ブナの沢旅ブナの沢旅
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2007.10.13
袈裟丸沢右俣
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2007年10月13日

 

人気の湯檜曽川本谷に隠れてあまり知られていないけれど、劣らずにきれいで快適な遡行ができる秀逸の日帰り沢だと、遡行しただれもがいう袈裟丸沢へ行く機会を得た。自分で行くのはまだ不安だったが、ひょんなことから所属する会のTSさんが同行してくれたのだ。

ロープーウェイ駅から旧道を通り、幽の沢出合で巡視小屋に降りて武能沢出合へ。写真でよくみていた一の倉沢の岩峰を間近にできたのはよかったが、のんびりしすぎて武能沢から遡行を始めたのは9時半になってしまった。

湯檜曽川の川原をしばらく行くとゴルジュ帯の入り口に魚止めの滝が見えてきた。いよいよだな、と思う。一見取り付けなさそうだが、残置シュリンゲがあったので苦労せずに越えられた。奥のゴルジュは右岸の岩のバンドを慎重に進んだ。出だしから緊張したが、しばらくは明るく開けたゴーロとなって気持ちが和む。

白樺沢に入ってナメ小滝の二俣を越えると左手に30mほどの立派な大滝があらわれる。思わず歓声!白樺沢の大滝だ。思わずこちらに入りたくなるが、袈裟丸沢は右手の6mナメ滝を越えていく。とても素敵な場所なのでしばし休憩。

写真で雰囲気が伝わらないのが残念・・袈裟丸沢の出合いはしょぼい感じだけれど、入るとすぐに2段20mの豪快な滝がど~んと前方に見えてくる。リーダーは取り付こうとしたが、上段が被っていて無理なので、安全第一と説得して左手から巻いた。するとまたすぐ上に2段30mのナメ滝がつづいていた。

傾斜はそれほどきつくないが、滑ったら下まで落ちてしまいそうなので、一緒に巻いてしまった。さらに数メートル規模のナメ連瀑帯を越すと二俣になる。右俣にはいるとすぐに10mほどの逆く字滝。右壁から登ると下からは見えなかった滝が続いていた。

三段目の滝を登って振り返ると突然ハイカーの格好をしたおじさんが現れてびっくりする。どこから来たんですかぁ~、この辺に登山道があるんですかぁなどと頓珍漢なことを聞くと、この滝を登ってきたのだという。そして前方の滝をするすると登って行ってしまった。いろんな人がいるものだと感心することしきり。

さらにナメ滝を登ったり巻いたりしてすすむと二俣となるが、ここは左を行く。すぐに3段20mのスダレ状の滝があらわれ、とても美しい。TSさんは水沿右壁から取り付いたが、私はトライしたけれどできそうにないので右岸を巻いた。

その後も次々とナメ滝が続き、沢全体が連続するナメ滝のようだ。ナメ床が終わるころ10mほどの滝があらわれる。右が乾いていて取り付きやすそうだったが、上で 詰まってしまいお助け紐を出してもらう。

水流が細くなり、藪っぽくなると登山道が横切るところに着いた。ひとまずの目標は達成できたので、休憩する。振り返ると正面には笠ケ岳と後ろに続く稜線が紅葉した姿を見せていて感動的だ。急に最後までつめて蓬峠の稜線に立ちたいという気持ちが湧いてきた。

もうちょっとだ、頑張ろう!と出発。すぐに稜線が間近に見えてきた。最後は笹薮の急斜面を登ると、思ったよりも早く稜線に出ることができた。なだらかな稜線がはるかかなたまで続いていて、とても気持ちのいいところだ。少し下ると蓬ヒュッテが見えてきて、ここで装備をとく。次々と登山者がやってきて、宿泊するようだ。

稜線は紅葉が始まっていて下山路も快適だ。黄金色の壇通絨毯のような草原を楽しみながら武能沢出合へ下る。途中からは樹林帯となるがまだ紅葉しておらず、ブナの葉は青々としている。

湯檜曽川沿いの新道に入るとブナやみずならの大木が生い茂るとても素敵な森になる。長い下山路だが、なんだか得した気持ちだ。紅葉の盛りはさぞかしきれいだろうなあ~。6時にロープーウェイ駅にもどったが、あたりはもう真っ暗。

長い道のりだったけれど、明るくきれいな沢と草紅葉の稜線、素敵なブナの森を歩くことができて、とても充実した一日だった。

 

 

ロープーウェイ駅7:00-武能沢出合9:05/30―白樺沢出合10:05ー袈裟丸沢出合10:30/45―右俣-登山道横断点13:05/25-蓬峠14:05/30-ロープーウェイ駅18:00