隈戸川〜権太倉山

2024年11月8日

玉原高原から三日しかあいてないので心配だという仲間をなかば強引に説得し、富士山麓のブナ林散策をしましょうと持ちかけた。ところが平日でもレンタカーが満車という予想外の回答。インバウンド需要がすごいらしい。なにしろ行き先は富士山麓だものなあと、納得する。

それで急遽晩秋か早春に予定していた新白河方面の沢ハイキングに差し替えたところ好感触の反応が返ってきた。沢歩きは短いので、初めて知った権太倉山にも登りたい。標高差は400mくらいだから大丈夫だよねっ、という具合でちょっと慌ただしく現地へ向かった。

権太倉山は白河市の最高峰(といっても976m)という。山麓は憩いの森のような形で「聖ヶ岩ふるさとの森」としてよく整備されており管理人さんがいる立派なビジターセンター運営などからも、行政の力の入れようが感じられた。

源流登山口方向に林道を少し歩き、二つ目の堰堤を越えたあたりで入渓する。最初はたんにおだやかなゴーロ沢だが橋をくぐってからナメが始まる。ビジターセンター管理人さんの話だと沢沿いは紅葉する前に落葉するため沢の落ち葉は「きたない」のだと。そういわれてみればそうかもしれないけれど、陽がさした穏やかな沢を歩くだけでいい。

短い沢なので寄り道して「源流湧水岩」を見物しようと620m二俣を左に進むと前方に壁のようなスラブ滝が見えてきた。知らないと怖気付きそうだが、左岸に鎖やロープが設置されていることは確認済み。足元のフリクションはいいので鎖を頼りに安心して登る。7-80mくらいあった印象だ。

横に広がった湧水岩はほとんど水流はなかったが、上部は穏やかな樹林帯であることがわかる。むしろ下りの方が気をつかった。

二俣に戻ったところで日向ぼっこのランチタイム。あとはゆったりと沢をたどると次第に水枯れしたV字谷となる。最後の二俣ははやく登山道に抜けられる右へ進み、左手の緩やかな尾根に上がってひと登りすると登山道にでた。藪漕ぎもなく楽なつめだった。

とても気持ちのいい登山道を山頂へ向かう。両岸の木々は色づきようやく紅葉の景色があらわれる。予想していなかったブナもわりと残っている。権太倉山の山頂には立派な標識と山名の由来を解説した看板がある。たしかに権太倉なんて、なんとなく歴史的いわれがありそう。

山頂は切り開かれていて展望もいい。美しい山容の二岐山がとても近い。その左手には那須連山。磐梯山の奥には白い飯豊の山々も見える。なかなかいい山ではないですかと言い合いながらコーヒータイムでくつろぎ山頂をあとにする。

 

馬の背まではゆったりとした紅葉の登山道を下るが、分岐からのトラバース道は一転して歩きにくい。途中に名所らしい風穴や赤目焼窯の炭焼き小屋跡を通過して登山口に降り立つと向かいが駐車場だった。

キャンプ場付近の隈戸川は川幅いっぱいのナメが美しい

時間もあるので遊歩道をたどって大信不動滝の見物へ。なんの予備知識もなかったのでその立派さに驚く。水量はそこそこだが、毎年5月連休明けから8月下旬までは上流の羽鳥湖から農業用の放水が行われ爆水状態になるらしい。

眼下の隈戸川はいい雰囲気だし、不動滝も右岸が簡単にまけるようなので、ナメが始まるという下流の二俣あたりからいつか歩いてみたいと思った。

 

 

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