ブナの沢旅ブナの沢旅
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2014.06.01
日陰名栗沢
カテゴリー:備忘録

2014年6月1日

 

6月最初の日曜日は天気もよさそうなので、遅まきながら沢始めをしたいと思った。何しろ半年振りなのと最近は引っ越しの雑事に追われて沢への思いがどこかに置き去り状態になっていた。まずは沢ハイキング程度の足慣らしをしようといくつか候補をあげ、同行のkukenさんに大菩薩の沢を二つと日陰名栗沢を提案し、それぞれ一口コメントを添えた。

日陰名栗沢については、「4月下旬にわらじのブログにでていたけれど雪渓で敗退しているからどうかなあー」と言うと、「なにっ、わらじが〜、じゃあ行きましょう(笑)」と即決の返事。若い頃に一時在籍していたkukenさんは未だにけっこう意識しているのだ。(ほんとは大菩薩近辺はすでに4、5月で単独集中山行していたからだろうけれど、言い方がふるっている)

車の回収があるので下山路は登山道のないヤケト尾根を下ることにしたが、地図で見ると長くて読図がいりそうな尾根なので時間の余裕をもたせたい。前夜のうちに八丁橋まで入ることにした。

翌朝は暗いうちから車の通り過ぎる音がする。早めに起きて6時過ぎに出発すると少し先の駐車スペースは早くも満車状態になっていた。日原林道は秋にも何度か歩いたが、自然林が美しい林道だ。

日陰名栗沢への下降点は山側に林班分界標識があり、立ち入り禁止のテープと張り紙があるので間違うことはない。ジグザグに山道を下って行くが足下がおぼつかなく、アプローチで早くも緊張気味となる。沢に降りる所が急斜面でさらに腰が引けてしまい、みかねたkukenさんがバイルで足場を作ってくれた。入渓前から情けなや。

日原川を徒渉して日陰名栗沢に入る。最初はイメージ通りのしっとり、こじんまりとした渓相だ。ナメ小滝が続くが両岸が開けているので直登にこだわらず楽なルートをたどって進む。何しろ足慣らしなので渓を歩くだけで十分なのだ。

見上げると新緑が額縁のように真っ青な空を囲んでいる。沢はどうということはないので二人とも大木とみずみずしい新緑の両岸に目が向かう。そして頭上を見上げながらいいね〜を繰り返す。

少し進むとやはり顕著な雪渓があらわれた。今年の大雪で奥多摩の沢は雪渓が多いことは認識していたが、6月に入ってもこれほど残っているとは想像しなかった。雪渓の先端は薄くきれ、その先に滝がかかっているので上を歩くことはできない。左岸を小さく巻き上がるが先が見えないので、一度沢に降りて雪渓の下をくぐる。ほんの少しの間だからできたものの、ブロック崩壊するのは時間の問題だろう。

その後沢は途端に荒れた様相となり、雪崩でなぎ倒されたらしいスズタケの散乱が続く。このような荒れた状態は他の沢でも同様のようで、大型台風の大水でもない限りすっきりした状態には戻らないだろう。

沢は荒れているが、両岸には桂やしおじの巨木が点在して目を楽しませてくれる。バリエーションルートだと思えば悪くないなどと言いながらグリーンシャワーの沢ハイキング。

1300m附近で水が涸れ、苔むしたゴーロとなる。しばらくすると古いわさび田跡が点在し、仮小屋の跡もあらわれた。こんな所にまで仕事に来て居たなんて昔の人はすごいなあといつも思う。

標高を上げるに連れ再び雪渓があらわれるが問題になることはない。荒れた状態も収まり、とてもすっきりとした源頭となる。木漏れ日を浴びながら進んで行くと稜線のミツバツツジが見えて来た。途中から斜面を這い上がり石尾根の稜線にでた。樹林の若葉がいまだ初々しい。とても清々しい気持ちだ。

靴を履き替え一休み。こんなに天気のいい日なのに登山道を歩いている人はまばらだ。なんと沿道にワラビが沢山はえている。食べられる程度を収穫してヤケト尾根の下降点となる日陰名栗山へ向かう。

日陰名栗山には、3月に将門馬場にかかっていたのと同じ陶器の標識板がかけられていた。石尾根の標識のない地味な山に愛着を持っている人なのだろう。どうか将門馬場のように割れてしまいませんように。

ヤケト尾根の入口には進入禁止のテープが貼られていた。あとで感じたが、読図ができないハイカーが間違って下るととても迷いやすく途中に赤テープもない。かつてはスズタケの密ヤブだったらしいが、今ではほとんど枯れてしまい歩きやすくなっている。上部はミツバツツジが群生していた。あと数日で満開の模様。

順調にどんどん下ると尾根が広がってブナ林となる。丹沢ではなかなか見られない樹高の大木が多く何度も立ち止まる。鷹ノ巣山の稲村尾根も中腹はブナ林だが、ヤケト尾根にこれほど素晴らしいブナ林があるとは。。。そういえば唐松谷林道や野陣尾根の中腹もそうだった。きっと石尾根北面の中腹はどの尾根も美しいブナ林が広がっているのだろう。

けれどルートはわかりにくく、二人ともGPSを持ちながら何度か違う尾根に引き込まれそうになる。方向がずれたところでブナの大木に大きなヒラタケの群生を発見。乾いていたがキノコに詳しいkukenさんによれば水に戻せば美味しく食べられるという。ルートをはずれたための収穫ににんまりする。

ゆったりとした1247m台地を下るころから今までなかったテープがあらわれる。尾根は細く明瞭だが傾斜が増してくる。1100mで調べた通りに水源巡視路が横切る。これは3年前に巳ノ戸谷を遡行した際に左岸の作業道をたどって合流した所だ。

ここからは道をたどればいいと気が楽になったのもつかのま、落ち葉が深くつもった急斜面のジグザグが延々と続く。もともと苦手な下りなのに足下が不安定で緊張のしっぱなし。またまた見かねたkukenさんが、ところどころ足場が消えている所の落ち葉を掻き分けて先導してくれる。巳ノ戸谷の下山時には問題なく下った記憶があるのにおかしいなあと情けない。

吊り橋が見えたときには心底ほっとした。橋を渡って登り返し、通行止めの標識とテープをまたいで林道に戻った。ヤレヤレご苦労様と握手。かるい沢始めのつもりだったのに、いつもながら読みが甘い。けれど、雪渓処理に大木ウオッチング、ワラビにヒラタケの大収穫、すてきなブナの森の出合いなど、予想を遥かにこえる充実したシーズン始めとなった。(kuken、ako)

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八丁橋6:15−日陰名栗沢出合7:20−稜線12:25/12:50−林道16:00−八丁橋16:20