ブナの沢旅ブナの沢旅
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2014.11.22
御前ヶ遊窟〜井戸小屋山
カテゴリー:山歩き

2014年11月22日

 

去年の11月23日に登山口まで行って中止した御前ヶ遊窟へ再びやってきた。先週計画して流れたので来年に持ち越しだと思っていたが、季節外れのポカポカ陽気のおかげですべり込みセーフとなった。そんなに執着するほど行きたい山なのかと聞かれると返答に困るのだけれど、沢でも雪山でもないちょっと中途半端な今の時期に、バリエーションハイキングとして楽しめる山なのだ。

早朝に郡山を出発し磐越自動車道を経て新潟の津川へ向かう。会越国境の山並みが近づき、この山域の雄である御神楽岳の真っ白な姿が目に飛び込む。そしてイヤな予感。会越の低山にはまだ雪はないと思っていたが、どの山も山頂が白い。

見通しが甘かったといいながら登山口へ向かい、とりあえず行ける所まで行くことにした。昨晩新調したスパイク長靴をはいて登山道を進む。すぐに鍬沢を徒渉する。鍬沢は遡行してみたくなるような、白い岩盤のきれいな沢だ。

登山道は、深い谷の斜面中腹をからむようにアップダウンを続ける。落ち葉やぬかるみで滑りやすく気が抜けない。タツミ沢出合を過ぎると鍬沢の対岸にスラブが広がる。とてもすっきりとしたきれいなスラブだが、ここは見るだけ。雪はなく乾いている。しだいにガスもとれて青空が広がり、こんどこそ大丈夫という気にさせてくれる。スラブ登りが楽しみだ。

登山道が沢に近づき、シジミ沢出合へ。わかりにくいが沢に下る所に赤テープがある。下る途中に御前ヶ遊窟の大きなルート図もある。沢に下りて一服。1時間半ほど歩き、ちょっとしたハイキングをこなした気分になる。沢を徒渉してヤブっぽい窪に入る。大岩ゴーロを急登すると前方が開け、ギザギザの岩峰が青空にそびえ立つ。標高差およそ450mのスラブだ。ここで長靴からラバーソールの沢靴に履き替える。

取り付きのスラブには水が流れ、トラロープが下がっている。滑りやすいのでロープを頼りに一段あがる。そしてここからは乾いた岩を快適に登る。登山道は灌木帯に沿ってあるようだ。振り返ると登って来たラインが一直線に下まで見えて高度感たっぷり。

スラブはフリクション抜群だが、傾斜が増したところでは意外と手がかりに乏しい。或る程度の斜面になると滑らないとわかっていても恐い。yukiさんのあとを追うとけっこうチャレンジルートになり、お助け紐を出してもらう場面も。

以前、御神楽の前ヶ岳南壁を登ったときは傾斜はあったけれど岩がフレーク状のスラブで手がかり足がかりが豊富だった記憶がある。あのときはお助けは使わなかったのに、登山道ルートもある御前ヶ遊窟で難儀するとは。。。

スラブ直登が難しい所では岩溝を這い上がったが、途中から木登り、泥壁登りとなり、久しぶりに腕がパンプ状態になる。好き好んで選んだ核心部だったが、下山路に使われているソウケエ新道合流点に着いたときはホッとした。最近はこんな山登りをあまりやらなくなったので楽しかった。

ねっころがって小春日和の青空を見上げる。対岸にはスラブの壁、そしてその向こうには雪をまとった低山里山。のんびりとした雰囲気にひたりながら、なんて贅沢な遊びだろうと思う。

草付きの斜面についた踏み跡をたどる。しだいに雪がついてきた。御前ヶ遊窟は開けた大きな岩屋で、隣には小さな流れもある。伝説では、ここに平将門を討った叔父貞盛の養子、維盛の夫人が隠れ住んだ洞窟とのこと。伝説とはいえ、こんな所に人が住むなんておかしいなどと突っ込みをいれながら洞窟で一休み。小さな仏像が安置され、ケルンが積まれ、石塔が二つ置かれている。それよりも洞窟の外側の奇岩峰が興味深い。長年の浸食でできたものなのか。奥秩父の瑞牆山のカンマンボロンを思い出した。

御前ヶ遊窟の上にもスラブは続いている。最初は乾いて快適なのだが、スラブが終わって草付き斜面を登るとことは完全に雪で覆われ、沢靴がすべる。最後は雪に埋もれた灌木につかまりながら稜線に這い上がった。

尾根には明瞭な道があった。御前ヶ遊窟の846m山頂に上がり、会越国境の低山藪山を見渡す。奥には冬を迎えた飯豊の山並みが浮かんで見える。ふたたび長靴に履き替え、井戸小屋山へ向かう。下山は途中から鎖場の連続となるソウケエ新道をたどって鎌沢沿いの登山道に戻るのが一般的だが、あまり記録がない井戸小屋山の北尾根を下る。地図をみると下で林道が延びているので、つながっているかもしれない。

井戸小屋山までは雪がついた痩せ尾根で、先行のyukiさんは踏み抜きのため神経を使ったようだ。私はトレースをたどればよかったが、それでも気が抜けなかった。山頂は樹林に囲まれていたが三角点が雪から頭を出していた。

北面は植林帯の広い斜面で赤テープがあった。とても歩きやすい尾根で、雪がなくなると明瞭な道がついていた。地図に登山道はないが、登山道以上に登山道らしい快適なルートだ。(あとで知ったが、阿賀町が出している山岳マップには2万5千の地図にはない登山道が掲載されているとのこと)スラブ登りと雪の痩せ尾根歩きには緊張する所も多かったが、まったく対照的な緩やかでやさしい下山路に感激する。

植林が途切れるとブナ林となり、左手には御神楽岳と笠倉山が顕著な姿を見せる。すぐに林道に合流し、正面に飯豊の真っ白な山並みを見渡しながら登山口へ戻った。

上級者向けとはいえ、こんなスラブの山にルートを作って一般登山道にするなんて。さすが越後と、久しぶりに私のDNAが反応する。そしてあらためて、こんな低山田舎スラブの山に愛着を感じながら地元の温泉「七福の湯」につかり帰路についた。(yuki、ako)

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登山口8:10−シジミ沢出合9:40−御前ヶ遊窟12:10/12:40−岩峰頂上13:10/13:25−井戸小屋山13:50−林道−登山道15:55

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