ブナの沢旅ブナの沢旅
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2017.02.27
城郭朝日山〜古町丸山〜尾白山
カテゴリー:備忘録

2017年2月27日〜3月1日

 

1月は南会津だったので、今回は当初東北の山を考えていたが天候が思わしくない。そこで再び慣れ親しんでいる南会津の山を再訪するのも悪くないと計画。以前から残雪期しか知らないこの山域の厳冬期のブナ林を歩いてみたいと思っていた。2月下旬ともなれば雪もかなり締まってくるだろ。二泊三日の日程が取れたので、ブナ街道の北端と自分で位置付けている城郭朝日山を目指した。きっとヤブに悩まされることもないはずという目論見もあった。

会津高原尾瀬口からバスに乗ると、平日ながら乗客がちらほら。みなたかつえスキー場で下車した後は我々だけとなる。鳥井戸橋で降ろしてもらい、シューを履いて深瀬沢の土手の雪原に乗る。一面真っ白な姿を見るのは初めてのこと。くだんの鉄の橋ももっこりと雪に覆われている。細い板の橋なので、踏み外さないよう真ん中を慎重に渡る。最初は植林帯の急斜面だが、雪が付いているのでかえって登りやすい。一箇所雪壁に阻まれたところはスコップで切りくずす。雪は予想以上にしまっている。

尾根が北西に曲がってからは傾斜も緩み、気持ちの良いブナの尾根となる。残雪期に見えていた樹木の積雪ラインが見えないので、きっと今の時期が積雪マックスなのだろう。潅木なども一切埋もれてブナだけが林立している姿は美しい。この尾根はもう何度歩いたかなあと思う。一人でも2回来ているほど好きなところなのだ。

雪の状態によっては稜線までたどり着けないと思っていたが、シューでせいぜい10センチほど沈む程度だった。稜線に出て少し尾根を下った辺りの平坦地でザックを降ろした。ちょうど行動時間のリミットと考えていた4時半近くで、ここまで来ることができたのは上出来だった。

風が強くてテントを張るのに少し難儀するが、中に入ってホッとする。今回はこのテン場をベースに翌日は空身で城郭朝日山をピストンするため、いつもより生の食材を多めに運んできた。ちょっと寒かったけれどビールで乾杯。持ち寄ったおかずだけでお腹が一杯になるが最後はうどんでシメて初日を終えた。

 

夜中に風はおさまり、穏やかな朝を迎えた。雪の状態もいいのでそれほど早出をしなくても大丈夫だろうと、少し遅い出発となった。(あとで、もっと早く出ればよかったと後悔)

5本のダケカンバが目印の小手沢山から恵羅窪山へ進む。穏やかでまっさらな雪尾根に林立するブナの大木をぬって進む。ひんやりとした空気が清々しい気持ちを盛り立て、幸福感に満たされる。真っ青な空と、真っ白な手つかずの雪とブナ。これぞ「ブナの沢旅」の思い描く雪山だ。これ以上何を望むのと言いたいところだけれど、欲を言えば霧氷が欲しいー

恵羅窪山を越えてからもゆったりと小さなポコをいくつも越えていく。1446mを超えた鞍部手前まではずっとずっと美しいブナの原生林。真っ白な城郭朝日山が近づいていく。残雪期には山頂手前の小さな峰が二つともヤブになっているが、見渡すところ雪庇の張り出した雪堤が続いている。2年前はヤブ峰を回避するために西面の急斜面を緊張しながらトラバースしたことを思い出す。

1386峰手前の小ピークから一旦下るところが急なため、ここでアイゼンに履き替える。最後は無木立の斜面を青空に向かって登って山頂へ。ずっとブナの森を歩く雰囲気から突然抜け出して、360度の展望が得られるというドラマチックな展開だ。今回が初めてのsugiさんは、私がこの景色を見てもらいたがったわけがわかったと、感激していた。

 

 

会津朝日岳から丸山岳に続く稜線も真っ白で、天候さえ安定していれば今の時期でも歩けそうな気になる。浅草岳から遠く矢筈岳、御神楽岳も小ぶりながら真っ白だ。そしていつも彼方に浮かんで見える真っ白な飯豊連峰などなど、山座同定が尽きない。

山頂からの下りでは、稜線の雪庇と急斜面の雪襞がよく観察できる。まだ崩れてはいないけれど、賞味期限がとても短いことが感じられる。とてもいい時期に来ることができたことを改めて嬉しく思う。

さて、あとは来た道を戻るだけ。と言いたいところだが、何しろたくさんのポコを超えなければならない。次第に登り返しが体にこたえ、足取りが重くなる。

そんなわけで、最後は時間に追われる感じとなってしまったが、残照のブナ林の美しさに目を奪われるだけの余裕を持ちつつテントに戻った。厳冬期としては堅雪だったと言えるかもしれないが、2年前は残雪期。そのコースタイムを参考に計画してはいけない。

疲れたけれど、素晴らしいコースだった。2月の城郭朝日山に登れたことの幸運に感謝して1日を終えた。

 

 

最終日は古町丸山から尾白山を経て下山することに。2009年の三月中旬に尾白山から登って逆コースを歩き、初日に登った尾根を下った。まあ余裕を持って下山できるだろうからと、3日目の出発も7時過ぎ。(この日も、後でもっと早立ちすべきだったと後悔)

朝は栃木県境方面の山並みが雲海に覆われ、墨絵の世界を見ているようだった。丸山までは前日以上に緩やかな山並みが続く。すべてブナ林だが、部分的に二次林となりブナの太さもちょっと小ぶりだ。ここだけを歩けばそれなりにいい感じと思えるのだが、何しろ前日に堪能しているので目が肥えてしまった感じ。

丸山までは以外と時間がかかったが、本当に運動場のような広い山頂で、山頂脇にある雨量観測小屋(?)は存在を示す程度にほんの一部だけが見えるだけで埋もれていた。丸山も360度の展望だが、空が少し霞んでいた。

 

心配だった下りはアイゼンに履き替えた。一度下ると再び緩やかな尾根となるが、尾白山に近づくと次第に痩せ五葉松が顕著になる。尾白山は「会津百名山」にエントリーしており、地元でも登山道の整備が行われたり山開きの行事があるようだが、山頂の標識は埋もれていた。一番高いところの木に巻かれたテープが唯一の目印だった。そういえば、この3日間で人の気配(目印)はこれが初めてだ。

尾白山からはいよいよ麓に下る。ずっと痩せ尾根が続き、時には尾根通しに歩けないところがあったり、踏み抜きが多くなる。困難なことはないのだけれど、アイゼンとシューを頻繁に履き替えたり何やらで時間がかかる。それでも明るいうちには下山できるだろうと、最初は楽観的だった。下りでは細かい分岐が結構あって、その都度ルートの確認に慎重になる。何しろ一回でも間違ったら大変なことになるというのが暗黙の了解になっていたからだ。

1100m付近から主尾根を外れて南東尾根に下る。麓が見えてきたが、下るほど尾根が分岐してくる。登山道は沢ぞいのトラバース道になっているようだが、麓の養殖場近くに伸びている尾根をひたすら下る。デコボコして歩きにくかったが、最後は時間との競争でひたすら下って降り立った。ほっ。

除雪していない林道に上がれば、あとはひたすら雪道をたどって宮澤集落の車道に出た。少し見通しが甘かった、またタクシーを呼ばなければならないと言いつつも、歩き通した達成感と充実感は久しぶりに味わう感触となった。

 

2月27日 鳥井戸橋11:05ー山毛欅沢山分岐尾根16:15ー1460m幕営地16:20
2月28日 幕営地7:05ー恵羅窪山9:30ー城郭朝日山12:20ー小手沢山17:00ー幕営地17:40
3月1日 幕営地7:10ー古町丸山11:30ー尾白山13:30ー林道17:20