを張る尾根にはとうてい届きそうもない。時間も押してきたが、せめてブナ台地の入口となる1300mまでは進もうと頑張る。標高を上げるにつれシューの沈みも軽くなったところでザックをおろす。整地もそこそこに強風に煽られながらテントを張り、中に入ってようやく一息つく。

翌日もこの状態は変わらないだろう。初日の進み具合から終日ラッセルしてもとても目的地には到達できそうにない。おまけに二日目も強風予報は続いている。ちょっと辛いなと思う。途中まで進んでも去年と同じことになる。撤退して出直すことにしようと提案するとすぐにサンセーの返事。ラッセルをしながら互いに同じようなことを考えていたようだった。なにしろ高齢弱小パーティなので、無理せず柔軟に対応がモットーのこのごろ。けれどせめて山毛欅沢山の山頂までは行こうと決める。そうと決まれば気持ちも晴れやかとなる。強風に煽られながらも二日分たっぷりある食材をおいしくいただきながら初日を終えた。

 

 

一晩中嵐が吹きすさび雪も降ってきて時々テントから雪がサッーと滑り落ちる音がする。これほどの強風テント泊は初めてなので朝方まで眠ることができなかった。なんだか軟弱で情けないし、こういう場合はブロックを作ればいいことはわかっていてもそんな手間も技量もないしと、ないないずくし。朝は風が弱くなるのを待って出発する。テント周りのトレースはすべて消えていた。

気持ちのいいブナの森が広がる中、まっさらな雪を踏みしめていく。左手には真っ白な山毛欅沢山が見えてきた。その先には窓明から三岩、大戸沢岳の見慣れた山並みが美しい。また今年もやってきたということだけで、けっこううれしくなる。山毛欅街道の尾根に乗ると雪煙が舞っている。北側黒谷川の谷から轟々とうなり声をあげて風が通り過ぎていく。

雪庇が発達した山毛欅沢山へ向かう。いつもは近いのにパスすることが多いので、まだクラックもなく真白な山頂に登るいい機会でもある。一番高い所は雪庇がこわいので山頂から反対側の山並みが見える所まで。なんだか大きく膨らませた風船があっという間にしぼんでしまったけれど、あれもこれもみんないい。いいところなんだもの。

尾根の降り口までもどって本来進むはずだった北方向の尾根を見渡す。また来ればいいだけのこと。また来る理由ができたし。強がりつつ未練を胸にしまい込んでテントサイトに戻った。下山は早かった。予定より一本早いバスに乗り、すでに到着している電車に飛び乗って帰路についた。やっぱりこの山が好きと、あらためて感じることができた。

 

 

 

 

 

鳥井戸橋11:00ー1310m幕営地16:45//7:30ー山毛欅沢山9:15/9:30ー幕営地10:20/11:00ー鳥井戸橋13:00