ブナの沢旅ブナの沢旅
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2020.03.31
日向倉山〜未丈ヶ岳(中退)
カテゴリー:備忘録

2020年3月25~26日

天候が安定していれば2泊3日で東北の山に行きたい所だが、今年は晴れても長続きせずめまぐるしく変化している。そんなわけで、早くも3月初旬に開通したシルバーラインを利用して遠いようで比較的近い未丈ヶ岳を計画した。私にとって因縁の山ともいえる山で今回が3回目となる。一度は時間切れ、次は山頂でホワイトアウトといった具合で、まだ未丈に登ったという意識がないのだ。

好天のチャンスを待ち、テント泊で余裕をもたせた計画とした。山頂手前の小峰の雪の状態が気がかりだったが、よくても悪くても、久しぶりのこの山を思い出と共に楽しもうと思った。

朝一の新幹線で浦佐駅からレンタカーで銀山平方面へ向かう。沿道の雪の少なさはどこも同じで慣れっこだ。シルバーラインを通るたびにトンネルが崩れやしないかと心が落ち着かない。白光橋でトンネルを出るとすぐに除雪された駐車スペースがあり、すでに入山者がいるようだった。

今回の足回りはワカンだ。明瞭なトレースをたどって尾根にのる。前日までの降雪で新雪が20センチほどだが単独先行者のシュートレースがあるため楽をさせてもらう。振り返ると荒沢岳の稜線が迫っている。赤崩山から日向倉山に続く尾根にのると一気に視界が開け、雲も流れ出して、越後駒から中ノ岳方面が真っ白で凛々しい山並みをみせる。

日向倉山に向かうブナ疎林の尾根はゆったりと穏やかで心和む。いたるところ雄大な展望がえられるテン場適地で、初めての雪山テント泊、なんていう雑誌の特集にぴったりのセッティングだなと思う。翌日登る未丈ヶ岳も見えてきたが山頂は雲に覆われている。

進んでいくとクラストした斜面のトラバースにさしかかり先行者のシューがデポしてあった。ここで私たちもアイゼンに履き替えていると先行者が下ってきた。山頂の雲が晴れるのを待ったが風が強いので長居できなかったとのこと。先行者は一人だけのようだ。トレースにお礼を言って山頂へ進む。

上部は霧氷が残っており流れる雲から青空も顔を出し始めた。とても美しい。日向倉山の山頂は360度の雄大な展望が楽しめるため残雪期にわりと登られている山だ。ちょっとマニアックな山トモと登った10年前は今回の一般ルートではなく、山頂南から南西に延びる尾根をたどった。下部は痩せ尾根で快適ではなかったけれど、山頂に近づくと美しい雪原尾根となった。

山頂からは今まで見えなかった村杉半島の山々と会津朝日岳、丸山岳から会津駒に続く山並み、さらには燧ヶ岳を目で追う。一通り山座同定を楽しみ、ここからは未丈に続くトレースのない尾根へ向かう。山頂付近にはテン場に適した場所がいくつかあるが、まだ時間があるのでできるだけ先に進むことにした。一旦下って登り返した先から尾根筋を見渡すが、あまりいい場所が見当たりそうもない。相談の末、少し戻った平坦地を整地してテントを張ることに決めた。土木工事に精をだしてテントを設営してみれば、未丈ヶ岳を見渡すなかなかいい場所だ。予報通り夕方から青空が広がり、越後駒に沈む夕日が美しかった。

 

 

 

 

翌日は早朝から好天が期待できた。テントを撤収し不要な荷をデポして出発する。最初からアイゼンだ。緩やかに下って小さなポコを越えると傾斜の急な尾根分岐となる。早朝のため雪面がクラストしている。潅木につかまりながら慎重に下ると緩やかな樹林帯の畝りとなる。以前は広い雪堤を快適に進んだ記憶だったが、少雪のため樹林際はすぐに雪庇となる。はやくも亀裂が生じ始めており、帰りにはそれが広がっていた。

1376ピークは近づくとそれほど尖ってもおらず、緩やかに登っていく。広くて平らなピークにつき一息いれる。ここからが核心だとストックをしまってピッケルをだし気を引き締める。しばらくは傾斜はきついが素直な斜面を降る。地図で半分くらい下った所で前方が途切れ、ギャップの先に幾重にかウェーブのかかった雪庇を見下ろす。新雪のクリーミーな波状雪庇は景色としてはとても美しいのだが、下るとなると恐ろしくもある。

どうしたものかと立ち止まり思案する。とりあえず仲間がバックステップで左手の急斜面を下るが、トラバースするところがクラストしてアイゼンが爪ほどしかかからないという。こういう場面には慣れておらずロープも持ってこなかった。正面突破はギャップの先が雪庇でその先も読めずにこれも恐ろしい。はやくも腰が引けてしまい自分でトライする気力もない。無理はしたくないと撤退を決める。あとでロープがあればとも思ったが、自分たちの力量ではだから突破できたかどうかは疑問だ。

撤退を決めれば気持ちも切り替わる。ここまで十分に未丈の美しい姿を見続けてきたのだし、すばらしい山並みの展望も楽しむことができた。さあ、昨日の我が家に帰ってお茶しようと清々しい気持ちだった。途中で若い女性二人とすれ違った。撤退したことをつげると、そうなんですか〜と呑気な雰囲気で元気な彼女たちは未丈まで行ってしまったのだろうか。

テン場に戻って一休み。以前奥只見丸山スキー場から入山した時は経験豊富な仲間5人Pで、私たちは後ろをヨタヨタついていっただけで視界もほとんどなくあまり記憶になかったなどといいながら、あれこれと自分たちの行動を振り返る。丸山岳は沢と残雪期に何度か登って一度も撤退したことがないのに未丈とは縁がないのかな、思いが薄いからかな、などと。沢旅もそうだけれど、自分たちはピークハンターでなく旅のプロセスを楽しむスタイルの山行なのだから、美しい稜線歩きと素晴らしい展望があれば、これ以上何を望むことがあるものかと、山を下った。

 

 

 

 

白光橋9:20ー稜線11:10ー日向倉山13:45/14:15ー幕営地15:00//6:00−1376峰8:05ー撤退8:40ー幕営地11:00ー駐車地点15:00