ブナの沢旅ブナの沢旅
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2020.07.22
奥武蔵 有間川姥小屋沢
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2020年7月21日

長引く梅雨空の中、連日熊本はじめ各地での集中豪雨災害の報道を目にする中でなかなか沢に行くことができないでいる。もう1ヶ月近く山からも遠ざかっており、コロナ禍による山行自粛でなまった体に追い討ちがかかっている。これでは精神衛生上よろしくない。雨が降らなければいいという気持ちで、多少の増水でも心配のない奥武蔵の小さな沢へ。どんなにちっぽけでも初めての沢に行きたかったからだ。

そんな沢なのであまり調べてはつまらないと、地図だけを持って事前情報はほとんどないままに入ってみた。飯能駅からバスで川又名栗湖入口で下車。ここから名栗湖沿いの車道を行くとダムの先で通行止めとなる。昨年の相次ぐ台風で名栗湖沿道の車道は土砂崩れの法面復旧工事中で車も人も通さないように作業者が管理していた。無人ならば突破してしまうところだがおとなしく引き返し、ダム湖反対側の迂回路を通って入渓点へ。林道から沢へ降り立った先の堰堤下ではクレーンが沢の泥砂を掻き出しており、奇妙な場所からの入渓となった。

姥小屋沢出合いの小滝を巻いて沢に降り立ち、さあようやく出発だ。とりたてて特徴のある沢ではないが、次々と小滝をかけており、登れない滝は明瞭なので巻き道もわかりやすい。中流部は倒木が増えてかなり荒れた様相となるが期待もあまりないので、こんなものだろうと淡々と通過する。途中2箇所で丸太橋が崩れて流されていた。

明瞭な二俣は左へ進むと荒れた様子もなくなり、しっとりとした樹林の沢となる。内心よかったと、こんなことでも喜んでしまう。高度を少しあげただけでしだいにガスがではじめる。クモの巣の群生が芸術的にみえる。ワサビ田跡の石積はコケ蒸して往年の営みがわびしく感じられる。何にもないのだけれど悪天でも沢歩きができることがうれしい。こんな風に欲をださずにいるといいことがあるのか、奥の二俣を傾斜の緩そうな右俣へ進むと突然のように白糸を引くような多段の滝が見上げる限りに続いている。

天気がよければ棒の折山近くに詰める左俣も考えたが、視界がないので緩やかに山頂下の林道に詰める右俣を選んだのがよかったようだ。下段の滝は直瀑で登れず左岸から巻くと上部は快適に登ることができた。おかげで途中の荒れた様子もすっかり上書きされホクホク顔に。最後の詰めもすっきりとして藪こぎもなくガードレールの切れ目から林道に飛び出した。

あとは林道をたどって白谷沢の登山口へ。当初は短い沢なので白谷沢を下降しようと思っていたが、入渓時間が遅れた上に予定よりも遡行に時間がかかり、もう十分なんてことになったため、素直に沢沿いの登山道をくだった。白谷沢も初めてだったが、途中からはゴルジュ下りのところで登山道だか沢下りだかわからなくなるようなところもあり、予想外に面白い下山となった。

 

 

 

 

 

 

バス停8:20ー入渓10:00ー林道13:20ー白谷沢登山口14:00ーさわらびの湯15:25