ブナの沢旅ブナの沢旅
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2007.10.28
杉田川
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2007年10月28日

 

台風の中、郡山駅から24時間オープンの道の駅安達に行って仮眠し、翌朝遠藤ケ滝駐車場に移動。神社の境内や遠藤ケ滝を見ながら登山道を30分ほど歩くと橋を渡り、ここで支度をして沢に下りた。紅葉が見ごろで、あたりもとても美しく、みんな幸せ気分一杯だ。早速きれいなナメの斜滝がかかっていて期待がふくらむ。台風のせいか水量が多く、しばらくは沢に入らずに沢沿いを進む。

すぐに現われる5m滝を階段状の左壁から簡単にこえていくと7m滝へ。水量に威圧されてみんなひるんでしまうが、始めから巻くのも情けないと思い、ロープを引いて登ることに。ビレイ点がないのでハーケンを打った。

滝に近づくには左壁をトラバースしなければならないが、途中にシュリンゲがかかっていて、ここを手がかりに一旦壁の下に下りてから水際沿いを登った。途中に残置ハーケンがあったので支点をとった。上に抜けても適当な確保点がなかったので、大岩にシュリンゲを回してセルフをとり、後続を確保した。

次にあらわれる滝は左岸がスラブ状になっていて、スラブのクラックを登っている記録もあったが、不安。右岸の外傾したバンドのほうが登れそうで、Nさんが先行する。滑りそうでヒヤヒヤし たが、なんとかクリア。

続く10mの滝には上に鉄のさびた梯子がぶら下がっている。念のためロープをだして右岸の岩壁を登る。梯子のところまでは問題ないが、梯子を使わずに1mほど上のブのクラックを登っている記録もあったが、不安。右岸の外傾したバンドのほうが登れそうで、テラスにどう乗り越すかが課題。

見るとテラス奥にしっかりしたボルトが打ってあり、これをつかんで滝側の岩の出っ張りに足をかけてえいやと立ちこんで乗り越した。ふう~。その後小滝をいくつか越えていくと、前方に幅広の美滝がみえてきた。3条10m滝だ。水量豊富でとてもきれいだ。

休憩をとって写真大会に。杉田川で一番きれいな滝らしい。下段は右壁をまき気味に登り、上段は水鉛をぬれながら登ると上にかぶり気味の大岩があって、よけようとしてずぶぬれになってしまい、先行していたsumireさんにお助け紐をだしてもらう。

深い釜を持った小滝をへつったり、高巻いたりして進む。時々左右から枝沢が滝を落としていて紅葉に映えている。水量がおおいこともあって思ったよりも時間がかかってしまい、二俣に着いたのは12時過ぎだった。

ここで安達太良山はあきらめることにした。軽く昼食をとって右に進むと2段10mのS字滝が見えてきた。セオリーでは右から登って中段でトラバースして左を登るルートらしいが、水量が多いためトラバースできるような状態ではなく、上段は巻き上った。滝の上からは沢も小ぶりになり、ナメとゴーロが続く。そろそろと思うころ左岸に赤テープが見えてきた。仙女平への登山道が横切っているとされる地点だ。けれど道らしき跡はみえない。

地図を見ると少しもどるように線がついているので、反対方向に目を凝らすと薄い踏み跡があるようにみえる。笹薮をこぐように進んでいくと明瞭な道が現れホッとしたのだが、すぐに再び藪に閉ざされてしまった。1220mくらいまで登ると周りが平坦になり、ますます方向がわからなくなる。

くぼ地が見えたので少し下ってみたが、高度を変えてはいけないとNさん。登り返してひたすら東の方向に進んでいくと、谷が食い込んでいる地形が見えてきた。地図と合っているので、これで大丈夫と安心して進むと明瞭な踏み跡が出てきて、あとは問題なく仙女平へつくことができた。このときのうれしかったこと・・・
時間はかかったけれど、3人で力を合わせてやり遂げたことにみんな大満足だった。正面に和尚山が大きい。来年は石筵川を遡行してあの山へ行きたいな。緩やかな登山道を駆け下り、960mあたりで右手の枝沢に下る。想像以上に穏やかな何もない小さな沢で、簡単に下ることができた。

1時間ほどで駐車場脇の橋の下に到着し、近くの安達太良温泉に立ち寄った。名水地らしく、たくさんの人が水を汲んでいた。郡山駅でお蕎麦を食べてすぐに新幹線に乗ることができたが、さすがに観光シーズン。満席で宇都宮まではザックに腰掛けて帰路についた。今年最後の遠出の沢はこうして大変実りある楽しい思い出となったのだった。

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