ブナの沢旅ブナの沢旅
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2011.10.09
湯桧曽川東黒沢
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2011年10月9日

 

久しぶりに好天の三連休だというのに予定がたたず、一日だけの沢ハイキングとなった。思えば今年はまだ谷川方面に一度も足を運んでいない。行きたい沢はいくつかあるのだけれど、一人なので気軽に楽しめるお気に入りの東黒沢をのんびり往復することにした。

いつもは閑散としている土合駅だが、今日は多くの登山者が下車。普段は無人の改札だが、駅員が切符の精算に大わらわだ。中には都内の切符しか持っていない重装備の登山者もいて、少し疑惑を抱いてしまう。トイレに寄ろうとしたら長蛇の列。時間がもったいないので諦める。土合橋の広い駐車場もすべて満車状態だったが、沢に入れば先ほどまでの喧噪がウソのようだ。

堰堤上から沢に入るが、最初はゴーロであまりきれいでないため、そそくさと通過。ナメが出始めるとすぐに沢は左に曲がりハナゲノ滝があらわれる。ここで先行する若い女子2人パーティに追いついて言葉を交わす。まだあどけなさが残る愛らしい二人だが、ナルミズ沢へ行くという。私もナルミズ沢へ行こうと思ったけれど一緒に行く人がいないから東黒沢の日帰りハイキングになったと話すと、すかさず、じゃあ一緒に行こうよーと、屈託のない反応がかわいらしい。うーん、日和らずに沢泊まりの計画にすればよかったと、少し残念だ。巻き道を教えて先に進む。

ハナゲノ滝は去年は水量が少なくて簡単に登れたが、今回は最上部で滝が左にカーブする手前で巻き道に上がる。滝上からは数メートル程度の傾斜の緩いナメ滝が連続して楽しい。白毛門沢を左に分けて東黒沢に入ると沢は樹林に覆われてしっとりとした雰囲気となる。小さなゴルジュは出口の滝下が深いので右から小さく巻く。

ナメや小滝を軽快に歩いて行くと、東黒沢で一番高い10m3段滝となる。水流右側を登る。少し手前には巻き道もあった。つぎつぎと小滝、ナメ滝があらわれるが、すべて簡単に登れて楽しいことこの上ない。8m2段滝や20mナメ状滝でクライマックスとなり、滝上からは美しいナメが延々とつづく。薄茶色の岩盤を豪快に流れる白い水流が陽を浴びて燦めいている。とてもきれいなので、今回初めて持ってきたセルフタイマー用のカメラ固定具を試してみる。一人でああだこうだとポーズを取って遊ぶ。

平ナメが終わるとふたたびナメ状滝がつづき、乗越の稜線が見渡せるようになってきた。沢は小滝をかけながらしだいに平凡となるが、一応の目標として1080mの二俣まで進むことにした。最後は消化試合のような気分でゴーロを進むと小さな二俣となり、右沢の入り口に赤テープが二本垂れ下がっている。これから先はなにも無いことがわかっているので引き返す。

沢が左に大きくカーブする階段状の小滝の下が乾いた岩盤の川原になっており、ここで休憩することに。去年は倒木が散乱していたが、今回は洗い流されていた。まだ昼前で時間はたっぷりある。お湯を沸かしてカップ麺をすすり、コーヒーをのみながらケーキのデザートでくつろぐ。小さな幸せを感じるひとときだ。

あとは下るだけで物足りない気もするが、今回は谷川方面まで一人でやって来たのだからよかったと思うことにして次回につなげたい。小一時間ほどまったりとして歩き始めると、下で会った2人が見えた。空身なのでどうしたのかと思うと、二人は、ああ、よかったぁーと、安堵の表情で寄ってきた。

話をきくと、二俣がいくつかあって自分たちの現在地がわからなくなってしまったらしい。地図で現在地を示すと意外そうだった。下にザックをおいて来たというので、一緒に下ることになった。かなり下ってようやくザックのデポ地に戻る。不安げに、二俣にはテープがあるんですよねと、訴えるように聞くので、あれこれ様子を説明して大丈夫と、送り出す。なんだか前途に不安を抱えた娘を送り出す母親の心境だ。

ナメ状滝は下りの方が神経を使う。トレーニングのつもりで小滝はできるだけ巻かずにクライムダウンしていくと、年配の男性2人組がやって来た。すれ違いざまに挨拶をし、ついでに先行する「娘達」の話をして、思わずよろしく頼みますと言ってわかれた。よろしくと言われても・・・なのだが、なにしろ「母親」気分で気がかりだった。

ハナゲノ滝上からは巻き道に入るが、このまま全部巻いたらつまらないので、途中から滝に下り、またまたセルフタイマーで遊ぶ。タイマーをセットしてダッシュするが失敗の繰り返し。我ながら滑稽だけれど楽しい。気がつくと下からキャニオニングツアーがやって来て、急に賑やかにカラフルになる。二組別の会社のグループで大盛況の様子。下流のなんでもない釜につかって楽しそうにしている。もっと奥に行けばいい所がたくさんあるのにと思うが、楽しみ方はそれぞれだものね。

彼らのおかげでハナゲノ滝から登山口までの道がどのように通って入るのか初めてわかった。下流部はなにも無いので、時間の節約をしたいときは便利だ。右岸の白毛門登山道側はブナ林がきれい。ただ紅葉にははやく、緑がいまだみずみずしい。ブナ林の道はふたたび沢に続き堰堤上の川原にでた。

ここで靴を履き替え、最後の休憩。正面には谷川岳につづく尾根がせりあがり、ロープーウェイが見える。天気もよく、短いながら楽しい沢歩きができた。とても満たされた気持ちで土合駅へ向った。

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東黒沢出合9:00-白毛門沢出合9:45-1080m二俣11:25-1020m付近の川原11:45/12:20-東黒沢出合14:10

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