ブナの沢旅ブナの沢旅
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2012.08.12
阿武隈川白水沢左俣右沢
カテゴリー:備忘録

2012年8月12日

 

ブナの沢旅は関東以北がメインフィールド。とくに東北への思い入れは強い。今回はひょんなきっかけから郡山のyukiさんと知り合う機会を得た。東北で新しい山仲間ができればいいなと思いながら、今回の白水沢に同行してもらうことにしたのだった。

当日の朝、たぶん見つけてもらえるだろうと軽い気持ちで新白河駅東口に降り立った。ここは3月に旭岳へ登るときyoshiさんと待ち合わせをした場所だ。そういえば、あのときも初顔合わせだった。来てしまいましたよ~と、軽く挨拶後、白水沢の入渓点となる甲子温泉へ向う。山のこととなると誰とでも積る話は山ほどあり、あっという間に現地に到着。

yukiさんが声をかけた若者二人とは現地で合流予定だったが、彼らの姿が見えると「あれっ、奥さんも来ちゃったよ」と言う。みなさん今回が沢登り2回目だとのこと。都会の山行とは意識や流儀が違うようだが、まあ、郷に入っては郷に従え、だ。

さっそく甲子温泉大黒屋の立派な敷地を横断して登山口から沢沿いの遊歩道へ向う。ちょうど朝食時間時。見慣れない格好をした5人組が通り過ぎる姿が珍しかったのか、一面ガラス張りの朝食会場では食事中の宿泊客が一斉に私たちの姿に釘付けになっている様子がおかしかった。

遊歩道を進むとすぐに白水の滝8mがあらわれる。滝上に堰堤が見えるのが多少興ざめか。ただ、よく見ると堰堤の壁は滝の明るい岩盤の色とコーディネートされているように見える。この滝は左壁から小さく巻いて越えた。

吹上沢出合いを少し進むと8mY字状のナメ滝だ。先頭のyukiさんは当たり前のように直登して行き、若者達もつづく。最後尾の私はええっと、びびる。フリクションがいいので滑らないというけれど、左壁をトラバースしてY字のボトムに降りるところが怖くてロープを出してもらう。どうしてみんな2回目だっていうのに平気なんだろう。最初って怖さがわからないから平気なのよね、だんだん怖くなるのよ~と、苦しい弁明。

白い岩盤にマリンブルーの釜という、イメージしていた白水沢の雰囲気となり、少し胸をなで下ろす。明るいゴルジュ風の所を過ぎると前方に衣紋ノ滝15mが見えてきた。イレブンクライマーのK君は登りたそうにルートを追っているが、当然巻く。右岸に明瞭な巻き道がある。大滝の上もつぎつぎと滝が続き、たぶん白水沢で一番楽しい所なのだろう。10m斜滝は登れるが、つぎの直瀑8mは左から巻く。

この先からは時々ナメ小滝をかける穏やかな渓相がつづく。途中で降り出した雨もやみ、時折青空が顔を覗かせるほどの天気となった。晴れていればもっとキレイだろうなあ。すぐに二俣となるが、このあたりから急に沢が倒木で覆われる。左へ進むが、別の沢に迷い込んだようにガレ沢となって水まで涸れてしまう。

奧の二俣は右沢へ。出合いは両門の滝のようだ。といってもどちらも水涸れしている。右沢の4段30mの涸滝は取り付きがいやらしい。女性陣はK君に上からロープを出してもらうが、取り付きをやり過ごせばガバホールドがあって快適に登れる。

ガイドには左俣左沢が紹介されているが、右沢の方が明らかに面白いらしい。フリクションのきくナメ滝が続き、すべて登れるのが楽しい。かなりのハイペースで進んだため、2時間もたたないうちに沢もそろそろ終盤にさしかかってしまう。あまり早く終わってもつまらないと、休憩をとる。

赤茶けた岩盤に緑の苔が点在する涸沢を登ると8m滝へ。表面がゴツゴツした岩なので簡単に登れる。青白い硫黄の噴出口を過ぎるとうっすらと苔で覆われた3段30m涸滝が立ちはだかる。すっきりとした斜面でいい感じだ。嬉々として登って行くK君の後ろ姿がカッコいい。

見た目よりも快適に登れたが、上部は手がかりが乏しくなったため、最後だけロープを出してもらう。二俣後の倒木と水涸れで一時は諦め気分となったが、右沢に入ってからは予想外に楽しむことができた。

その後も小滝が続くが、再び倒木がひどくなり淡々とした気分ですすむ。最後の二俣は1445mポコの鞍部に近い右へ進むと沢型が判然としなくなり、多少の藪をこいで登山道に抜けた。ちょうど正午だった。沢装備のまま登山道を進み、甲子山分岐でランチタイムの大休憩。靴を履き替え、ついでに着替えをしてさっぱりする。

お待たせしましたとばかり、yukiさんのザックからはいろいろな食べ物が出てくる。まずはお姉さんが漬けたという大きな水ナスをいただく。丸ごとかぶりつくとほんのりとした甘みがとてもみずみずしい。コーヒーを入れてもらい果物でしめる。たいていは味気ないコンビニ行動食ですましているが、こういう余裕のあるピクニック山行もたまにはいいなあと思う。

歩き足りなそうな若者二人は甲子山まで往復するというので、私とyukiさんは一足先に出発する。甲子峠は林道が通っていることから察せられるように、あたりのブナはすべて伐採されていたが、甲子山方向はブナの原生林が残されていて雰囲気のいい登山道だ。

1時間もかからずに登山口に降り立つと後発組のKさんが追いついて来て、若者二人は衣紋ノ滝を見に行ったとのこと。きっと登るつもりだと話しながら駐車スペースへ戻った。あとで聞くところによると、案の定彼らは滝を登ったけれど落ち口近くで手がかりがなく断念したとのこと。こういう積極的な若者達は上達が早いのだろうなあ。きっと1年もすれば飯豊あたりの険谷に入ってしまいそうな勢いだ。

時間も早いので近くのチャボランドという日帰り温泉に立ち寄り、地元で評判らしいカツサンドをお土産にいただいて駅まで送ってもらい帰途についた。白水沢は二俣以降の中盤が倒木でひどく荒れていた。昨年7月の豪雨の影響らしい。けれど今回の趣旨は沢よりもネットワークを広げることにあったので、十分に手応えを感じられる楽しくも有意義な一日となった。(yuki、ako、その他3)

大黒屋旅館前駐車地点8:30-二俣9:40-奧の二俣10:00-登山道12:00-甲子山分岐12:25/13:20-駐車地点14:20