ブナの沢旅ブナの沢旅
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2015.06.07
杉田川
カテゴリー:

2015年6月7日

 

安達太良山麓には遡行価値のある手頃な沢が10本近くある。6月初めから入渓可能なので、東北の沢始めにピッタリだ。今年も地元のyukiさん恒例のタケノコ狩り付き沢始めに同行させてもらった。

2年前の前回は天候が今ひとつ冴えず、途中からガスがでて肌寒い遡行になった。今回は好天に恵まれ、新緑シャワーを浴びながらの遡行を楽しんだ。
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磐越西線の喜久田駅で待ち合わせ、遠藤ヶ滝駐車場へ向かう。予想通り駐車場にはすでに何台もの車が並んでいた。地元以外の車が多いので、杉田川に入っているのだろう。

沢支度をしてまずは遊歩道を進む。5月末の奥森吉では残雪豊富で、季節が変わりつつある雰囲気を楽しんだが、ここは完全に沢の季節。エゾハルゼミと沢音が初夏の到来を感じさせる。

30分ほど歩いたところの橋をわたって沢に降りる。さっそく岩盤のナメとなる。最初は足下のヌメリを警戒しながら慎重に進むが、水流の中は大丈夫。調子に乗ってスタスタ歩いたところ、苔のついた岩でズルッ。ぬめりゾーンにはまったようでフリーズしてしまう。こんな所でお助け紐のお世話になるとは。。。

しばらくはナメと川原歩きを繰り返す。沢がカーブして長いナメ状滝となるところではいつも、その美しい景観に足をとめる。ようやく最初の滝があらわれる。階段状の右岸を簡単に登る。ここから滝が連続して杉田川のハイライトとなる。

2段6m滝は右岸をトラバースして滝の左壁に取り付く。一度滑るとビビリモードのスイッチが入ってしまい、ここでは乾いたルートを探す。かえって難しくなり、足を抑えてもらってなんとか這い上がる。

左岸にスラブをもつ6m滝は左手の泥壁を斜上する。手足はあるのだが外傾していて滑りそう。なんとかなるとは思ったけれど、yukiさんがロープを出すという。以前ならロープの準備をしている間に自力脱出したりもしたが、最近はとても素直になっている。それにしてもこれまで2回はとくに苦労もせずに登っていた所だ。あとで地元山岳会の記録を見たところ、年々難しく感じると書かれていた。

杉田川の「名物」グラグラする鉄梯子のかかった6m滝へ。ここは滝頭に乗り上げる所で鉄梯子に足を掛けないと難しい。何十年もグラグラ状態のようだが、建物の免震構造と同じで、適度の緩みがあるからかって長持ちするのかななんて、思ったり。とくに不安もなく足を掛けて乗り越す。

その後は釜をもつ小滝がつづくが、いずれも左右どちらかを登ることができる。見上げると目一杯背伸びをしたブナが大きく枝を広げている。谷筋の樹木は人一倍努力して背を高くしないと太陽の恵みを得ることができないからだ。

何箇所か前回はなかった倒木が行く手を遮る。どれも真新しい葉をつけているので、最近の現象のようだ。無理もない。両岸は岩の斜面に土が薄く乗っているような地形で、そこに必死にしがみついているのだ。以前摺上川の叶道沢を遡行したときも同様の地形で、倒木が多かったことを思い出す。

前方に2条8m滝があらわれ、先行者の姿が見えた。少なくとも数名のパーティらしい。水量は前回より少なめで、水中の苔が太陽に照らし出されてきらめいている。とても美しい。

左岸から取り付き、上部は水中に手がかりを求めて登る。晴れているので気持ちがいい。滝上で休憩し、作ってきてもらったおにぎりをいただく。

その後はちょっとしたゴルジュ風になり、釜を持った小滝がつづく。それほど難しくないが、釜に落ちたくないので慎重にへつりを繰り返す。幅広小滝を左岸から小さく巻くとゴルジュ出口のトイ状滝で、右岸をヘツリながら登る。なぜかここは前回よりやさしく感じた。

すぐに二俣となり、別の4人パーティが休んでいた。軽く挨拶をかわして右沢へ進む。杉田川のハイライトは終わり、平凡な小川風情の沢を淡々と進む。最後の滝、2段8m滝も見栄えのする滝なのだが、いかんせん前回あった倒木が居座っている。yukiさんが取り払おうかと言うが、無理だよと軽く流す。

ここは左右どちらからでも登れるが、一見のっぺりしている右岸壁の方が細かな階段状で登りやすい。先行パーティは左岸を巻いていたが、かえって大変そうだった。

ここからは私たちが先行し、赤テープが目印の遡行終了点へ。一ヶ所あれば十分なのに、テープの数がやたらと増えていた。ここで靴を履き替え、お湯を沸かしてティータイムとする。コーヒーを飲みながらのんびりとした時間をすごす。

その間山岳会の先行パーティもやってきて、リーダーと会話をかわす。お湯をわかしたからと、yukiさんはお茶を振る舞っていた。2パーティの出発を見送った後に腰をあげる。ジグザグの踏み跡をたどるが、以前よりも赤テープが増えている。これは入渓者が増えただけの理由ではなさそうだ。

他のパーティは早くもタケノコを収穫していたが、太いタケノコは登山道に合流してからというのが経験者の説。仙女平で全パーティ集合後、ふたたびばらけて登山道を下る。ここでyukiさんがキャンバス地のタケノコ袋を腰に巻くと早速注目を浴びる。どこで売ってるんですか?地元のホームセンターには山菜コーナーという売り場があって、山菜採りグッズが取り揃っているとのこと。

登山道をしばらく下った所でネマガリタケの薮に突入する。前回よりも要領がわかったので、今年は私もけっこう収穫できた。

登山道から管理道路に入り、明瞭な踏み跡の入り口から斜面を下って駐車場に降り立った。6月初旬のタケノコ杉田川。これからは年中行事になりそうだ。次回は沢泊まりで焚火を楽しもうと話しながら帰路についた。(yuki、ako)

sugita1 sugita2

駐車場9:30−入渓点9:55−二俣12:30?−遡行終了点13:05/13:35−仙女平14:00−(タケノコ狩り)−駐車場15:35