ブナの沢旅ブナの沢旅
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2018.09.16
二口・大行沢〜樋の沢〜奥新川峠
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2018年9月13-14日

木漏れ日のブナの森を楚々と流れるナメ沢をヒタヒタと歩く沢旅。。。これがブナの沢旅で追い求めている永遠のテーマなのだが、二口の大行沢〜樋の沢ほどこの願望を満たしてくれる沢はない。世間ではよく「天国のナメ」というようなキャッチフレーズが使われている沢だ。そのことに多少食傷気味となっているので、他に素晴らしいナメ沢があると、つい大行沢に劣らないとかそれ以上だとか書いたこともあった。

今回は、そんな大行沢を久しぶりに再訪した。はからずも記念すべき?誕生日山行となった。どんよりとした空模様の東京だったが、現地に向かうとお天道さまにも祝ってもらえたのか両日とも好天に恵まれた。

始発の新幹線はやてに乗ると1時間半で仙台だ。仙山線に乗り換え愛子駅からタクシーで二口ビジターセンターへ向かう。二口林道は3ヶ月前よりさらに工事が進んでおり来年夏まで通行止めが続くようだ。今回は大行沢〜樋ノ沢から稜線に抜けたあと、権現様峠から奥新川峠をこえて面白山高原駅に下る予定だ。今年の3月、面白山から逆コースで歩いた。広々とした雪尾根と大東岳の展望が素晴らしかったので、無雪期の登山道はどのようになっているのか歩いてみたかったのだ。

大行沢下部のゴルジュとゴーロはいつも割愛。こういうところはまったくこだわりがないのでまずは沢沿の登山道を進む。アップダウンの回り道に、こんなに大変だったかなと思いながら汗をかく。いいところしか覚えていないのだ。

ケヤキ沢を越えたところでようやく入渓すると、さっそくナメが広がる。安堵のまじった新鮮な感動をおぼえる。水量は多少多めなので、ちょっとした段差に白波がたってアクセントをつけている。やっぱり東北の沢はちがうなあ〜と、幸福感にひたる。なによりも水際までブナ林が張り出しているところが大行沢のいいところだと思う。

当初はカケス沢出合でテントをはり、ナメの左俣を登り北石橋に下って戻るなんて、欲張った計画を立てたのだが、登山道でさえコースタイムでは歩けないことがわかった。少しは新しい要素を入れようとした計画だったが、荒れ気味らしいしナメ滝も高巻き続きになりそうだしと、一旦は膨らませた風船がしぼんでしまった。

そんなわけで初日は避難小屋までに変更したため時間はたっぷりある。極上のナメを舐めるようにゆっくりゆったりと歩く。ハダカゾウキ沢出合は両門の滝となっている。ナメ滝の右側を上って踏み跡を辿ると小屋の裏にでた。夜間に小雨予報となっていたので小屋に泊まろうと中に入ってみたが、暗くてカビ臭い。戸外の方が気持ちが良さそうだ。樹林際のテンバには焚き火場もある。タープをしっかり張ってテント泊に決めた。

テント設営後にお湯を沸かしてうどんを食べる。ゆったりしようといいながら、まだ時間があるからと散歩にでることにした。貧乏性な性格は山でも同じだ。カケス沢はパスしたが、登山道から北石橋を見学に行く。途中のブナ林も綺麗だった記憶があるのでちょうどいい散歩だ。

最初の急登をやり過ごすとあたり一面ブナ林が広がる緩やかな尾根となり、最後は急斜面をくだると北石橋の下にでる。7年ぶりだが、やはり歓声があがる。どのような成り立ちか興味深い。石橋上からは楚々とした流れのナメ2段滝。途中まで登ったところで上部は自信がなく、左壁に逃げて這い上がった。なかなか楽しい奇岩だ。前回は石橋の上をすこし進んでみたが、ずっと斜度のあるナメが続いていた。

下りは早い。4時過ぎにテンバに戻り、焚き火起こしにいそしむ。薪は湿り気味で簡単とはいかなかったが、無心に熾火をつくる作業が楽しい。いつもの焚き火ディナーを楽しんで一日を終えた。

 

 

 

朝方雨が降り出したが、7時過ぎには止んだので出発を少し遅らせた。避難小屋の裏手から大行沢は少し小ぶりになって樋の沢となる。少し斜度のある多段のナメが続く。所々にポットホールがあるので足元に気をつけながら進む。両岸は二次林ながら端正なブナ林が際立つ。以前新緑の時に遡行した時はそのまばゆさに目がくらむほどの美しさだった。

ところどころ樋状の小滝や幅広ナメ滝があらわれ、変化がある。しだいに青空が広がりはじめると途端にナメもブナも輝きをます。途中短いゴーロを挟んでふたたび楚々としたナメがつづく。両岸が開けたところは段丘となっており、少し草を刈ればいいテンバになりそうなところが随所にあらわれる。短い沢なのでこの辺りに幕を張ることはなさそうだが、紅葉の時期にトライしてみたい。

開けた最後の二俣を左に入りさらに右沢に進むと側壁がたってきて樋状滝となる。一見登れなそうに見えるが近づくと細い手足があり、ツッパリで登れる。最後のアトラクションといったところか。そのまま進むと登山道と並行するので水がチョロチョロ流れる左の窪に入るとすっきりと藪漕ぎなしで登山道に抜けた。

すべてのパーツがミニ版なので、本格的な沢をやる人には物足りないだろうけれど、自分たちにはこれくらいがちょうどいいと思える歳になってきた。大きなブドウで喉を潤した後、登山道を進む。登山道が十字路に交差する権現様峠までは緩やかにくだる。2年前に樋の沢だけを日帰りで歩いた時、権現沢を遡行してきたという地元のパーティとであったが、どんな沢なのだろう。

権現様峠からはアップダウンを繰り返しながら奥新川峠へ向かう。ずっと展望のないブナの樹林帯を歩くのだが、蒸し暑さでばて気味となる。登山道は稜線の西側につけられているので雪尾根を歩いた時とはまるで景観が違う。時々樹間から大東岳の頭が見える程度だ。予想はついたのだが違いすぎて面食らってしまう。

奥新川峠に下った時は登り返して先に進む気力も体力もなくなってしまった。あっさりと、ここから沢沿の登山道を下ることにした。最近はこういうパターンが多いが、無理することはない。2012年12月に面白山から南面白山の周回ルートを目指したが深雪で時間切れとなり、奥新川峠から下った。あの時は途中で登山道を見失い沢に降りたりして苦労した。地図の登山道が実際とかなり違っていたのだ。そんなわけで無雪期に正規の登山道がどのようにつけられているのかを確かめるという目的ができた。

登山道はところどころ切れ落ちているがずっと沢の上部に付けられており、ロープがかかっているところは崩壊地で迂回路ができていた。そんなことを知らずにあやうい崩壊地の崖をロープをたよりに進んだことを今になって知った。あれこれ失敗はつきないのだが、すべてが懐かしい思い出となっている。

電車は2時間に1本と少ないため駅に着いてから1時間以上余裕があった。さっと着替えを済ませてコーヒーをいれて一息つく。そのうえ紅葉川渓谷の散策路に下って登山道から見えた霰滝を見物してから仙台に戻り、恒例の牛タンを食べて帰京した。

 

 

登山口9:30ー入渓点11:20/11:35ー避難小屋13:20/14:20ー北石橋15:15/15:40ー避難小屋16:25//7:30ー稜線10:00/10:20ー奥新川峠11:50ー面白山高原駅14:10