ブナの沢旅ブナの沢旅
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2014.07.05
酸川赤留川〜中ノ沢下降
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2014年7月5日

 

4年前に計画しつつも直前で計画を変更し行きそびれた赤留沢へようやく行く機会をえた。安達太良の沢はこれまでに6本遡行しているが、どこも穏やかなナメを持つ初級の沢だ。赤留川は他の安達太良の沢と比べるとあまり遡行されていない。なぜなのか、自分の目で確かめたいという気持ちもあった。同行のyukiさんは5月末の板収めで足を痛めてしまい、今回はリハビリ沢始めとなった。

当日の朝郡山駅に迎えに来てもらうが、天気は小雨模様。午後からは回復するようなのでとりあえず現地へ向かう。早く着いても天気が悪いので途中牧場を通って銚子ヶ滝への登山口を確認したり母成峠に立ちよったりとミニ観光。

するといつの間にか雨はやんで空が薄明るくなっている。なんだ、こんなことなら寄り道するんじゃなかったと言いながら赤留橋へ向かい沢支度。左岸の橋の少し手前から沢に降りる。

最初はゴーロ沢が続く。なくても良さそうなミニチュア風の堰堤を越え、さらにゴーロ川原を進む。想定内なので嫌になることもない。ようやく変化があらわれ、小さな滝が続く。二つ目の2段4m滝は登れそうにない。さっそく巻き道を探すが、yukiさんはなんとかならないかと右岸をトラバースし始める。近づいて無理なことがわかり、ようやく諦め左岸の踏み跡をたどる。

沢床がしだいに赤みを帯びてきた所で前方に白い筋が見えて来た。2段15mナメ滝だ。斜度の強いナメ滝なので一見登れるようには見えないが、近づいて眺めるとyukiさんは登れるという。ならばロープを出してもらおうと、おまかせ気分で登るのを眺める。上部で1段目の落ち口にトラバースする所が手がかりがなく少し手こずったようだったが無事に登りきる。

続いて中段までフリーで登る。フリクションが効いて見た目ほど悪くないが、それでも上部はロープを出してもらう。滑らないとわかっても緊張しながら1段目をクリア。そのまま滝の落ち口を反対側に渡って2段目を見上げるが、両岸とも登れる
様子ではない。左岸は階段状なので水量が少なければ登れるのかもしれない。木につかまりながら左岸の泥壁を登って巻いた。

滝上は渓相が一変し、待望の赤ナメ連瀑帯が見渡す限り先まで続いている。これまでゴーロが長かったので、喜びもひとしおだ。フリクションが効いて滑らないので楽しく水中を歩いて行く。ちょっと傾斜がある所は水際に逃げるとぬめって逆効果。一ヶ所思い切りがいる所はお助け紐を出してもらう。リハビリ始めの人に助けを借りるなんて。。。

ナメの連瀑が途切れると深い釜を持つ2mのナメ滝となる。取り付くには深い釜に入るか微妙な側壁をへつるか。ここも巻くつもりだったが、yukiさんは釜に入ってとりつこうとする。けれどすぐに深みにはまり諦める。側壁はへつればたぶん滑ってドボンだろうとしばし思案して諦め、巻くことにする。右岸の巻き道は明瞭だ。

しばらく進むと前方の樹林越しに大岸壁がそびえ、近づくと水が流れ落ちていた。ここが大滝だ。これまでの渓相とはガラッと趣が変わる。どうも安達太良山周辺の沢はほぼ同じ等高線の所に大滝があるようだ。予想以上に水を落としていて迫力がある。両岸とも岸壁に囲まれているが、それほど威圧感はない。

ここで下調べどおりの巻き道ルートを探る。岸壁が切れたあたりの左岸の樹林帯の斜面を登ると岩壁下のテラスとなる。すこし戻るようにトラバースして岸壁が途切れる所で小尾根に乗ると笹薮の樹林が広がる。軽く藪をこいで適当な所で斜面を下るとずばり滝頭の上にでた。下から見上げると迫力があったが、木につかまって滝を見下ろすと直瀑ではなくルートが読める様な斜度だったのは意外だった。隣でたいしたことないね、なんて声がする。

大滝上からはふたたび平凡な小川風情の沢に戻るが、苔がきれいで、よく言えば日本庭園風の沢となる。というのもつかのま、今度はボサがうるさくなり始め、早くもそろそろ感が漂う。最後の見せ場とばかり、トイ状5m滝と小滝が続く。

1340m二俣で休憩し、ルートを相談する。当初はもう少し先まで進んで中ノ沢が近づく所で尾根を乗り越して下降するつもりだった。けれど先に進んでも藪沢のようだし、たまたま小雨がちらついたりしたものだからここで遡行をやめて尾根を乗り越し、中ノ沢の枝沢を下ることにした。

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コンパスで方角を決めて藪をこぐ。のっぺりとした地形なので方向感覚がなくなりそうだ。しばらく登ると前方に谷筋が見えて来た。この尾根にはかつて舟明神から下る登山道があったらしく2万5千の地図でも点線が引かれているが、完全に藪となり片鱗らしきあとさえ見当たらなかった。

1220mで中ノ沢本流に合流する枝沢はほとんど水がなく、きれいでもなんでもなかったが、下りやすく、あっという間に中丿沢に降り立った。赤留川の赤ナメは少し赤みを帯びたナメだったが、中ノ沢は見たことがないくらいあざやかな赤茶色のナメとなっている。これは1270m附近の鉄分噴出によるもの。まさか再び中ノ沢を下ることになるとは思ってもみなかったが、今回の方が水量が多く赤茶色のナメ床と白い水の流れのコントラストが美しい。中ノ沢なんて小さなヤブ沢くらいにしか思っていなかったらしいyukiさんも、ずっと続くきれいなナメに印象づけられたはずだ。

下るにつれ再び青空が広がり、ナメから川原状になった沢を美しく煌めかせている。なんだか出来過ぎの演出だなんて思いながら下って行くと目印の土管橋が見えて来た。橋をくぐってゴルジュを越えると右岸に踏み跡があらわれる。

前回同様ここから沢を離れて踏み跡を進むと次第に明瞭な道となる。この作業道は中ノ沢林道とは別の地図にはない道だが、とてもよく整備されて歩きやすい。最後は牧場を右手に見ながら林道を下ると中ノ沢林道と合流し、すぐに母成グリーンラインに降り立つ。

あとは車道をてくてく歩いて赤留川橋脇の駐車スペースに戻り、今晩泊まる郡山市の宿泊施設、逢瀬荘に向かった。

今回はyukiさんのリハビリ山行ということもあってのんびり歩いたが、早めに中ノ沢に下ったので予想よりも短い時間で周回できた。このコースは現場で急遽決めたものだったが、当日発で赤留川と中ノ沢の赤ナメを手軽に楽しめるお薦めのコースだといえよう。(yuki、ako)

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赤留橋9:00−大滝11:10/11:50−二俣12:25/12:45−中ノ沢13:30−土管橋下林道15:05−母成グリーンライン15:35−赤留橋16:00

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