ブナの沢旅ブナの沢旅
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2021.11.01
丹沢 タライゴヤ沢ヤゲン沢
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2021年10月30日

叶堂沢から帰って四日と間隔が短いが、好天の穏やかな週末に家にいるのも落ち着かない。そこで近くて静かな山歩きができそうなコースを探しているうちに、以前から沢シーズンの始めか終わりに考えていた札掛からタライゴヤ沢奥のヤゲン沢が浮上した。仲間はハイキングのつもりだったので沢は消極的だったが、短い歩く沢だからほとんどハイキングと同じだし、丹沢でも静かだし、沢を詰めたらあとは登山道をくだるだけだからなどと言いくるめて実行した。

札掛まではヤビツ峠から歩くと入渓点まで時間がかかるため思い切って秦野駅からタクシーを利用。7200円と許容範囲だった。札掛橋手前の吊り橋を渡りタライゴヤ沢沿いの林道を歩いて境沢とヤゲン沢の二俣へ。新大日への古い登山道分岐の標識が目印だ。

ここで沢靴に履き替え境沢を渡渉して左手のヤゲン沢に入る。すぐにあらわれる堰堤は右岸に道があり容易に通過。しばらくはゴーロ川原だが、両岸が開けて明るく、いかにも沢歩きの雰囲気だ。すぐに両門の滝の二俣となり、右俣の滝は右側の倒木のかかる岩壁を登る。

太陽の光が沢にも差し始め小滝を軽快に越えていく。大物の8m滝は眺めるだけで左岸から高巻き、つづく数メートル規模の滝も小さく巻いたり直登したりと、楽な方を選びながら楽しく越えていく。そういえば少し前にNHKが丹沢で沢登り、みたいな番組を放映していて、モデルさんのような初心者が沢に始めて挑戦ということで遡行した沢がヤゲン沢だったことを思い出した。

一箇所ゴルジュ出口の滝を右壁から巻くように登るとき、ザックが引っかかってしまうので荷揚げした。途中に古くて潰れた残置があったが、以前はシュリンゲもかかっていたらしい。そこで少しグズグズしてしまった。見上げるといつの間にか紅葉が見られるようになり、その後は沢歩きよりも頭上の紅葉に目が留まってしまうほどだった。

890m二俣を右へ進むともう顕著な滝はなくなり、沢幅も狭くなって穏やかな渓相となる。高度を上げるにつれて傾斜がきつくなったので、最後は小尾根に逃げて行者ヶ岳東尾根に乗った。少し予定よりも東に出てしまったが表尾根の山並みを違う角度から見渡したのが新鮮だった。誰もいない静かな気持ちの良い尾根だ。沢装備を解いて昼のラーメンを作ったりと一時間ほどのんびりする。

行者ヶ岳に向かう途中尾根の両岸が崩れてナイフエッジのようになっている箇所があったが、そんなところにもちゃんと踏み跡があって歩かれている気配を感じた。登山道に出てからは三ノ塔をへてヤビツ峠に向かう。烏尾山に向かう途中で振り返ると行者ヶ岳東尾根の沢筋と枝尾根が手に取るように見渡せる。たどった沢筋に人がいれば登山道から見えるようだ。ついさっきまで、あんなところを登っていたのかと思うと我ながら物好きだなあ、なんて思いながらヤビツ峠に下ってバスを待った。

威圧感のないワイルドな雰囲気のヤゲン沢は予想以上に好感触だった。札掛周辺も始めてだったこともあり新鮮さを感じた。丹沢の沢はあまり馴染みがないけれど、バリエーションを楽しんでいる人たちはいろいろと開拓しているようなので、これからも機会をみつけて歩いてみたいと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

札掛つり橋8:00ーヤゲン沢出合8:50/9:15ー行者ヶ岳東尾根12:30/13/30ー行者ヶ岳ー三ノ塔14:35/14:50ーヤビツ峠16:00