ブナの沢旅ブナの沢旅
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2018.07.22
笛吹川久渡沢ナメラ沢
カテゴリー:備忘録

2018年7月21日

このところ奥秩父の沢から遠ざかっていた。沢を初めた当初は沢の会に入っていて、その頃は奥秩父の沢によく行った。同じ頃に木暮理太郎の「山の憶い出」を読み、「奥秩父の山旅日記」や「釜沢行」「笛吹川の上流(東沢と西沢)」などで奥秩父の渓谷美に思いをよせた。

けれど山岳会の山行の移動手段は車だったので、東北方面への機会はかぎられた。一方、ブナの沢旅を始めてからは車にしばられず電車を利用した東北方面への沢旅へと山行の幅が広がった。最初の頃は奥秩父へも足を運んでいたけれど、選択肢が広がるといつのまにか疎遠になっていた。なぜかそんなことに思い至り、これからはもっとこの山域にも眼を向けたいと思った。

そこで今回は奥秩父方面に行くことに意義があると目標を低く設定し、朝発日帰りが可能な易しい沢であるナメラ沢に向かった。沢の会にいた12年前に遡行して以来である。あの時は稜線まで詰めた。水が枯れてからが長かった。富士山がよく見えた展望の素晴らしさが印象的だったことと、途中のナメ滝ですべって少しずり落ちたところをリーダーに食い止めてもらった思い出がある。

大月駅からレンタカーで雁坂トンネル料金所の駐車場へ。朝発だと到着が9時半近くになるが、今回は完全遡行するつもりはなく適当なところで青笹尾根に上がって小さく周回する予定。以前は沓切沢橋から沢に降りたが、さらに登山道を進んでナメラ沢の標識があるところから峠ノ沢に降りてみた。どちらが早いかは微妙なところ。少し下るとすぐに二俣となりナメラ沢に入る。

一時はかなり荒れてナメが倒木でふさがれたりしたが、何年か前からはそんな倒木もなくなって再びすっきりしたらしい。このところの渇水で水量は少ないと思っていたが、そんなことはなかった。すぐに花崗岩の一枚岩のナメがあらわれ期待をもたせる。堰堤のような豪快な滝は右から簡単にまけるようだが、右壁のバンドから立ち込んで左の小さな水流の壁を這い上がる。ここでかなり濡れたが暑いので気持ちがいい。

すぐに気づいたが、木陰を選んで歩いていつの間にか中ノ沢に入ってしまった。ナメラ沢はじつはゴーロも多いのだが、うまい具合の間隔で美しいナメとナメ滝があらわれる。前回すべった一枚岩のナメ滝は水流脇のツルツルしていないところを登る。初心者の時は、どこでどのくらい滑るかがわからないので無造作に取り付いたのだと思う。

ナメやナメ滝に倒木が立ちふさがることはなかったが、やはり全体として荒れた感じは随所にあり12年前との違いを感じる。もっとも、最近は荒れていない沢は珍しいかもしれない。昔から自然災害は繰り返されてきたわけで、その度に沢も荒れたり元に戻ったりを繰り返してきたのだろう。けれど最近は自然の復元力が追いつかないほどの気候の変化が明らかにあるような気がする。

1680mの二俣は広い川原状で、いい雰囲気のテンバがあった。この先は沢床が荒れた様相でごつごつしている。空にも雨雲らしき雲が広がっている。どこまで行くかは現場判断としていたが、この辺でもういいかなという感じになる。沢を下るという選択肢もあったが、それでは味気ないので少し長めに休んだのち、少し登った右岸の小さな枝沢に入る。ここを詰めるといい雰囲気の笹原が広がる。いかにも青笹尾根という名前にふさわしい様相だ。適当なところで沢型を離れ、トラバース気味に低い笹を漕いで尾根に上がる。

最近はナメラ沢の下山路としてよく歩かれているのか踏み跡は明瞭だしテープや赤ペンキもある。1859mポコあたりで雨が降り出し、次第に雷鳴を伴う大降りになってきた。天気予報では山沿いで雷雨の可能性を示していたので万一に備え今回は傘を持参した。樹林の大木の下でしばらく傘をさして雨宿りをする。時間の余裕はあったので、たまにはこんな山行もありだとゆったり構える。そういえば、こんな風に雨に降られるのは釜の沢や竜喰谷だったりで、奥秩父が多いことに気づく。

30分ほどで小降りになったので行動を再開。青笹尾根の下降路は幾つかあるようだが、一番下りやすそうな1735m南東尾根を下る。分岐は尾根がいくつも派生しているので読図に注意。そんなことを楽しみながら最後は小沢に降りてナメラ沢を少し下り、入渓点に戻った。ほんの短い間だったけれど沢にも一時的にかなりの雨が降ったのか、濁って少し増水していて驚いた。やはり天候が悪化すると沢は怖いと思った。

短い遡行だったが大雨に降られたり尾根で読図したりと、変化があって面白かった。これからはもう少し気軽に奥秩父の沢に足を運びたいと思う。

 

 

 

雁坂トンネル駐車場9:20ー入渓点10:30ー二俣12:40/13:00ー青笹尾根13:20ー(停滞)ーナメラ沢15:10ー駐車場16:40