ブナの沢旅ブナの沢旅
▲トップページへ
2009.05.23
峰谷川坊主谷坊主小屋沢
カテゴリー:

2009年5月23日

 

土日は会津方面の沢に釣り修行山行の予定だったが、天候があまりよくなさそうなので延期とし、急遽日帰りで奥多摩の坊主谷へ。去年の11月に鳥屋待沢を計画したときに選んで最後までリストに残った沢だ。

これまで気分的に遠かった奥多摩も、今月2度目となると慣れてくるもの。遠出の沢にはまだ早い4-5月ころは新緑もきれいで、これからもっと来てみたい。

峰谷はバスの便が悪いので、八王子からレンタカーで峰谷川林道を坊主谷出合へ向かう。朝立ちでも何とか8時過ぎには到着。駐車スペース奥の踏跡から沢に降りるとすぐに堰堤を二つ越える。ここからようやく沢登りの始まりだ。

しばらくゴーロを行くと赤い石の3mCSが見えてくる。近寄って直登ルートを確認し、ここを登る人がいるなんてすごいねーと感心して我々は左から小さく巻いた。

すぐにゴルジュがあらわれワクワクするが、最初の6m滝の直登は無理。手前にある左壁のバンドがルートだが、バンドに上がるのに一苦労。空身で事なきを得た。途中足元がいやらしそうなところには有難いことに残置シュリンゲがかかっていた。2段目と3段目は右側から容易に越える。

再び堰堤を越え、左手に崩壊地を過ぎると5m幅広の滝があらわれ、とても美しい。このあたりからナメ小滝が連続し、5mのハーフドーム型の滝へ。どの滝もみな美しく、新緑もきれいでまぶしく快適な遡行だ。もっと人気の沢になってもいいのにと思うが、名前がよろしくないのかな。ここは左の水流を直登し、爽快でなかなか面白かった。

3条3m上の9m滝は水流左脇がルートだが、ロープワークの練習を兼ねてYさんにロープを引いてもらう。私はトップロープで登っておきながら、Yさんのビレー態勢をチェックし、ちゃんとできたね、などと偉そう。その上リード姿がさまになっていたから写真をとったなどと、ビレイヤーとしてあるまじき行為・・・上の4m滝といわゆる電光形3段12mナメ滝もすべて快適。2段目は滑り台を楽しめそうだねなどと余裕。
気分よく進んでいくと前方上に16mの直瀑2段滝が見えてきた。6m滝を左から小さく巻くと、いよいよ坊主谷の大滝だ。ここは登れないと思っていたのであまりルートを確かめるまでもなく、高巻ルートにのってしまう。うーん、悪い癖が直っていない。

悪いガレを這い上がり、適当なところで岩のバンドを伝って下降点を探したところ、ちょうど欲しいところにロープが下がっていた。釣り師の巻き道をたどったようだった。沢やルートは左壁だったのが心残り。2段16m上の9m滝も巻いてしまったが、この滝はどのみち登れなかったでしょう。

降り立ったところの6m滝を右から越えると、一連の核心部は一段落。ここまで休むことなく夢中で登ってきたので、急に疲れがでてきた。小滝をもうひと超えしてついた二俣で、ようやく安堵の大休憩。ここまでで十分満足だった。

中ノ谷を左に分け、右に進むと渓相は穏やかとなり、石積みのワサビ田跡が点在するようになる。苔むしたナメと小滝が続き、新緑と相まってしっとりとした雰囲気がとても好ましい。丹沢の沢ではなかなか見られない光景だ。2条7m滝も美しい。

ゆったりとした気分で進んでいくと右手に導水管がしかれた取水堰堤と貯水槽が見えてきた。下の集落の水源になっているらしい。ワサビ田跡はかなり上まで点在しており、こんなに高いところにまで石を積んでワサビ作りをしていたのだと、昔の人の苦労に思い至らずにはいられなかった。

奥の二俣でシダノ沢を左に分け、右の坊主小屋沢へ進む。再びワサビ田の石積みが沢と平行して現われ、ナメと小滝が続く。しだいに水流が細くなり、傾斜の急なゴーロ帯を重い足取りで登っていくと最後の二俣へ。

ここで登山靴にはきかえる。どちらに進んでも登山道に突き当たるが、左手に尾根が見えていたのでこちらに進んでみた。最後は笹薮の窪地となり、少しだけ藪をかきわけて登山道にでた。右に進むと水場の前に出て、よりすっきりと抜けられるようだ。

時間の余裕もあったので、鷹ノ巣避難小屋まで行って休むことにした。以前冬に雲取山から縦走して通ったときにとてもいい印象だったので、ぜひ新緑のときに立ち寄ってみたかった。ログハウスの避難小屋はとてもきれいに使われており、泊ってみたくなる。

誰もいない静かな外のベンチでお茶を沸かし、ゆったりと心地いい余韻に浸っていると、若者がやってきた。こんにちは、と挨拶をして驚いたことに、以前所属していた会のSさんだった。巳ノ戸谷を遡行してきたとのこと。とてもうれしい偶然に饒舌となり、会の近況やらなにやらの話題に花を咲かせる。

下山にたどった浅間尾根は緩やかな下りでとても歩きやすく、そして何よりも自然林の新緑が美しく感激だった。1200m付近からは植林帯となるが、きちんと手入れされていて明るく感じがいい。丹沢の植林帯と大違いだね、などといいながら下っていくと浅間神社の鳥居があらわれた。

二つ目の鳥居をでると標識があり、登山道は峰谷へと下るのだが、坊主谷出合いから遠くなってしまうので、ここからは登山道を離れて読図をしながら尾根を下ることにした。南西に伸びる尾根をどんどん下ると作業道があらわれるが、道の方向に自信がなかったのでそのまま尾根を下った。

するとしばらくして再び作業道と交差し、下に続いていたので、ここからは尾根をはずれて作業道をたどったところ、坊主谷出合から300mほど手前の林道に降りることができた。予想以上に面白く、きれいな沢だったことに満足しながら車に戻った。

 

 

 

坊主谷出合8:30-二俣11:30/50-奥の二俣13:25-登山道14:25-鷹の巣避難小屋14:30/15:00-坊主谷出合16:50