ブナの沢旅ブナの沢旅
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2016.04.25
三岩岳~会津駒ヶ岳~大杉岳〜御池
カテゴリー:雪山

2016年4月24~26日

 

3年前の連休に丸山岳へ行った時、帰路は会津駒ヶ岳まで足を延ばす計画だったが、いい加減疲れてしまい窓明山から家向山経由で下山してしまった。その時のオトシマエを付けるわけではないが、同じメンバーで三岩岳から会津駒ヶ岳、さらに足を延ばして御池まで縦走した。

南会津は1年ぶりだ。ちょうどサクラが満開で、のどかな里山の雰囲気が懐かしさを誘う。会津高原尾瀬口駅で待ち合わせ、駅前の食堂で軽く食事をしてから、まずは下山地点の御池へ向かう。今の時期はまだ御池までバスが通じていないため、車が一台だと足が不便なのだが、yukiさんが自転車で車を回収してくれることになった。車で移動してもかなりの距離なので気がかりだったが、ご本人は日頃鍛えているらしく平気だという。

自転車をデポして小豆温泉の登山口へ戻る。当然雪はこれっぽっちもない。今回は1泊2日の行程を2泊の時間をとって歩くので、最初からのんびりムード。というか、最近はいつもそんな山行ばかりだが。。

登山道があるので雪がなくても藪にはばまれる事はない。山はほぼ一箇月ぶりなので重いザックがこたえる。のっけから急登が続き、汗が吹き出る。こまめに休憩を取りながら進む。途中で下山して来た日帰りハイカーに雪の状況をきく。1300mを過ぎるとようやく雪があらわれ、次第に途切れる事なく続くようになる。

雪がない事には幕営できないので、一応初日の目標地点には到達した事になる。ちょうど登山道が広く平たくなったところがあったので、行動を終える。残雪期の山行で雪のない地面にテントを張るのは始めてだが、脇の斜面から雪はとれるしテントはフラットな土の上で快適だ。今年始めての焚火を楽しみ、翌日の稜線漫歩に思いをよせながら初日を終えた。

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暖かい朝を迎えた。少しだけ焚火を起こして外で朝食をとり、アイゼンをはいて出発する。すぐにブナ林が美しい尾根となり、充たされた気持ちになる。3年前は悪天候のため1670mのポコで引き返したことを思い出す。

右手には家向山から窓明山の稜線が近いが、家向山は黒々として雪がない!傾斜が緩み、だだっ広い雪原となる。三岩が近くに見えるのだが、近いようでなかなか山頂に着かない。窓明山以北の稜線も姿をあらわし、3年前に歩いた丸山岳へのルートがはっきりと見て取れる。ここでも坪入山と高幽山の鞍部には全くと言っていいくらい雪がなく、ゴールデンウィークのゴールデンルートともいえる丸山岳への道はかなりの藪漕ぎを覚悟しないと無理そうだ。

三岩岳山頂は地面が出ていた。いわばここが御池までの縦走の出発点のようなもので、大きくなだらかに広がる山並みを目にしながらの稜線漫歩となる。気持ちよく快適に進んだと言いたい所だけれど、なんだか足取りが重い上に、暑さが堪える。テント泊縦走が久しぶりのyukiさんも同様らしく、今回はコマメに休憩を取りながらゆっくりペースとした。

他に縦走パーティはいなかったが、大戸沢岳との中間地点あたりで、5時前から駒ヶ岳登山口を出発して来たという御夫婦とすれ違う。何と日帰り縦走で小豆温泉に下るとの事。健脚ぶりを感心すると、ザックが軽いからと言われたが、確かにその違いは大きい。軽装で沢山歩く事と重荷を背負って歩く事には大きな違いがある。

じつは南会津の山行の数日前に足慣らしを兼ねて丹沢を歩いた。最近山へ行く頻度も減ったし楽な山行ばかりなのでちょっと心配だったのだ。けれど体感と実際にはけっこうギャップがあり、今回はなぜか調子が良くて結局蛭ヶ岳まで往復できた。それで気をよくしていたのだが、やはり十数キロのザックを背負っての山歩きとなると別次元。もうしばらくは山でのテント泊にこだわりたいが、それができなくなったら、すれ違った人達みたいに軽荷で足を延ばせるルートを探すのだろうなあ、などと話しながら先へ進んだ。

大戸沢岳まではいくつかアップダウンがあり、意外と時間がかかった。スキーヤーに人気の積雪期限定の山だが、雪の少ない今年は下部の沢が埋まらず人出も少なかったらしい。東尾根の中腹には三岩岳と同じかそれ以上にいい感じのブナ林があって、また途中でテント泊しながら歩きたいと思いつつ果たせていない。

どこが山頂かわからないまま通りすぎると殆どフラットな稜線となり、大きな黒木の山という感じで展望が多少単調となる。むしろ谷を隔てた中門岳の稜線が目を引く。こちらはまだ厳冬期さながらの真白でクリーミィーな姿のままで、隣り合わせでこんなにも雪の着き方が違うものかと不思議な気がした。

ようやく駒ヶ岳の山頂へ。さすがに一気にトレースが増え週末の賑わいが想像されるが、今は誰もいない静かな山頂だ。思えば会津駒ヶ岳の山頂を踏んだのは始めてだ。何年か前の12月に日帰りでめざしたが、あの時はガスと強風のため小屋の手前で下山した。下ノ沢を遡行した時もとくに山頂にこだわりはなかった。

まずは小屋まで下る。もうじき営業が始まるようで、除雪や何やらの準備が整っている雰囲気だった。小屋の裏に回り込み、大杉岳方向の尾根を探る。今までと展望が変わり、山並みに変化がある。見渡すと尾根が痩せた地図で崖マークがあるあたりは雪が落ちて藪ピークとなっている。例年は今の時期は雪がたっぷりあってスキーを履いたまま通過している記録もあるとのこと。

ちょっと心配だったが、考えてみればこの尾根には登山道があるのだからそんなにひどい薮にはならないはず。案ずるより産むがやすし、の言葉どおり、近づいてみれば見た目ほど悪くはなかったが、それでも一番難義した所であることは確かだ。

藪ピークの難所を越えるとまるで別世界となり、思わず歓声を上げてしまう程の激変ぶり。緊張がほどけたこともあり、もうお腹いっぱいとばかりテンバを探しはじめる。地図で池塘マークがある平地で手を打つ事にしてザックを置いた。今回は両日とも整地不要なテンバ適地。ただ標高が高い分焚火はできなかったが、1日目に堪能したので良しとする。テントをはり、まずは背中を伸ばしてリラックス。さすがに二人とも疲れてしまい、食後早々にシュラフにもぐった。

 

会津駒3 

会津駒4 

最近はのんびり山行ばかりのため、目覚ましをかける習慣がなくなってしまった。目覚めたらすでに太陽が高く、5時をゆうにまわっていた。外は快晴で霞も薄れ、越後や奥利根の山並みがクリアだ。燦々と降りそそぐ日差しのため、はやばやと雪が腐りはじめ、早々にワカンを装着する。

進むたびに燧ヶ岳が大きくあらわれたり隠れたりを繰り返す。大津岐峠ではキリンテに下る登山道が一部あらわれていた。御池まで行くとバスが使えず車の回収が大変だろうと思い、キリンテに下れないのかと思ったりもしたが、積雪期には歩かれていないのはきっと理由があるのだろう。

大杉岳に近づくと間延びのした登りが続き、実際以上に行程が長く感じられた。樹林帯の中にはいると方向が不確かとなるが、薄いながら下りのトレースがあらわれて楽ができた。樹林の中の山頂では、山頂標識が半分出ていた。例年は完全に埋まっているはずの標識だ。

あとは御池まで下るだけなのだが、尾根が広がってわかりにくい。2度枝尾根に引き込まれそうになりながら南をめざして下ると途中から雪がなくなって登山道があらわれ、じきに登山口に下り立った。

御池の観光案内所に行き、三日間待っていた自転車にただいま〜。yukiさんはこれからさらに車の回収のため一仕事しなければならない。颯爽と走り去る姿を見送り、裸足になってテラスで濡れたものを乾かしながら心地よい疲労感に身を委ねた。

会津駒5 会津駒9

三岩岳登山口13:30−1470m幕営地16:20//6:30−三岩岳9:45−大戸沢岳12:55−会津駒ヶ岳14:10−1956m幕営地16:00//6:45大杉岳11:20−御池13:00