ブナの沢旅ブナの沢旅
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2018.12.21
南会津 小野岳
カテゴリー:備忘録

2018年12月21日

前日は八溝山で手軽なハイキングを楽しんだ後、一路北上して南会津の大内宿へ向かった。甲子トンネルまでは雪が少なかったが、さすがにトンネルを越えると景色は劇的に変わった。小雪舞う曇天の中、突如びっしりと霧氷に覆われた山々が姿をあらわした。ようやくの雪山に、気持ちが色めき立つ。けれど峠を越え下郷に入ると再び雪が少なくなり、目指す大内宿の茅葺き屋根にも雪はまばら。大内宿の冬景色といえば、こんもりもっこり雪が積もった茅葺き屋根の家並みなので、なんだか貧相な感じだった。

小野岳は7年前の2月以来。そういえばあの時も釜房山から大白森へのテント泊だったところ、暴風のため釜房山から引き返し、その足で小野岳に向かった。無雪期にはコースタイム半日ほどの小さい山であり、その割には東京方面からは遠い山だ。今回も本来の計画から離れた次善の山だった。

小さな民宿で一夜を明かした翌朝、天候の回復を待って少し遅めに登山口へ向かった。ここでも歩き始めはほとんど雪はなかった。それでも林道終点に近づくとツボ足では歩きづらくなり、ワカンを履いた。前回テントを張った広場も真っ白だ。植林帯に入ると次第に雪深くなりちょっとした標高差の違いによる積雪のギャップを感じる。きっと気温が高くて平地では雨になったせいかもしれない。

ほぼ登山道沿いに進み、谷筋を離れて尾根に乗るとスネほどの軽いラッセルとなる。いかにも雪山始めの雰囲気でウキウキする。何しろ12月に入ってからずっとこの日を待ちわびていたのだ。さらに1223mから北に延びる尾根にあがる。するとここからは思わず息をのむほどの美しいブナの霧氷の森となり感嘆の声がでる。高曇りの空からは太陽があらわれ、いつの間にか見上げる空は青くなっていた。

ブナの霧氷と青空と適度のラッセル。これこそ期待していた雪山三種の神器なのだ。ちょっとオーバーな物言いだけれど、うれしくてかなりハイになってしまった。山トモは淡々としているが、うれしくないのだろうかなどと、一人ではしゃぐ。1223mのポコに乗り上げると小野岳山頂は霧氷で真っ白だが、とても遠くに感じられる。しだいに深くなってきた雪で歩みも遅々として、ほんとに行けるのかと思うほど。私にとって膝下が交代しながら持続可能なぎりぎりのラインなのだ。

一旦下ってからの急登のラッセルには難儀した。小まめに交代しながら精を出すがスノーシューにしなかったことを悔やむ。甘く見ていた。登りのタイムリミットを2時に決め無心に雪を漕いだ。山頂近くでようやく傾斜が緩む。真っ青な空には霧氷をまとったブナの枝が繊細なレース模様のように広がる。

山頂といっても広い台地のようだ。小さな石の祠と「覚書」と書かれた由来標識が目に入る。7年前には隣に立派な山頂標識があったが見当たらなかった。別の所にあるかもしれないとさらに進んでみたが再び雪深い樹林となって下り気味。もどって石の祠のそばでザックを下ろした。(後でわかったのだが、山頂標識は倒れて祠の土台に立てかけられていたらしい。少し掘り起こせばよかった。)

ガスで何も見えなかった前回と対照的な天候に恵まれたことを喜ぶ。とはいえ、積雪がまだ多くないため展望はそれほどでもなかった。あと2〜3mくらい積もれば、見える景色も変わってくるのだろう。ガスを出してお汁粉であたたまる。あとは自分たちでつけた雪道を下るだけだ。

もう一度霧氷の森の美しさに時々足を止め、目に焼けつけながら登山口に下り立った。

 

   

 

登山道入口9:15ー山頂13:30/14:00ー登山口15:50