ブナの沢旅ブナの沢旅
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2011.08.19
東沢支流ヤビキ沢
カテゴリー:備忘録

2011年8月19日

 

当初は4年ぶりの小川谷を予定していたが、悪天のため延期することにした。けれどせっかく日程が取れたので、かねてから気になっていた西丹沢の小さなナメ沢、ヤビキ沢に行ってきた。

以前西丹沢のある山で話を交わした人から教えてもらい、ネットの丹沢愛好家のコミュニティでもきれいな沢だと紹介されているので気になっていた。この沢だけのために計画するほどでもない小さい沢なので、シロヤシオの花見ハイキングがてらと思いながら時期をのがしていたのだ。

天気悪いのに行くの?と渋るYさんを、天気がいいときに行くにはもったいない沢だからちょうどいいのよ!と、奇妙な理屈でなかば強引に説得。とはいえ、さすがに気が引けて中止してもよい旨を伝えると、避暑地から東京の自宅に戻ったら暑くてたまらず、行く気になったという言葉が返ってきた。

西丹沢自然教室行きのバスの終点で降りたのは私たちだけ。元気のいい管理人のお兄さんに迎えられ、登山届けを書くように言われる。いつもは他に人がいるので書いたことがなかったのだが、ヤビキ沢と記入して出発する。今のところ天気はそれほど悪くない。

登山道を進みゴーラ沢の川原にでる。ヤビキ沢はゴーラ沢の最初の二俣の右俣の沢で、昭文社の登山地図の旧版には名称が記されている。下部には堰堤があるのでしばらくは急な尾根の登山道を進み、堰堤を二つ越えたあたりで右手に下る踏み跡をたどって川原に降りた。すぐに三つ目の堰堤となり、左から越えたところで沢靴に履き替える。

むせかえるような蒸し暑さ。ゴーロ沢とはいえ水に足をつけるだけでも気持ちがいい。あたりは白い大岩ゴーロの川原が広がっている。ヤビキ沢出合いまでずっとゴーロ川原がつづく。ゴーラ沢を左に分け、さらに川原を少し進むと川原の幅が狭くなり、ふたたび二俣となる。右は早くも水涸れた急斜面のナメ。左がようやく普通の沢らしくなってナメ床となる。

やっとナメがあらわれたと喜んで進むが、あっという間にナメは終わり、ふたたびゴーロの川原歩き。まさかもう終わりじゃないよねと心配になるころ、ふたたびナメとなる。今度はもう少し長く続き、いい雰囲気だ。たしかに、ゴーロ川原からは想像がつかないほど美しい。ここがよく写真で紹介されているハイライトのようだ。

だけれども、そのハイライトもあっという間に終わってしまう。「えっ、こんなに短いの。ナメの写真がたくさんあったじゃない。それってみんな、このウンと短い間に撮ったものだったのね。ゴーロの写真なんて誰も載せないもんね」

ふたたびゴーロを歩くと、すぐに前方に初めて滝があらわれる。この頃から雨がポツポツ。もう二俣に着いたようだ。左俣にかかる5+3m滝はなかなか立派です。パンをかじりながら滝を眺めてルートをじっくり観察。左の水流沿いが階段状になっていて登れそうだが、マシラさんの記録では岩が動いてはがれそうだと書いてあったな。雨も降って来たことだし、この先はすぐに水が涸れてツメが長いし・・・ということで、沢を下って戻ることにした。遠くで雷が鳴り、葉っぱが舞い散っている。午後から雨の予報がピッタリ的中だ。

急いで下山して自然教室に戻る。夏休み中は大賑わいのキャンプ場もさすがに閑散としている。敷地の一角にゴミ処理場と見まがうほどゴミ袋が山積みになっていたのが印象的だった。有料キャンプ場なのでゴミは出し放題のようだ。ゴミを出さない、あるいは持ち帰るというルールで遊んでもらうのがキャンプ場経営の社会的責任ではないかなどと偉そうに思ってしまう。

バスの時間まで間があるので管理棟に立ち寄って管理人さんに挨拶すると、ヤビキ沢はどうだったかと聞かれ、そこから話題が広がって話し込む。なにしろこんな天気なので他に登山者はおらず手持ち無沙汰のようだ。

 

管理人さんのことは山で出会った「SWちゃん」(と管理人さんは呼んでいた)から聞いていたので話を向けると、彼女の旦那さんのザイルパートナーなのだという。つい最近下棚沢の大滝を登攀したと嬉しそうに話してくれて盛り上がり、大滝を巻けば上部は登れるナメ滝がいい案配に続き、詰めも楽でお勧めだとのこと。写真も見せてもらい興味深かった。

そうこうしているうちにバスの運転手さんが顔をだしたので、あわててバスに乗ろうとしたところ、写真を見終わるまで待っていてくれるという。雨の日ならではのことだ。当然私たちだけ。バスに乗るとふたたび雨となりしかも大降りとなる。車窓からメットとザイルを担いだ2人組が歩いているのが見えた。私たちとは違い、いかにも本格的な沢やパーティ。こんな日に大滝登攀したのかなと、興味津々。

しだいに雨脚が強まり、中川川はあっという間に泥水状態となる。下界ではゲリラ豪雨に落雷があったことを電車に乗ってから知った。とんだ日に山に入ったものだが、なんとか雨雲の隙間をかいくぐって半日の水遊びができた。なんて思うと、ちっぽけなヤビキ沢でのひとときが愉快に思えてきたのだった。

 

コースタイム:記録なし