ブナの沢旅ブナの沢旅
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2014.10.18
白毛門
カテゴリー:山歩き

2014年10月18日

 

沢もいいけれど、山は歩けてナンボの世界。最近遡行を終えて登山道を歩くとやたらと辛い。こんなことではいつも計画倒れに終わっているあれこれの縦走なんて永遠に実現できそうにない。

そういえば以前沢の会に入会して諸先輩方と初めて沢登りをしたとき、とあるベテランX子さんから、もっとお歩きになったらー、と言われた。あの時は沢をやりたくて入会したのに意地が悪いなあ〜なんて思ったけれど、いまならお説ごもっともと素直にうなづける。そして私も若い人に同じことを言うかもしれない。

歩くのはいいのだけれど、一人で山に行くときは家を出るまでがほんとにタイヘン。億劫でしょうがないのだ。山に行くんだから楽しいはずなのに、なぜだろう。歳とともにその傾向がますます増幅している。なんて、ずっとぐだぐだグチとも言い訳ともつかない言葉ばかりを打ち出しているわたし。。。
邪念を振り払い、頑張って早起きして出発する。いったん家を出ればこっちのもの。って、それどういう意味かな〜

なのに東京駅で新幹線のアナウンスに出鼻を挫かれる。上越東北新幹線がすべて止まってると。工事車両が故障して線路をふさいでいるのだと。あらら。。

もちろん最初はガックリ。でも今更あわてても仕方ないし、ともかく行動を起こすという核心はクリアしたから、まあいいっか。成り行きに任せていると30分ほどの遅れで動き出した。けれど上毛高原駅では谷川岳ロープーウェイ駅行きのバスは待っていてくれなかった。

30分後の次のバスを待ってもよかったが、バスの列に並んでいる人達の中で迷っているパーティがいたのでタクシーの同乗を持ちかけて話がまとまった。バスは水上駅を経由する上にしばらく停車するので、土合橋でおろしてもらったときはバスよりも少しだけ早かった。

紅葉の見頃は先週の連休だったらしく、タクシーの運転手さんによると土合駅の駐車場に入れない車があふれていたとのこと。料金は4人の割り勘で1800円。バスだと1200円くらいなので、人数がそろえばタクシーが便利だ。土合橋の駐車場は奥まで満車で、東京方面のナンバーも多い。大勢入山しているのかと思ったけれど、歩いているときはほとんど人にあわず、みんなどこへ?という感じ。

いつも下りでばかり歩いていた白毛門。一昨年の残雪期に往復したことはあるが、無雪期に登ったことはない。下りは急な坂道一直線なので、さぞかしきつい登りのはず。どれくらい時間がかかるのか確かめたかった。それによって、縦走する場合に電車の朝発で何とかなるのか、前泊する必要があるのか見当がつく。ここは一人で歩くつもりなので、できれば当日発にしたいのだ。

帰りは4時のバスに乗れればいいので、たぶん余裕はあるだろうと無理のないペースで歩き始める。最初はブナ林の急登。麓のブナはまだ青々した葉を広げている。ヒンヤリとした空気が気持ちいいが、さすがにいきなりの急登で一汗かく。空は雲一つない青空。一人のときはゼッタイに青空であってほしい。

登るにつれ白毛門沢側の山が一面紅葉している。太陽が燦々と輝き、大滝がよく見える。これだけの条件が揃うと、こんな日なら今の時期でも沢を気持ちよく遡行できそうだ。

静かな登山道を淡々と登って展望の開ける松ノ木沢の頭へ。なんだかもう山頂に着いた気分になる。ここでようやくザックをおろして一服する。山頂に続く登山道にようやく先行する登山者の姿も見えてきた。

対岸の一ノ倉谷の岸壁は日の当たり方のせいか、いまいち迫力が感じられない。やっぱりここは積雪期の景観が一番だと思う。意外と順調なペースで進んで来た。これからさらに登りがきつくなるが、手足を使ってよじ登るので、沢の時と同様、二本足歩行よりも楽に感じる。

笠ヶ岳から至仏山、燧ヶ岳も遠望できる。できたらあっちからこっちを見渡したかったなあ〜なんて、ちょっとは欲を出すけれど、ちゃんとここを歩いてみるのが目的なんだよねと進む。

国境稜線とその先の山並みに目を細める。近くにこんなにいい山があるのに全然歩いてないなあ〜。沢にこだわらなくても、まだまだ自分で行ける所はあるのだと慰める。なんで、こんな気持ちになるんだろう。沢にもう行けないわけじゃないのに。

時々ハアハア息を切らして立ち止まりながら山頂へ。さすがにへとへとだ。ところが、自分でも驚いたことに時計を見るとまだ正午前。なんと歩き始めてから3時間もかからずに山頂についてしまった。疲れたけれど急いだわけじゃない。ふう〜ん。一人だと無意識に早くなるのかな。とにかく私にとっては十分な成果だ。

4時のバスをターゲットにするなら笠ヶ岳往復も可能だったけれど、さすがに気力がなかった。こういうのって、気合いの問題もあるので、最初からそのつもりなら行けたかもしれないが、電車が遅れた段階で、白毛門で満足、が脳にインプットされてしまった。早朝に出発したという同年代の女性は笠からもどって来た所だった。そう、今度ね、と思う。

数組のハイカーがめいめい食事をしてくつろいでいた。山頂標識の脇に腰をおろし、途中で追い越していった大きなザックの若者が笠へ登っていく豆粒のような姿をしばらく眺めていた。

予想以上に早くついたので3時台のバスに乗れそうだ。一人で賑やかな山頂に長居しても手持ち無沙汰なので30分ほど休んで出発する。岩場の下りは登りよりも神経を使う。一般登山道なのにけっこう恐いと思う。最近はやたら恐がりになっている。

松ノ木の頭まで下って何となく一息つく。ここからは樹林帯の下りだから退屈だけど気分は樂。順調に下ってある時点ではたと思う。あれっ、この分だと2時15分ひょっとして間に合うかも〜。ダメもとでもトライしてみよう。間に合わなかったら、きっとバスは混んで座れないだろうから始発のロープウェイ駅までいってコーヒーでも飲んで待てばいい。なにしろ上毛高原駅までは小一時間の道のりだ。よしっと、少し足早に下る。人間、目的ができると張り切るものだ。

最後のブナ林帯に入って確信する。これで間に合う〜。10分前にバス停到着!暑くてたまらない。日陰で身繕いを終える頃バスが到着。予想どおり満席だった。まあ、間に合ったからいいことにしよう。なんて欲を出さないとありがたいもので、湯檜曽温泉で前に座っていた二人連れが降り、ここからは座ってうとうとしていたら駅に着いた。

少し時間があったので駅構内の月夜野ビードロのガラス工房で衝動買い。いろいろなことがうまく行って、ちゃんと歩けたので気分が盛り上がっていたのだ。明るいうちに家に帰って食事の前にお風呂に入って、ちょびっと一杯。なんだかとっても充実した山歩きができた。

 

白毛門登山口8:50−松ノ木沢の頭10:45−白毛門11:35/12:10−登山口14:05