ブナの沢旅ブナの沢旅
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2017.06.03
天城山〜天城峠
カテゴリー:ハイキング

2017年6月3日

 

学生時代からの友人とハイキングに行くことになった。全員が神奈川県民なので、近からず遠からずで一般の人にも馴染みのある山で、標高差が少なくて歩きやすくて見どころのある山で、できたら自分がまだ行ったことのない山、とたくさんの条件をつけて選んだのが天城山だった。ちょうどシャクナゲが見どころらしい。

百名山でもあり相当の人出が予想されたが、今回はいつものこだわりは捨てているのでよしとする。案の定、伊東駅のバス停では相当のハイカーがすでに列をなしていた。そんなことだろうと、我々は時間短縮もかねてタクシーで登山口に向かった。

さっそく登山口から歩き始める。随所に標識が完備されており、丹沢の大倉尾根のように標識番号と電話番号のサインが目につく。伊豆の山は初めてだが、登山道は日本庭園風でなかなかいい雰囲気だ。

万二郎岳からは登山道にブナやヒメシャラが並び好感度は更にます。これまで天城山は登山地図を見ても観光地の山のようであまり触手が動かなかったが、今回いい機会になったと思う。計画では天城峠を越えて古いトンネルから下山と軽く考えていたが、よく見ればコースタイムは7時間。こんなに歩いたことのない友人には厳しいかもしれないので、万三郎岳で先に進むか、短い周遊ルートで登山口に戻るかを決めることにしていた。

最近は日が長いので、天城峠まで多少時間がかかっても明るいうちに下山できる。個人的には関心はブナ林の縦走路にあったので、友人には頑張って縦走したい旨を伝える。大丈夫だというので先へ進む。

天城山はシャクナゲの山として花の百名山にもエントリーしているとのことだが、ここのシャクナゲは樹高が高く花も大振りだ。つい先日の三岩岳の登山道でもたくさん咲いていたが、低潅木でもっと可憐なのに、ここの花はてんこ盛りながら大味の印象。つい友人にも、ここのシャクナゲはアメリカンチェリーみたいで、佐藤錦じゃないなどと冗談を言ってしまう。

多くのハイカーは万三郎岳からシャクナゲコースを下って元に戻るらしく、先へ進むと人も少なくなった。広々とした気持ちのいいブナの峠で昼食をとる。

八丁池まではほんとうに緩やかな道でブナの大木が続く。ブナは立ち枯れもなく丹沢よりも元気がいい。幾つか峠を超えて長く感じ始めた頃八丁池へ。人手を予想していたが、ひっそりとして誰もいなかった。ずっとブナ林の道を歩いてきたので目先が変わってリフレッシュできた。

さらに天城峠までは石がゴロゴロした歩きにくい道を下る。それにしてもこれまで足元にはギンリョウソウを1、2回見たくらいで花が何も咲いていない。もう終わってしまったのか、夏の花には早いのか。

だんだん疲れも出てくるが、ようやくたどり着いた天城峠はちょっと拍子抜けだった。歌や映画の「天城越え」や小説で勝手にイメージを作っていただけなのだが、ベンチと標識があるだけのやせた尾根の鞍部だった。地図を見ると、峠を越えてさらに縦走路がつづいている。なにしろ情報不足だが、元々の天城峠は別のところにあるらしい。

最後の見どころは旧道の天城山隧道だ。明治時代にできたトンネルの前で記念写真を撮り苔むした石段をくだってバス停に降り立った。かなりの長丁場になってしまったが無事に歩き通すことができてよかった。なんだか自分の好みのルートに付き合わせてしまった感がなくもないが、後日、歩き通すのは大変だったけれどとても楽しかったとのこと。大変な思いをするほど山にハマるものだというと、納得してくれた。

 

天城山登山口8:30ー万二郎岳9:40ー万三郎岳11:10ー八丁池14:20ー天城峠16:20ー天城峠バス停17:15