ブナの沢旅ブナの沢旅
▲トップページへ
2021.07.10
笠科川小赤沢〜アヤメ平
カテゴリー:

2021年7月6日

梅雨空が続き、晴れればワクチン接種などでしばらく山に行けずにいた。(といっても2週間ほどだけれど、今の私にとっては若者の1ヶ月以上に相当する)そこでなんとか降雨を避けられそうな一日を求めて再び尾瀬の沢へ。小淵沢など手軽できれいな沢は他にもあるけれど、まだ遡行していない笠科川の小赤沢を歩いてみることにした。

以前は戸倉から鳩待峠行きのシャトルタクシーで津奈木橋の乗降ができたようだが、いまは停車しないため別途タクシーを手配する。すべてのタクシーは管理下にあるため一律料金制とのこと。割高ではあるが歩けば相当の距離だし入渓点近くの橋まで運んでもらえる。運転手さんは山のベテラン風で沢のことももよく知っていた。津奈木橋の一つ手前の橋で降ろしてもらい、少し戻って笠科川に下る。

小赤沢へは渡渉しなければならないのだが、増水気味で素直には渡渉できそうもない。なんとか流れの緩そうな少し上流から念のためロープを出して渡渉する。深いところで腰近くあり、増水に弱い私たちにはギリギリの渡渉となった。渡り終わった時にはこれで核心が終わったと安堵する。小赤沢に入るとしっとりとした森の中を流れるゴーロ沢の風情となる。

 

しばらくは平凡な溪相が続きようやく滝があらわれる。ハング滝なので右岸を小さく巻き上がる。再び穏やかなゴーロ沢となるが、両岸が開けていてのどかな森の雰囲気が好ましい。カエデ類やいろいろな広葉樹なので紅葉の季節は美しいだろう。1350m付近は広い平坦地の中を流れる小川のようになる。地図を見ると奥に湿原があるらしい。

ようやく小滝が続くようになるが待望のナメはまだおあずけ。きれいな幅広滝を快適に登ると大岩ゴーロ滝がつづく。ところどころ倒木もみられるがそれほどひどいものはない。難しかったり危険なところがないのはいいのだけれど、しだいにゴーロに飽きてくる。

と、その思いを察知したのか、沢は突然のように変身する。以前よくそんな状態をみにくいアヒルの子が白鳥に変身なんて言い方をしていたが、久しぶりにそんなたとえがピッタリの変化だ。

 

 

後半はこれでもか、これでもかと言わんばかりにナメが続く。ここでは増水加減が幸いしてナメが白波を引いてとても美しい。前半の印象などすぐに吹き飛んでしまう。どんどん歩いて行くと前方に滝が見えてきた。一瞬大滝かと思ったがまだまだ続く最後の連瀑帯入り口の滝だった。はなから登るルートではなく巻き道をさがす。左岸の緩い斜面を登り適当なところで藪トラバース。すると窪があらわれ難なく落ち口手前に降り立った。

上をみるとナメ滝はさらに続いており、喜び勇んで駆け上がるように登る。とはいえ、スリップすると一直線に滝下まで滑り落ちること必至。最後は四つん這い状態でちょっとカッコ悪かった。傾斜が緩んだナメとなりいよいよフィナーレとも言える20m?大滝が見えてきた。小さな沢に似つかわしくない立派な滝だ。左岸が開けておりコバイケイソウのお花畑のようだ。滝下に下りてしばし鑑賞タイム。

さて巻き道をさぐる。左岸の岩がゴロゴロした斜面を登りササとネマガリ竹の境界線あたりでトラバースしながら滝上に下る。傾斜は急だけれど普段は厄介なネマガリ竹がこんな時は安心感をあたえてくれる。仲間に先導してもらいぴたり滝頭手前に降り立った。藪の中に何箇所かウラジオヨウラクが見られて微笑ましい気分にさせてくれた。

 

 

 

 

大滝上もしばらくはナメとナメ状小滝が続き、しだいに源頭の雰囲気となる。いつまでも水涸せず時々藪になるところを避けながら1700mを越えるまで続いていた。ずっと沢筋を追うと登山道と並行するため最後は登山道めがけて直上。藪は避けられないが足元が見えないほどではない。馬力不足のパーティながら小一時間ほどで登山道に抜けた。

足元が滑りそうなので沢靴のまま横田代に向かう。尾瀬の登山道は沢遡行の後で下山のために歩いただけなので、横田代方面に向かうのは初めてで楽しみにしていた。梅雨の最中の平日なので人出もなく、今回も静かな登山道なのがうれしい。横田代に出ると一面のワタスゲ畑。2週間前の大清水平よりも開いていて満開のようだ。木道奥の湿原のワタスゲ群生地は白く染まって見える。湿原の真ん中にある朽ち果てそうな休憩ベンチで昼食の休憩タイム。振り返ると至仏山には山頂にガスがかかっている。天気はあまりよくないけれど広い田代の真ん中でフワフワした綿毛のワタスゲに囲まれてなんだか幸せ。とりわけ初めてのナメの美しい沢を歩き終えた後だけにしみじみ思う。

時間もあるのでめったに行きそうもないアヤメ平まで足をのばしてみる。ゆるゆると一山越えて辿り着いたアヤメ平は大きな池塘が点在し、田代湿原とはまた違った趣だ。このころから雨が降り出し、みるみるうちにガスで景色が消えていった。ちょうど帰る潮時なのだろう。ふたたびワタスゲ咲き乱れる横田代を通り、喧騒の鳩待峠に降り立った。

    

 

 

小赤沢出合6:00ー大滝上9:40ー登山道11:20ーアヤメ平12:40ー鳩待峠14:30