ブナの沢旅ブナの沢旅
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2022.10.01
安越又川道行沢〜下梯子沢〜上梯子沢〜西沢
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2022年10月1-2日

こんなことは沢を始めてから初めてのこと。いったい何かといえば、シーズン初の沢泊りがなんと10月とは!(最初で最後にしたくない。)思えば今シーズンはいつもイジイジしながらの沢歩きだった。けれどさらに言えば、ほんとうに久しぶりの数日好天が約束された週末となったので、東ノ沢へ行きたかった。

そのことはかねがね仲間に伝えていたのだが、いざ計画しようとしたところ、それほど行きたいと思わないなんて言われてしまう。もともと私の勝手に付き合ってもらっている自覚があるので、いきなり3日間の沢旅は無理だなとあきらめる。実は内心私も不安がないわけではなかった。

仕切り直しの提案は、南会津の沢に泊まって焚き火して帰ってこよう。とても地味で控えめだけれど、ちょっとワクワク感もあった。というのは沢を詰めて乗り越す尾根は残雪期の坪入山に至るブナ街道の一端。ゆったりとしたとてもステキな尾根で単独を含め数回歩いている。だからヤブ山は承知ながら無雪期の様子も見てみたいと思っていた。

けれど2011年の大豪雨で安越又川にも甚大な被害がでてしばらく荒れた状態が続いた。大出水の翌年の残雪期にブナ街道を歩いて山毛欅沢出合に下った時に見た光景は悲惨なものだった。あれから10年以上が経過して復旧工事が進み、森の再生も始まっていることだろう。その様子を見たいと思った。

これだけ理由を並べれば、こんなちっぽけな計画も自分にとっては十分に意味のある山旅になるはずだ。南会津のブナの山旅を共にしている仲間も楽しみだと言ってくれた。

これだけのことを記しておけば、あとは言葉は不要に思える沢旅だった。沢歩きなのに周りの森ばかり見ていた。この山域に思い入れでもない限り、沢自体はあえて遠方から訪れるほどでもないかもしれないが、山に何を求めるかで沢の評価はかわる。何もないけれど、原始の森が広がる南会津奥山の沢を歩いていると思う気持ちが広がりうれしかった。