ブナの沢旅ブナの沢旅
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2021.08.28
片品川 北岐沢〜小松湿原〜鬼怒沼〜東岐沢下降
カテゴリー:備忘録

2021年8月27-28日

週末は久しぶりの好天が見込まれた。できれば今シーズンの計画沢に行きたいところだが長雨後の増水が気がかりなため安心安全重視と多少のワクワク感を組み入れ、尾瀬の沢と湿原をつなぐ短い山旅となった。

大清水へは今シーズン三回目となる。9時半過ぎに着いた時には小屋前の駐車場は満車で二日分の料金を支払って第二駐車場へ。林道から見下ろす中ノ岐沢は明らかに増水気味。途中のオモジロ沢出合の滝が水量豊かでとても美しい。これまでも通るたびに滝の上はどんなだろうと興味を惹かれるが、地図から想像するに何もなくて最後は藪山に消えるだけかもしれない。いくつか枝沢を分け下降予定の東岐沢の橋をわたって北ノ岐沢となる頃には沢音もおだやかになる。今年は増水ばかりを気にかけているようだが、とにかく弱いので大事なことなのだ。

林道が大きくUターンする手前の広場で沢装備に変え、藪に入って小沢を下り北岐沢に着地。最近は沢歩きもバランスが悪くなっているのでストックを使っている。小滝を越えながら楽しく進むが、やはり水量が多いため滝の登り方も巻き気味となりかえって登りにくいところもでてくる。もっとすんなりと登ったのになあ、なんて思うこともしばし。ミニゴルジュの奥にある大滝を見物してから巻道にはいる。

大滝上からはナメが出てきて溪相はさらに穏やかとなる。前回テントを張った広い右岸台地に上がってみる。とてもいいだけれど今回は翌日の行動が長いので1790mの一番人気のテン場まで進む。なかなか待望のナメがあらわれず、所々荒れた箇所もでてきたので不安になるころようやく登場。前回はこのハイライトを好天予報の翌日にとっておいた。そしてこんなにいい沢だったかしら、なんて楚々としたナメ歩きを喜んだのだが、なぜか今年は、あら、こんなものだったかしら、に変わった。今年は小赤沢、白淵沢と美しいナメ沢を遡行したため期待値レベルが上がったのかもしれない。(とはいえ、十分によい沢なのは変わりません。)

ナメの連瀑帯の途中、左岸から階段状のきれいな枝沢が出合う。地図を見ると小松湿原の西側につながっているようで上部は少し藪かもしれないけれど興味をそそられる。何度か歩いていると目新しいことを求めてしまうようだ。奥の二俣のテン場は多くの利用者によって来るたびに整地が進んでいる印象で、草も生えておらずに広々としている。ほぼ想定内のタイムリミットまでに到着できてよかった。夜、通り雨がありそうなのでまずはタープをしっかり張ってからテントと薪集めの作業を手分けする。虫もいなくて快適な夜だったが、薪が湿っていて焚火に苦労する。残念にも途中で断念するはめになった。最近は苦労せず火を熾していたため後で薪の選別が雑だったと反省。けれど寒くもなくそれほど濡れてもいなかったのでいつも通りの夕餉を楽しんで初日を終えた。

 

 

 

    

 

朝は明るくなるのが遅く日が短くなったことを実感し、このまま秋になるのかと寂しい気持ちになる。山にはガスが出ていたが空はなんとなく明るいのできっと晴れるだろうと6時少し前には出発する。対岸の台地にもテン場があり大量の薪が積まれていた。このところずっと雨続きだったから自分たちと同じように火を熾せなかったのかもしれない。こんな時でも上手な人はちゃんと火を熾せるのは何が違うのだろうか。

少し傾斜を増した小沢を進み平地になったところの地味な二俣を右に戻るように進むとあたりが開けて湿原の入り口となる。花の季節も終わり池塘もない緑一色の平凡な湿原だけれど、沢からたどる湿原は気持ちがいいものだ。ガスが取りきれずにいたがそれはそれで雰囲気がある。清々しい空気を目一杯吸い込むように湿原をまわり、2055m鞍部の登山道に抜ける窪を登る。

 

 

しばらくは黒岩山から鬼怒沼山をつなぐ登山道を進むが倒木が増えている。一箇所大規模な倒木帯もあり、くぐったり乗り越えたりと忙しい。次第に道も落ち着き鬼怒沼山分岐からは緩やかに下って鬼怒沼の避難小屋入り口へ。ザックを置いて半時間ほど鬼怒沼の木道に沿って散策する。開放的な素晴らしい景色は何度訪れても感動する。土曜日なのでもっと人出が多いかと思ったがハイカーもまばらで静かなたたずまいだ。池塘の水位も上がっているのか一番大きな池塘はまるで湖のよう。日光白根と大嵐、根草山が広々と連なり池塘のアクセントになっている。

 

避難小屋にもどって腹ごしらえをしたのち、いわば今回のメインイベントとも言える東岐沢にくだる。かつての登路で樹林に赤ペンキ印が付けられているらしい。すぐにはわからなかったので地図で見当をつけて薄い藪に入っていくとやはり道型があらわれた。道型に沿って斜面を下るが不明瞭になったところで沢に降りた。しばらく下るとテープがあらわれ、見上げると木に赤ペンキ跡もみえる。登って来れば見損なうことはないだろう。

しばらくゴーロ沢を下ると1900mを過ぎたあたりから苔に覆われたナメが続くようになり、おもわず仲間と顔を見合わせニンマリする。これからが東岐沢のハイライトだ。苔に足を置くとふかふかの絨毯のよう。そこそこの斜度があるのでさすがに真ん中を下って行くのはためらったが、登りだったら快適なはずだ。

主に左岸から何度か枝沢が合わさるが、すべて苔のナメ滝や階段状で美しい。このような沢が尾瀬にあったなんて、いままで遡行しなかったなんて、などなど感動しながら下る。大きな滝の上にでた。幅広の苔滝で威圧感はない。昔の登路だからきっと下れるところがあるはずと右岸のガレ窪を覗くといかにもルートのようだった。ここも登れそうな滝だ。どんどん下ると苔ナメから赤茶けた岩盤に変わる。

標高差で200mほど間断的に続いた苔ナメも1600m付近の二俣に近づくと平凡な流れとなる。荒れ模様の大岩ゴーロを下るのも疲れるので、ナメが途切れたころからはテープを目印に両岸の踏み跡のような旧路をたどる。下流で右岸からブナ沢/猿沢が合流する広河原は荒れて荒涼とした雰囲気となる。倒木の山を越えて対岸の樹林にはいると平坦な広場となり奥に小沢が流れている。ここで靴を履き替え広い作業道をたどって橋の脇の林道にでた。

 

 

 

 

 

  

北岐沢を遡行した場合、猿沢かブナ沢を下るのが一般的だし時間も短く下ることができるが、あえてかねてから関心をもっていた東岐沢を下降してみた。下降にも問題のない沢だったし、連続する苔のナメが予想以上の素晴らしさだった。下るにつれ荒れたゴーロ沢になって気分的にだれてしまったが、そんなマイナス点を補って余りあるほどの魅力がある沢だった。きっと登った方が前半の荒れ沢が上書きされ、よりいい印象になるのではないかと思う。東岐沢、また訪れる機会があるならば、上部だけを枝沢探検したりして遊んでみると面白そうだ。

大清水登山口9:40ー林道北岐沢入渓点11:00/11:20ー奥の二俣幕営地16:20//5:50ー小松湿原6:50/7:15ー登山道7:40ー鬼怒沼10:00/10:40ー東岐沢下降ー二俣13:15ー東岐沢橋14:30/15:00ー大清水駐車場16:10