ブナの沢旅ブナの沢旅
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2020.10.27
摺上川烏川下降〜滑谷沢右俣〜栗子山〜三本松沢左俣下降〜滑谷沢左俣
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2020年10月27-28日

4年ぶり3度目の滑谷沢だったが、いつものように代替山行で天気のいい山を選んだ結果となった。などというと身も蓋もないが、晩秋のナメ沢をのんびり歩いて焚き火ができればどこでもよかった。と、これまたストレートなもの言いだが、自分好みの沢であることは言うまでもないのだ。予想通りの好天と紅葉と気候も穏やか。これ以上望むべくもない晩秋のブナの沢旅となった。

日の短い季節でのロングコースなので久しぶりの前夜発とした。東栗子トンネル入口の広い駐車場で仮眠して翌朝6時には出発する。登山道はボランティアの人たちにより整備されており、車高の高い車ならば二ツ小屋トンネルまで行けるらしい。戦前に作られた第2代の万世大路のレトロなトンネルをくぐって烏川橋から沢に下る。

4年前にはショートカットで滑谷沢左俣を下降して右俣を遡行した。その時に感じたのは、なんだか最初に遡行した時のイメージと違う、もっとゆったりとしていたはず。あとで思えば、それは烏川下降〜滑谷沢二俣までの印象で、それが自分にとっての滑谷沢のイメージだったのだ。右俣に入ると「なにもないゆったり感」からよく言えば変化に富んで滝もあらわれ沢らしくなる。

烏川を下り始めると何度も小さいイワナが足元をスッスッと通り過ぎていく。あのチビたちが越冬して大きくなって来年の解禁で釣師に取られてしまうのだなと思う。沢に陽が差し始めると途端に色づいた森の景色が煌めく。ちょっとしたゴルジュがあるくらいの歩く沢だけれど心地よい。滑谷沢出合から下流の烏川は沢幅がグッと広がったナメ模様でその先がどのようになっているのか進んでみたい。つぎがあるとしたら烏川を更に下降して枯松沢に入ることだろうか。

相変わらず平瀬ゴーロとナメを繰り返す穏やかな渓相が続いて二俣へ。右岸には多くの遡行者に利用されている様子の広いテン場。左俣は廊下状の岩盤が続いている。右俣に進むと少しずつ斜度を増し、ちょくちょく小滝があらわれる。難しいものはないが、すこしヌメリもあるので簡単に巻けるものは巻いて進む。

 

 

 

 

細かく蛇行しているので地図で目測するより時間がかかるが、あくせくするのは似合わない。紅葉を楽しみながらのんびりとマイペース。高度を上げるにつれ両岸に端正なブナ林が広がり黄金色に輝いている。ナメ滝の連瀑帯を巻きさらに続く小滝やナメ滝をこえると穏やかな平瀬となり奥の二俣となる。今宵のねぐらに到着だ。ブナの広場と呼んでいる一段高い平地でザックをおろし、まずはなつかしい目の前の二本のブナの大木に擦り寄る。そしていつものポーズ。

おじいさんは山に焚き木集めに、おばあさんはねぐら作りと手分けをして夕餉の準備に取りかかる。そして火を熾す。楽しいというより無心に心安らぐひと時だ。日が短いので最近は暗闇の焚き火時間が増えている。夏はいつまでたっても暗くならないので待ちきれずに寝てしまうのだから。

 

 

 

谷の夜明けは遅い。燠火で小さく焚き火をしながら明るくなるのを待ち6時過ぎに出発する。今日も長い一日になりそうだが、標高差が小さいので疲れはそれほど感じない。奥滑沢をわけ栗子山に突き上げるシジカ平沢へ。悪場がないことはわかっているので気が楽だ。魚止の滝の左岸から急斜面を巻き上がるが最初に来た時はなかった踏み跡が今では明瞭だ。

途中で一旦荒れた雰囲気のところをやり過ごすと上流部はすっきりとしたナメが続き、最後の見どころとも言える15~20mのナメ滝となる。滑るので今回は小さく巻いた。1150m付近で水が枯れ壁となる。最初は藪とも言えない緩い斜面を進むと次第に低潅木が煩わしくなる。できるだけ楽な笹藪をかきわけながらのっぺりとした山頂三角点へ。展望がまったくない藪に覆われた山頂だが、自分の中ではなぜかこの不遇の山が滑谷沢と一体となっているのだ。

年々笹の繁茂が拡大していて刈り払いもされていないため、ここに来るたびに三角点広場が狭くなっている。山頂標識もなく、笹にテープが巻かれているだけだった。今となっては最初の登頂の時の様子が懐かしい。山頂から南側の尾根を下るが、ここからはテープに導かれて踏み跡がある。途中に山形側の展望が開け眼下には山形側の栗子トンネル出口と米沢湖。最奥には飯豊山地が早くも白い山並みを連ねて見える(後日、栗子から遠望した飯豊のとある沢で同じころ、時々ブログを拝見していたベテラン沢やさんが遭難されたことを知った)。一方南方には吾妻連邦の西から東までの長い山並み。今回が一番展望がよかった。

テープと踏み跡は西に伸びる尾根のところで下りになる。どうも山形側から登ってくる道があるみたいだ。(あとで調べたところ尾根を下って旧万世大路に通じる道があることがわかった)いつか歩いてみたいと思う。1202m手前鞍部までは軽い笹薮をこぎ、適当なところで斜面を下るとすぐに窪となる。三本松沢左俣は下りやすい沢で途中からは両岸のブナ林がとても端正で美しい。途中で極上のナメコを収穫し、右俣との分岐に差し掛かる手前で少しだけ尾根を下ってみるが藪もなく歩きやすい。プチ逍遥気分を味わいながら二俣に降り立り、最後のお楽しみへ。沢幅いっぱいのナメが楚々と流れている。とてもステキなフィナーレだ。

滑谷沢左俣出合いは滝の裏側を通過するアトラクションがあるのだが、濡れるので今回は手前でゆるい尾根をまたいで滝上の平瀬に降りた。ちょうど釣師のテン場が両岸にあるところだ。最後は左俣をゆるく登って大平橋へたどる沢歩きはまさにクールダウン。午後の陽をたっぷりと浴びて何もない平瀬が美しい。大平橋にあがるところで小一時間ほど休んでお湯をわかし、最後の余韻を楽しみながらのティータイムをとる。時間の余裕はあまりなかったが、最後は林道歩きなのでよしとする。

古の大路をつないだ二ツ小屋トンネルをくぐり、紅葉のグラデーションに彩られた林道をてくてく歩いて晩秋のブナの沢旅を終えた。

 

 

 

 

 

東栗子トンネル6:00ー烏川橋7:00/7:20ー滑谷沢出合9:45/10:00ー奥の二俣15:30//6:10ー栗子山9:20/9:35ー1202m鞍部10:30ー滑谷沢左俣13:25ー大平橋14:35/15:25ー東栗子トンネル17:05