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2010.12.10
宮島・弥山
カテゴリー:ハイキング

2010年12月10日

 

広島出張が週末にかかったので、宮島観光をかねて弥山に登って来た。何しろ世界遺産指定地区にある人気の山なので、登山道は整備されているはず。忙しかったこともあって事前準備はほとんどせず、靴とウエア、小さなザックだけをキャリーバッグに詰めて広島に飛んだ。

当日は宿泊していたホテルの前からでているフェリーで宮島へ。弥山は宮島で一番高い山なので海上からもすぐにわかった。あとで知ったのだが、海から眺める山並みはちょうど寝観音像の横顔に見えるのだという。

宿に荷物を置いて地図をもらい、いざ出発。メインルートは三つあるのだが、登りは古くから参詣道として整えられた大聖院ルートをとってみた。

明治維新までは厳島神社の祭祀を司る寺でもあったという大聖院の境内を見学してから登山道へはいってすぐに、ほとんど水涸れしている白糸の滝が見えてくる。江戸時代の珍しい町石(一丁ごとの道標)を眺めながら石段を上がって行くと、岩の下にたくさんの石仏が安置されている賽の河原へ。少し先へ行くと白っぽい一枚岩のスラブ壁が見えてきた。とてもダイナミックな景観に意表を突かれる。

つづいて異様な光景が目の前にあらわれた。巨大な石積堰堤だ。唐突な展開におどろくが、2005年の台風14号で大規模な土砂崩れが発生したための復旧工事であった。普通に見られる無粋な堰堤とちがい、見方によっては石庭のような設計になっているのは、やはり世界遺産地区だからかな、などと思いながら石段を進む。

敷石がならんでいる仁王門跡を過ぎると大岩が目立つようになる。厳島神社奥ノ院である御山神社への小径を分けて弥山本堂へ。初詣にやってくる参拝者も多いらしい。

大岩の奇岩に目を奪われながらひと登りすると、あっけなく山頂へ着いた。広い公園のような山頂には展望台があり、瀬戸内海の絶景を楽しむことができる。親子らしい鹿が、ハイカーなど我関せず風にまったりしている隣でしばし休憩。

古くからの参詣道だけあって山頂までほとんど石段が続いており、山に登った感じがしない。すぐに下ってはあっけないので、弥山に次ぐ標高の駒ケ林へ行ってみることにした。

16世紀の厳島合戦の古戦場となった山だ。こちらまで足を運ぶ人は少ないようで、すこし俗っぽい弥山よりも静かで自然な感じが好ましかった。山頂は大きなスラブ岩で覆われており、弥山を眺めながら日向ぼっこのピクニックに持ってこいの場所だ。山頂には中高年の4人パーティがお茶をしながらくつろいでいた。

宿でもらった地図を広げていたら、そのうちの一人がその地図の制作者だということがわかり、話がはずむ。宮島弥山倶楽部の方々で、コーヒーとタルトをご馳走になりながら、いろいろ興味深い話を聞くことができた。

宮島の山をこよなく愛して活動されているとのこと。ガイドにでていないルートや奥にある山のことなども教えてもらい、とても嬉しい出合いとなった。

下山ルートは、教えてもらった地図にないコースにそそられたのだが、2万5000の地図を持っていなかったし下山後の予定があったので、今回はおとなしく大元公園へ下る一般コースをとることにした。

こちらのコースは、より山道を歩いている雰囲気があり、途中80mの大断崖を見上げたり、弘法大師がこもって護摩を焚いたという岩屋大師に立ち寄ったりと、興味深くも心休まる静かな散策ができた。

弥山は一般の登山とは趣がことなり、ゆっくり歩いて、心で感じる山なのだと思った。

弥山1 弥山3

弥山4 弥山5

コースタイム:記録せず