ブナの沢旅ブナの沢旅
▲トップページへ
2009.01.04
小櫃川キンダン川
カテゴリー:

2009年1月4日

 

横浜からアクアラインを通って亀山湖方面に向かう。休日のアクアライン通行料は半額の1500円となり、かなり得した気分。小櫃川沿いの道路を南下して白岩橋をめざすと100mほど手前に川に下りる作業道があり、その脇の空地に車を止めた。

小櫃川におりると房総の沢に共通する雰囲気が漂っていた。水量は予想以上に少なく、しょっぱなからさえない印象だ。洗濯板のようなナメ床を下るとすぐにキンダン川の出合へ。

川廻しのトンネルがあるはずなのに見当たらず、かわりに倒木と土砂の崩壊地が目の前に広がる。倒木を乗り越え尾根を回り込んで進むと杉林に囲まれただだっ広い平地となり、回りこんだ尾根の反対側に半分埋もれたトンネルがあった。土砂で埋もれていたために見過ごしてしまったらしい。

最初から荒涼とした光景で行く先不安になるが、しばらくすると平穏な沢にもどりホッとする。沢は地図に出ないような小さな蛇行を繰り返し、しだいに現在地の特定が難しくなってしまった。あまりにも蛇行が多いので地図の距離感と実際の遡行距離があわないのだ。それでも心配なくのんびり歩けるところが房総の沢の手軽さのゆえんか。

あんまり何の変化もないので飽き始めたころようやく小滝が続くようになり、独特の地層の両岸がそそり立ったゴルジュ帯となる。ここがキンダン川のハイライトのようだが、地層は土沢と比べると極めてシンプルだ。

源頭部に近づくにつれ地図ではわからない二俣が何度もあらわれるが、他の沢では見られない赤ペンキ印が導いてくれる。目障りなのだが、倒木や土砂、泥のぬかるみに嫌気がさして早く尾根に抜けたかったため腹立たしいとも思わなかった。

あっさりと郷台林道に出たものの、予想以上に時間がかかる遡行だった。キンダン川は房総の沢では一番遡行者が多いポピュラーな沢だけれど、崩壊の度合いが一番ひどく、さらに悪化が懸念される。

 

 

 

靴を履き替え、うどんで温まった休憩のあとは宿題の読図ハイキングだ。気を取り直して出発。関東ふれあいの道の一部だが車も通るような尾根の林道だ。ところどころ樹林が途切れたところからは太平洋を見渡すことができる。

しばらく進むと前方にゲートがあらわれ、左脇に登山道らしき道が分岐していた。地図で確認していると、なんとその登山道から大きなバイクが二台上ってくるではないか。ビックリして話しかけると、白バイ警官のような格好のお兄さんは地図を指差しながら親切にいろいろと教えてくれた。

片倉ダムへつづく道は林道も植林もなく、太古の千葉はこんなだったという雰囲気でとてもいい道だとのこと。ぜひ歩くといいと勧められたので、勢いでじゃあそうしてみますなどといってしまう。

彼らが去るのを見届けたのちゲートをくぐって予定のコースをすすむ。少しのぼっていくと見覚えのある郷台畑からの林道出合へ。前回迷った四郎治はMラインの始点であり、ここからが今回課題のコースとなる。346mピークから北に派生する尾根を下り、265m先で東南に派生する尾根を下って小櫃川のつり橋に出ようというわけだ。

ところどころ崩壊しているが、おおむね良好な気持ちのいい歩道で、途中5回素掘りのトンネルを抜けた。スギ林が多いキンダン川沿いとは違ってあたり一帯は照葉樹林で、思わず立ち止まって見とれてしまうようなクスノキやモミ、ツガの大木が見られる、原始の森風情だった。キンダン川ではがっかりして悲しい気持ちになったけれど、後半は秘密のすてきな森を見つけた気分。

このあたり一帯は東大演習林で一般の立入りは基本的に禁止されているようなのです・・・コース取りも予定通りでうまく行った。つり橋から見下ろした小櫃川はなかなかいい雰囲気で、本流を遡行した方がよかったなあと未練たっぷり。車道を15分ほど歩いて車にもどった。帰路もスムーズで、なんと5時には帰宅という手軽さ。いざというときの房総、まだ見捨てたりはしないつもりだ。

 

 

白岩橋手前7:50-キンダン川8:00-303m尾根11:30/12:20-郷台畑林道-四郎治13:25-四郎治沢右岸尾根(Mライン)-小櫃川つり橋15:00-白岩橋手前15:20