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2018.05.11
巣神山〜小法師岳
カテゴリー:山歩き

2018年5月11日

 

当初は残雪と新緑の山旅を東北で検討していたのだが、天候や雪の状態などからピタッと期待に添えるようなプランができず、仕切り直す事に。そこで、それほど遠くないけれどいつもの近場よりは遠方感がある足尾で新緑の花ハイキングと沢はじめをすることにした。

足尾の新緑といえば、以前所属していた山岳会の先輩に誘われヒライデ沢を遡行して袈裟丸山に登った。目当てのアカヤシオはすでに終わりかけていたが、ゆったりとした山容と渡良瀬鉄道が印象に残った。

今回は、以前から気になっていた登山道のない小法師岳を計画した。小法師岳というよりは小法師岳にいたる尾根を歩いてみたかった。

時間を節約するため、当日は宇都宮経由でJR日光駅に行きレンタカーで現地へ向かった。9時前には登山口となる庚申ダムの駐車場に着いた。日光というとこれまでは東武線しか頭になかったが、JRを使えば割引料金となるし40分ほど早く到着できることがわかった。

駐車地点から少し戻って巣神山からのびる尾根の取付き口である古い墓地の坂道を行く。尾根の斜面に点在する墓石を見ると明治大正期が多く、ほとんどが打ち捨てられたように佇んでいる。中にはただ「鉱夫の墓」というものもあり、足尾銅山時代の片鱗が感じられた。

地図では巣神山までは沢沿いに道の線が引かれているが、記録を見ると歩きにくくわかりづらいようだ。そこで目の前の急斜面の尾根に取り付くことにした。900mまで登ると傾斜は緩み、ヤマツツジが点在する広葉樹の尾根となる。1000mを越えると下ではすでに散っていたミツバツツジが多くなり、シロヤシオがあらわれる。とても美しい尾根歩きがつづく。

巣神山はどこが山頂かわからないほどずんぐりした台地だが、少し奥まった岩陰に小さな手作りの標識が控えめにかけられてあった。ここで花を眺めながら長めの休憩をとる。ここから林相が変わり、カラマツ林のゆったりとした道が続く。植林の山は好きではないが、カラマツ林は新緑が美しく、どこかのリゾート地のような雰囲気の広い尾根道となる。

1380mで東の尾根と合流すると、小法師尾根のセールスポイントとも言える笹原の尾根となり、ミツバツツジやシロヤシオが両側をいろどる。標高をあげるにつれ新緑も初々しく太陽の光に照らされて輝いて見える。あまり予備知識がなくタイミングもねらったわけではなかったが、一番いい時に来ることができたと頬が緩みっぱなしとなる。

巣神山からは地図に登山道はないが、概ね踏み跡は明瞭だ。所々笹に隠れてわかりにくいところもあるが、適当に笹を踏んでいけば問題ない。1526mの尾根に乗ると庚申山方面の展望が得られるようになる。木々の芽吹きも始まったばかりで、新緑の前に咲くアカヤシオがちらほら見られるようになる。

小法師岳も平坦な台地状だが、ここでも手書きの可愛らしい標識が木に取り付けてあった。庚申川をはさんで対岸から見るとどのような山並みかがわかるのだろうが、今回は登り始めてからの標高差は1000mほどもあるのに山に登っているという感じがしない。花に見とれながら歩いたせいかもしれない。

手書きの標識にタッチしてからお花見のピクニックよろしく店開きをしてのんびりする。とても幸せなひと時を過ごすことができた。

帰りは来た道をもどる。来る時にはトラバースしたポコへ向かったところ、なんと自然のワラビ畑になっていた。喜びいさんでワラビ採りに精をだし、食べきれる程度の分量をいただく。

同じ道を戻っているのに、午前と午後では太陽の位置の違いで違った道を歩いているように見えたりするので飽きることがない。1040mで沢沿いの登山道が合流する。最後の急斜面の尾根を下るのは避けたいので沢沿いの道へ進むことにした。テープもあり途中まではよかったのだが、道なりに進んだら元の尾根にもどってしまった。どうも途中で沢に下る分岐を見逃したようだった。そんなわけで再び尾根を忠実に下り、冷や汗をかきながら最後の急斜面をくだって車道にでた。

これほどの山が丹沢や奥多摩にあったら大賑わいになること必須だが、他に誰もいない静かでぜいたくな花ハイキングとなった。足尾は山岳景観的には華やかさにかける地味な山域だが、だからこそ静かで好ましい山歩きができるため最近あらためて注目している。

 

 

 

庚申ダム駐車場9:10ー巣神山11:20ー小法師岳13:20ー駐車場16:50