2024年10月12-13日
家向山から窓明山につづく尾根の中腹に広がるブナの森に魅せられて新緑や紅葉、雪のシーズンに何度も訪れている。そんな尾根に沢を詰めて登ったらどんなだろうと、以前から興味があった。安越又川は西沢流域の沢遡行はすでにたくさん記録があるし、一昨年はほんの少しだけれど歩いてみた。
一方窓明山への尾根に詰める東沢はきっと「遡行価値」がないのだろう。けれど登山道コースとは一味違うバリエーションルートと思えば、歩いてみるのも悪くない。一般の遡行が難しくなりつつある自分達にはちょうどいいかもしれない。水辺のブナの森で泊まって焚き火ができれば、もうそれだけで遡行価値ありなのだ。
いつものように会津高原尾瀬口駅で下車したところ、バス便は会津田島駅に変更になったという車掌さんの声で驚いて再び電車に乗り込んだ。10月から路線統合になったという。随分と遠回りすることになりバスの到着時間も30分ほど遅くなった。たしかに登山者以外の乗客はほとんど見たことがないので、仕方ないとは思うのだが。
安越又川沿いの車道を歩くと首都圏ナンバーの車が駐車していた。きっと西沢に入るのだろうと思う(正解。。)沢に降りる手前の最後の堰堤は2年前からさらにブロックが補強されていた。三又から東沢に入るが、たしかに何もないゴーロの沢だ。けれどなんとなく森の雰囲気は大幽川東沢を小振にした雰囲気と言ったら、言い過ぎかな。
途中でちょっとしたハプニング。枝を避けようとしてメガネがひっかかり流されてしまった。日常生活では困るけれど自然の中ではあまり気にならず、足元なんかは老眼が幸いして不便なことはなかった。両岸に平坦地は多いのだけれど石ゴロでテン場には不向きだ。まあなんとかなるだろうと何の期待もなく気楽にのんびり歩いていくと左岸に異質の砂地ベースの段丘が広がり、まるで奇跡のようだと言いあって喜ぶ。
さっそく焚き木集めに精を出すとわんさか集まった。どうということのない沢だけれど、ブナに囲まれ焚き火ができればそれでいい。
登山道に詰める枝沢はいくつかあるが、早めに抜けようと家向山との鞍部を目指すことにした。標高差も少ないのでそれほど時間はかからないと思ったが最後の分岐で地図にはない枝沢に入ってしまい予定より30mほど家向かい寄りに詰めてしまった。読図には気をつけていたしずっと方角もあっていたのにどこでずれたかわからずじまい。それが悔しくて登山道にでて鞍部から下ってみたい気持ちになるが、当然却下される。
気を取り直しどうするか。バスの時間から逆算すると窓明山を往復するのは厳しそう。時間を気にしながらでは楽しくないからと、テーマをブナ林散策に切り替える。ザックをデポして空身でブナが途切れて展望が開けるあたりまで往復し、家向山から巽沢山経由で下山した。
今年の猛暑のせいか、紅葉はまだ当分先のようだったがいつどんな状態の時にあるいてもいい雰囲気の山だなあと思う。