ブナの沢旅ブナの沢旅
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2007.06.10
柳沢川柳沢右俣
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2007年6月10-11日

少し遠くて雪渓のないナメのきれいな沢はないかなと探して決めたのが日光の柳沢。天候が不安定で、天気予報もはずれてばかり。回復するというから一日ずらしたのに、大宮駅からレンタカーで高速に乗るや本格的な雨になる。出鼻をくじかれたが、とにかく現地に向かうことに。赤沼茶屋の駐車場についても降りやまないので、金谷ホテルのレストランで食事をしながら作戦会議。当初の計画では柳沢の赤岩沢出合あたりまで進んでテントを張り、翌日右俣〜左俣下降するつもりだったが無理そう。最終の電気バスに乗って千手ケ浜まで行き、バス停の東屋でテントを張り、翌日行けるところまで行ってピストンすることにした。

最終のバスは貸しきり状態。バス停の東屋はなかなか快適そうで、隣には立派なトイレもある。夕方雨がやんだので、ザックを置いて散歩に出かける。新緑の森がとてもみずみずしくきれいだ。この時期はクリンソウが満開とのことで、バスの運転手さんに教えてもらった場所にいってみる。ロープが張られ、保護しているようだ。初めて見たが確かにとてもキレイな花だ。

遠くから車のクラクションが聞こえたので、怒られるのかなと車に近づくと、逆にもっと大きな群落の場所に案内してくれるという。ありがたく車に同乗させてもらい、千手ケ浜に向かう。伊藤さんという方が管理している敷地内にはいたるところクリンソウが咲き乱れていた。鹿の繁殖による被害が深刻で、国の間違った環境保護対策に憤慨されていた。このままでは近いうちに尾瀬も鹿にやられてしまうと危機感をもっているようだった。クリンソウの群生地を保護する形で多くの人たちに実態を訴える伝道師の役割を果たしたいのだという。

 

 

ハルニレの森を散策しながら東屋に戻り、ささやかな宴会をして早めに就寝。翌日は期待通りいい天気になった。柳沢川への道から少し入ったところにある西ノ湖によってみる。数年前に来たときと比べ、10分の1くらいの大きさに干上がっているのに驚いた。もどって柳沢方面の林道に向かい、途中の管理小屋の前にメモ書きとともに不要の道具をおいていく。

林道が途切れたところで川に下り、沢の身支度をして渡渉。しばらくは沢沿いのふみ跡を進む。ところどころにケルンがあってわかりやすい。小一時間ほどで正面に滝をかけた枝沢を分けて沢は左に大きくカーブして、いよいよ沢らしくなる。丸太を渡した不安定な橋を渡って左岸に渡り、さらに踏みあとを行く。赤岩沢の出合までは濡れずに歩くことができるようだ。赤岩の滝の写真を撮りにくる人も多いらしい。右岸側の一段高くなったところにテンバにできそうな平地があり、ここに泊まる予定だったのだと思った。このあたりから沢にはいる。

 

二俣までは30分ほどだと思っていたが、予想以上に沢は荒れており、真新しい倒木が何箇所かあった。左岸側は概してざれた急斜面で、あまりキレイではない。苦労しながらようやく二俣近くからナメ床となりほっとする。二俣は右も左もきれいなナメ沢で心がうきたつ。思ったよりも時間がかかってしまい、帰りの時間も気になるので、二俣にザックをおいて空身で右股のハイライトである一連のナメ滝を堪能してもどってくることにする。

連日の雨で水量が多いようだ。増水するとナメ沢もヒタヒタ歩くわけに行かず神経を使う。すぐにキレイな幅広のナメ滝があらわれる。平水ならば中央を登れそうだが、水流の左脇をひやひやしながら登る。ナメをしばらく行くと10mほどのスダレ状の美しい滝となり、思わず歓声をあげる。左脇をまき気味に登るとさらに数メートルのスダレ状の滝が続いている。膝の故障さえなければ登れそうなので、仲間に登ってもらい、私は情けなくもお助け紐をだしてもらう。登るとすぐに2段10mのスダレ滝。次から次とすばらしいスダレ滝がつづいている。滝上では左岸から枝沢が滝をかけて流れ込んでいる。そして前方にはいよいよ黒岩滝があらわれる。2段25mあり、下部は傾斜のゆるいナメ滝、上部は直瀑になっている。しばし見とれてから記念写真。ここは右岸の藪を巻いて滝の落ち口から少し入った所にでるが、落ち口はスパッと切れ落ちている。

上部には3mほどのナメ滝があって、沢は右に大きく曲がり、さらに3段15mのスダレ状美瀑を落としている。これだけ短い距離の間に、間を空けることなくこれだけの数のスダレ状の美瀑。このあたりが柳沢の真骨頂なのだろう。その先は滝もなくにわかに源頭の雰囲気となるらしいので、最後の滝を見届けてもどることにした。左俣も覗いてみたいし、焚き火ができなかったのは残念だが、右俣の美瀑群を見るだけでも来る価値がある沢だと思った。

 

 

帰りは来た道をもどるだけ。林道脇の作業小屋でデポした道具を回収し、西ノ湖入り口のバス停にもどると大勢の登山者がバスを待っていた。月曜日にもかかわらずバスは満員で、臨時バスまででていた。にわかに喧騒の観光地に舞い戻ったが、雨のおかげですばらしいクリンソウの群落を独り占めし、新緑の美しさとあいまって心洗われる山旅となった。