ブナの沢旅ブナの沢旅
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2008.06.02
布沢川大滝沢
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2008年6月2日

 

八十里越を歩いた翌日は、ブナの森を流れる布沢川大滝沢を散策して疲れた体を癒した。只見町の恵みの森を流れるこの小さな沢は、名前に反してこれといった滝もないが、水際まで手付かずのブナの森が広がっていた。やわらかい緑に包まれた水の廊下を歩きながら、しばしの幸福感に浸ることができた。

民宿で用意してもらった朝食のおにぎりを持って、6時にタクシーで恵みの森に向かった。地図で予想していたよりも遠く、布沢沿いの最奥の集落である夕沢からさらに5キロも先だった。運転手さんも行ったことがないという。

けれど恵みの森は立派なホームページもできているように、自然の体験学習の森としてきちんと整備されており、道路もここまでは舗装されている。途中かつての校舎をきれいに改造した恵みの森分校を通過するが、今は宿泊もできる施設として活用されている。

ようこそ恵みの森へ、という真新しいの案内板から遊歩道に導かれて大滝沢へ向かった。このあたりは一帯がブナの森で、手付かずのまま保存されている。いったん大滝沢に降り立つがまだナメ床ではなくゴーロが続いていたのでしばらくは沢沿いの遊歩道を歩いた。

両岸の斜面は水辺まですべてブナ林だ。谷底のブナは太陽を浴びようとしているせいか細くてとても背が高い。きれいなナメ小滝が続くあたりで沢床に下り、まずは作ってもらったおにぎりでゆっくりと朝食をとってから遡行を開始。ヒタヒタと続くナメ床とブナの森。まさに我が弱小同人「ブナの沢旅」のテーマを絵に描いたような光景が続く。

沢自体は小さいしナメ床もすごくきれいだと感激するほどではないが、周りのブナの鮮やかな新緑と白い樹肌のコントラストが目にはえて美しい。ここの主役は沢というよりは周りの森にあるといえるだろう。いろいろな鳥の鳴き声(わからずに残念!) を聞きながらさわやかな朝の空気を深呼吸すると、体ごとやわらかい緑に包まれ舞い上がりそうに気持ちがいい。

しばらく進むと左岸に岸壁が現れ、岩の形状がまるでお地蔵様の顔がいくつも彫られているような錯覚を覚える。ちょっとしたスパイスのきいた場所だ。二俣は両沢とも小さな滝を落としてであっている。

穏やかそうな右沢へ進むとしだいに沢幅が狭まり、両岸の斜面も緩んで台地状の広がりをみせる。今回は最後までつめることが目的ではないので、このあたりで戻ることにする。途中でまたお茶を沸かし、ブナの大木に登ったりして遊びながら朝の散策を終えた。

当初は右沢から鎌倉山へつめて左沢を下降する予定だったが、土曜日が雨で日程を一日ずらしたところ、なんと夕方から仕事が入っていることに直前になって気づき大慌て。

けれどまったく行かないのもつまらないし、Yさんもやりくりして時間をあけていたので、強欲にもあれこれ可能性を考え10時までの散策を決行。タクシーで田島駅にでて山菜を大量に仕込んで会津線を乗り継ぎ、着替えも済ませて見事3時半には何食わぬ顔で都心の仕事場に到着したのだった。