ブナの沢旅ブナの沢旅
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2012.12.24
安達太良山~くろがね小屋
カテゴリー:備忘録

2012年12月24日

 

安達太良には沢登りで何度も足を運んでいたが、安達太良山に登ったのは一度だけ、それもほんの一瞬のことだった。4年半前に石莚川を遡行したときだったが、あまりの人の多さに驚きすぐに退散してしまった。烏川を遡行した時も山頂は目の前だったが登らなかった。そんな縁のあるようなないような安達太良山に、ようやくまともに向き合う機会をえた。

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朝一番の新幹線に乗り、郡山駅でyukiさんと合流してあだたら高原スキー場の駐車場へ向かう。ゴンドラが動いていないせいかスキー場は閑散としていた。支度をして歩き始めたのが8時半過ぎ。バスを使って西丹沢自然教室から歩き出す時間とほとんど同じだ。

最近雨が降ったのか、薄く積もった雪の下は凍りついているので最初からアイゼンをつける。トレースも明瞭で夏道よりも歩きやすいかもしれない。雪模様となるが、それほど寒くもなく風もなく穏やかな日よりだ。

旧道の馬車道を時々ショートカットしながら進む。勢至平一帯はレンゲツツジの群生地なのだという。その後いろいろなところで「ガイド」してもらい、お客さん気分になってしまうが、いいのかなあ。

雪が強くなるが、くろがね小屋への道を分けて緩やかに登り始めると、今度は太陽が薄雲の間からうっすらと陽をそそぐ。ずっとそんな調子の天候で視界もよくなかったが、今回は日帰りの様子見なので、よしとする。

つい先日に宮城県境の小さな山に登ったばかりだったので、アルペンチックなスケールの大きさを感じる。峰の辻に着いた。烏川を遡行後に通過したときはものすごい風が吹いていたところだ。冬の安達太良は強風が普通なので、このように風がなく穏やかな日はほんとうに珍しいらしい。雪が上から降っていると、yukiさんがえらく感心していることに感心してしまう。Yukiさんはここで小屋への差し入れ食材でずしりと重いザックをデポ。

烏川右俣の源頭部を通って山頂へ向かう。とても雰囲気のいい源頭部だったのを覚えているが、今は何の変哲もない雪原だ。雪解けの季節になると、さらに上流の源頭部は一面イワカガミの花で埋め尽くされるのだという。なんてことを聞いたら新緑のころにまた遡行したくなった。

山頂方向にもトレースが続いており、まだ所々にロープがでていた。前回はパスした溶岩突起の山頂に登ってみた。晴れていれば、こっちに磐梯山、あっちに吾妻連峰が見えて展望がすばらしいらしい。

なにも見えなかったが、半分雪で埋もれた山頂標識と小さな社に目がとまった。八紘・・と書いてある。八紘といえば八紘一宇しか思いうかばない。八紘一宇といえば軍国主義の時代の海外侵略のスローガン。どうしてここにそんな標識が残っているのだろう。(あとで調べたところ、1940年に皇紀2600年を記念して建てられたものだという。山のせいではないけれど、なんだか違和感がある)

視界も悪いので来た道を戻るのかと思ったが、yukiさんはトレースから外れて稜線直下をトラバースしていった。牛ノ背の稜線にのるとさすがに風が強くなり顔が痛くなってきた。このあたりの地図をしっかり頭に入れていなかったので、ホワイトアウト寸前のような状態に心細くなるが、とにかくついて行くだけだった。

馬ノ背の標識が見えたときはホッとした。ここからは左手に矢筈森の岩峰を見ながら下っていくと沢筋の急斜面にトレースがあり、こんなところにと驚く。峰の辻にもどると駐車場で一足先に出発した2人が登って来て、私たちのトレースに引きずられるように馬ノ背方向に向かっていった。yukiさんは少し心配そうにしていたが、声をかけるほどでもないのでデポしたザックを回収してくろがね小屋へ下った。

今回はくろがね小屋に立ち寄ることも楽しみだった。小屋に入るやyukiさんは勝手知ったる我が家という感じで、さっそく差し入れのキャベツや麺類などをザックからだしてキッチンへ。昨日はかなりの宿泊者がいたらしいが、今はお客さんもほとんどいなくて静かで落ち着いた雰囲気だ。

小屋の中をきょろきょろ見学していると、誰もいないので温泉に入ったらいいと勧められた。さっそく入ってみると熱さ加減もちょうどよく、ほんのりと白濁したとても気持ちのいい湯だった。

温泉から出て温まったところで小屋番の佐藤さんが作ってくれた特製ラーメンを一緒にいただいた。私ははじめての「よそ者」だが、yukiさんにくっついて来たおかげで、いろいろとおもてなしをしてもらった。食後のコーヒーでおしゃべりしながらくつろいでいると、これからまた雪の中を下山することを忘れてしまいそうだった。

今度は泊まりに来ますといってキッチンをでると、yukiさんの知り合いの小国山岳会のSさんがいた。二人の話から、馬ノ背から下る途中でみた谷筋のトレースはSさんのものだとわかった。あんな天候のあんな斜面で登ったり滑ったりして遊んでいたらしい。さすが若い人は元気というか、物好きだと二人で半ばあきれる。

一緒に下山することになり、途中のティータイムで、ブナが好きで「追っかけ」をしていると伝えたところ、Sさんもブナが好きだと返ってきた。ブナが好きな人と会った嬉しさと、きっと自分がまだ知らないすてきなブナの山を知っているはずだという下心から目が星になり、飯豊あたりのブナの話に弾みがつく。機会があれば、話がでた飯豊前衛の山にも是非行ってみたいと思う。

かなり飛ばして下り、あっというまに駐車場に戻った。本格的な雪山になる前の、まずは下見の安達太良山だったが、朝家を出て山頂に登り、ゆっくり温泉につかって下山しても7時前には帰宅できるという手軽さが魅力だ。次回は天気のいいときに、くろがね小屋に泊まって箕輪山か鬼面山まで縦走してみたいと思う。

安達太良山1 安達太良山2

安達太良山3 安達太良山4

あだたら高原駐車場8:35-峰の辻10:50-山頂11:20-馬ノ背11:45-くろがね小屋12:18/13:55-駐車場15:05