ブナの沢旅ブナの沢旅
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2019.11.21
西伊豆 仁科川中ノ沢下降〜三階滝沢
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2019年11月21日

たぶん今年最後の沢になるだろうと、イメージ的に温暖そうな西伊豆の沢に向かった。伊豆にも沢登りの対象になる沢があるということは、数少ない相互リンクの「さわね」の元メンバーが地元の地の利を生かして遡行、紹介されたことがきっかけだった。どれも難しくなさそうだったので、「いつか機会があればリスト」に入っていたが、ようやく実現した。これも一種のリアル怪我の巧妙かもしれない。三階滝沢だけでは短いので隣の中ノ沢を下降してから取り付くことにした。

三島駅からレンタカーで、まずは西伊豆スカイラインの仁科峠をめざす。牧場やコテージがある牧歌的な峠をこえ59号線に入る。中ノ沢にかかる橋を越えた広い路肩に駐車して、橋の手前の窪から中ノ沢におりたつ。

橋をくぐるとさっそく小滝が続く。右岸から下るとすぐに前方が切れ落ち10m斜滝。ウォーミングアップもなく次々と滝があらわれる。巻き降りるルートをさぐるが難しいというほどではない。左岸から巻き降りるとすぐにきれいなナメが続く。なかなかの渓相で、下降沢とするのはもったいない気がする。こんなに長い幅広ナメは丹沢には見られない。その後も数メートル規模の直瀑や小滝が続くが、クライムダウンできる滝は少なく、左岸、右岸と巻き降りる。時に頭をひねるのが楽しいが、けっこう時間がかかる。

ふたたび10m大滝に阻まれる。右岸を高巻いて滝下に降り立つ。なかなか立派な滝だ。沢は穏やかな川原状となり、木にマークが見え始めた。滝見のルートらしい。左岸には苔むした石垣や炭焼き跡があらわれる。と思う間もなく道がでてきて素掘りトンネルの前へ。むかし金鉱があったという記事を読んだがほんとうだろうか。吊り橋の向こうには小屋が見え、前方に三階滝沢出合いのナメ滝も見えてきた。歩道とロープも見える。なんとか予定時間内に二俣に降りたので、ここで昼食タイム。

 

 

 

さあこれからがメイン遡行だ。遊歩道からナメ滝を越えて沢に降り立つ。そして予想外の大滝に歓声をあげる。20m滝が水量豊かに轟音を響かせている。真ん中の大岩で水流が分かれ、遠目には猛獣が吠えているように見えて面白い。しばらく眺め飽きることがないほどだった。

さてと巻き道に入る。歩道は中ノ沢に戻るようについているらしかったが分からなかったので、右岸を小さく巻いた。上部に不安定なところがあったが、おかげで迫力のある上部を間近に見ることができた。すぐに美しいナメ滝があらわれる。登れないがこの沢には右岸に歩道が付いているので容易に進める。かなり朽ち果ててはいるが進むのは容易で気が楽だ。渓相は中ノ沢よりもゴーロ川原が開けていて明るい。小滝や斜滝がつぎつぎとあらわれるが登れるものは少ない。概ね右岸から滝を絡むように進むと時々朽ち果てた歩道の木橋やロープがあらわれる。

滝を落とす枝沢の先でふたたび6〜7m規模の斜滝を二つ越えると前方に大滝が見えてきた。これが三階滝のようだが、出合いの20m滝の方が水量も多く堂々としている。両岸を岩壁に囲まれていて近づくと威圧感がある。ここで遡行終了。

少し戻って左岸の小尾根に取り付くと古いロープがかかっていた。林道からの下降点らしいが、その上は経路が不明瞭。適当に尾根を登ると傾斜が緩んだ植林帯となり、ガードレールの切れ間がみえてきた。三階滝歩道入口の標識が立っていたが、今は廃道化しているのだろう。

車道に乗りあげれば駐車地点までは一頭足。沢を下って登るだけの手軽な周回コースだった。登れる滝は少ないが、どちらの沢も短い流れの最初と最後に見栄えのある大滝をかけている。コンパクトに滝巡りができる、なかなか楽しい滝見の沢遡下降でシーズンを終えた。

 

 

 

 

中ノ沢入渓10:20ー二俣12:50ー三階滝15:15ー車道15:40