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2017.11.23
養老渓谷~梅ガ瀬渓谷
カテゴリー:ハイキング

2017年11月21日

 

久しぶりに房総半島へ。一時は晩秋〜初冬に房総の沢へ通ったものだった。なにか理由があるわけじゃないけれど、たぶん気持ちがそそられる沢が見つからなかったからだろう。調べていた沢も、近年の異常気象によって随分荒れてしまい遡行価値がなくなってしまったらしい。

最近房総の沢ではその特異な地質が世界の学界から脚光を浴びており、「チバニアン」なる名称が正式に学術上の地質年代を表す名称に採用されるらしい。そんなニュースを聞いていて数年前にいった沢のことを思い出した。そして、そういえばまだ養老渓谷にはいっていなかったと気付いた。というか、養老渓谷は観光地の雰囲気なので以前は避けていたのだった。

ほかの山を選ぶ時もそうだけれど、最近は選択基準がイージーになってきている。まあ、いいじゃないのと。そういえば、博士山へ行った時も同じことをつぶやいたっけ。養老渓谷といってもどの辺りを指すのかわかっていなかったのだが、まずは目玉観光の粟滝を見に行くことにした。きっとシーズンの休日は観光バスもおしよせるのだろう。付近は大きな駐車場だらけ。管理人の話では、ことしは台風による塩害で紅葉のできがよろしくないという。

きれいに整備された遊歩道から滝上の養老川に降り立ってみた。ただ遊歩道をあるくだけでは面白くないだろうと、ちゃんと沢靴を用意してきた。予想以上にスケールの大きなナメが広がり、眼下に滝となって流れ落ちている。平日の早朝なのでまだ人はまばらだ。なかなかではないかと多少浮き足立つ。

さっそく滝の下に下る。朝日が水しぶきに反射してまぶしい。粟滝といっても大したことはないと思っていたが、予想以上にスケールが大きく立派だった。川沿いの遊歩道を歩いて行くと枝沢ごとに名前の付いた滝が落ちている。二つ目の枝沢に入って行くとこれまた結構なスケールの階段状の滝がある。思わず気持ちが沢登りモードになり、少し滝を登って遊ぶ。ナメがきれいなところでは沢に入って雰囲気を楽しむ。

遊歩道の終了点で引き返し、沢歩きもどきの散策をして再び粟滝へ。滝上から再び沢に入る。ちょっとだけだけれどナメ沢歩きの雰囲気を味わい、次の小滝を左壁からこえると小さな貯水堰堤となる。ここから斜面を登って車道にあがり車にもどった。

 

 

さてつぎは、梅ガ瀬渓谷へと向かう。こちらも沢沿いに登山道がある。現地で沢歩きにするかどうか決めることにしていたが、こちらは小さな沢で、歩き始めるやすぐに沢に降りるほどではないとわかった。梅ガ瀬渓谷なんてすてきな名前だが、これは従来からの名称ではなく後年当地に移り住んだ日高誠実という明治新政府に仕えた学者が、この地を大和の「月ヶ瀬」のような理想郷にしようと「梅ヶ瀬」と名付けという。登山道には日高邸跡の方向を示す標識が多いので興味をそそられていた。

ずっと地味な沢沿いの小道だったが、日高邸跡地といわれるところは、たしかに別世界の雰囲気をかもしだしていた。その時代に植えたと思われるモミジの木が立派に育ち、そこだけがひときわ美しい紅葉につつまれていた。この地に理想郷をつくろうとした人のロマンが感じられ、来て良かったと思えたことがよかった。

日高邸跡は登山道から少し脇に逸れたところにある。もどって大福山という山頂をめざすのだが、植林帯の登りが以外と長く続く。ようやく前方が明るくなったと思いきや車道にのりあげた。なんだ、ここまで車で来ることもできるのかと思ったが、そういう山域だということは承知の介なり。そういえば、去年友人と登った大野山も山頂間近と思ったら車道が通り、電信柱まで立っていたことを思い出してしまった。

ここから長い石段を登って大福山へ。立派な神社にお参りをして車道をくだり、出発点にもどった。