ブナの沢旅ブナの沢旅
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2020.11.14
裏妙義 谷急沢右俣
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2020年11月13日

前回の碓氷川本流に引き続き西上州は裏妙義の谷急沢へ。標高が低いため紅葉が見頃でポカポカ陽気の中、落ち葉に敷き詰められた穏やかな渓相の下で久しぶりの「沢登り」を楽しんだ。もちろん沢は何度も遡行しているが、このごろはほとんどが穏やかな「歩く沢」だった。そこで沢納めのカウントダウンが始まったこともあり、滝を登るという本来の「沢登り」しかも、容易に楽しく登れる沢に行こうと谷急沢を選んだ。

前回は沢を始めたての2007年。当時はまだ体力があったのか、沢を詰めてから丁須の頭まで足をのばした自分に驚いてしまう。今回は朝発で谷急沢右俣の遡行だけ、左俣下降さえもせずおとなしく登山道を下山した。それでも十分に楽しめる気持ちのいい一日となった。

旧国民宿舎前に駐車して、いかにも妙義の山という岩峰を背に中木川沿いの林道を歩き深沢橋を渡ったところから沢に降りる。ゴーロを少し進むと最初の滝があらわれる。前回はひるんで巻いてしまったので今回は左壁をへつって越える。一見わからないスタンスがしっかりしていて見かけよりも容易だった。

 

大岩ゴーロをやりすごすとナメがあらわれるが落ち葉にうもれて光の加減では沢なのか川原なのかわからないほどだ。階段状のナメや小滝の連続でどんどん進んでいく。両岸も広がったりゴルジュっぽくなったりの繰り返し。両岸が開けたところでは見上げると自然林の紅葉がきれいだ。沢が右に大きくカーブした先には一見行き止まりのような谷あいの岩角を8m滝が流れ落ちる。特徴のある滝だ。それほど難しくはないが念のためロープを引いて登った。登りやすいところを選ぶと水流沿いとなりぬれてしまった。今回は水量が少なかったのでたいしたことはなかったが、増水気味だとかなりシャワーになりそうだった。

ロープをしまって陽だまりランチ休憩。あたりは陽の光を浴びた紅葉がとても美しい。寝転がって見上げると色とりどりの花園のようだ。

 

 

 

後半も斜度のあるナメ滝が続くがどれも容易に登れる。ぬめりもなくて快適だ。そしてハイライトの15m滝へ。柱状節理を横にしたような階段状の滝が見上げる先まで続いている。ルートは明瞭で左から登って中断でトラバース後、右壁から滝上へ。気持ちがいい滝登りが楽しめる。

奥の二俣を左へ進むと沢幅が狭まり傾斜のあるナメ小滝群となる。いずれも手足が豊富で問題ない。一見のっぺりしたナメは細かいホールドを探して登るがフリクションがいいので安心感がある。そして沢を塞ぐような10m大滝へ。これが最後の滝だ。左壁から取り付いて越えるが途中でちょっと左に逃げようとしたためにかえって悪かった。仲間は右から巻いたがこれもズルズルであまりよくなかったようだ。沢ではよく逃げようとして逆効果になることがあるが、やはり正攻法にこしたことはない。

 

 

 

最後の大滝を越えると二俣となり水がほとんど涸れてしまう。今回は三方境の登山道を下るのでここで遡行を終了する。靴を履き替え右沢に張り出した小尾根についた微かな踏み跡をたどる。地図のポコに乗り上げた後は登山道に続く細尾根を進むとあっけなく登山道に合流した。この間10分くらいだろうか。登山道は自然林の気持ちの良い尾根と沢筋に下って巻く薄暗い植林帯を繰り返しながら中木川沿いに下る。再び山道に入るとひょっこり車道にでて旧国民宿舎にもどった。

久しぶりの谷急沢は沢登り的に進歩の無い私たち高年者にも十分に楽しめる沢だった。ヒルがでるらしいので紅葉の時期が最適と言われているが、落ち葉のないすっきりとした新緑の時期にも遡行してみたいと思いながら帰途に着いた。

 

旧国民宿舎9:20ー深沢橋9:45/10:15ー大滝上12:45ー登山道14:20ー旧国民宿舎15:30